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第七章
友人
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エリアスから連絡がない。
いつも遠くに行っても、三日と空けずに連絡してくる。
俺がピンクの石が光ってる事に気づかない時もあるが、それでもエリアスはマメに連絡を入れてくれる。
それが、もう一週間経つのに何の連絡もしてこない。
どうしたんだ……?
何かあったのか……?
滅多な事でどうにかされる奴ではないが、だからこそ余計に気になるんだ。
「リドディルク様、どうされました?」
「え?あぁ、いや、ちょっとエリアスの事が気になってな。」
「そう言えば連絡が無いようですね。珍しいです。」
「カルレスもそう思うか?」
「えぇ。ざっくばらんって感じの方ですが、報告等はきちんとされますからね。どうされたんでしょうか……」
「そうだな。エリアスはあんな風だが、冒険者としてトップクラスだ。今まで連絡、報告を怠る事等無かったんだが……コルネール!」
「はい!何でございましょう?」
「ジルドを呼べ。」
「直ちに!」
少ししてジルドがやって来る。
「リドディルク様、いかがなさいましたか?」
「エリアスがシアレパス国へ言ってから、何の連絡もしてこない。消息を追って貰えるか。」
「畏まりました。」
ジルドは即座に行動に移した。
これで数日様子を見るか……
もしくは、俺がシアレパスまで行ってもいいが……
かなり前に一度行った事がある。
だから空間移動で行ける場所だが、明日から条約を結ぶ為にアクシタス国へ行かなければならない。
その用意等で、今は抜け出す訳にはいかない……
ひとまずはジルドに任せるしかないな。
そう考えていると、ゾランがやって来た。
「リドディルク様、ジルドにエリアスさんの事を頼みましたか?」
「え?あぁ、そうだ。ジルドに会ったのか?」
「はい、今すれ違いました。……実は、私も気になっていたんです。エリアスさんはいつも、私がリドディルク様に報告をする朝の時間に連絡をして来られるので、それが最近見受けられなかったものですから……」
「そうだな。よっぽどの事がない限り、ある程度決まった時間に連絡を入れてくれていたからな。」
「それで私も気になって、少し探っていたんですが……」
「流石だ。それで?」
「エリアスさんの事を調べている人がいました。」
「それは誰だ?」
「シアレパス国の商人で、ノエリア・オルカーニャと言う人です。彼女は若いながらも商才に長けており、今や貴族やヘタな王族よりも力を持つと言われております。」
「そんな者が、なぜエリアスの事を調べているんだ?」
「それが今はまだ分かっておりませんが……ただ……」
「ただ?」
「いえ、これは私の勝手な憶測ですが……」
「いい。言ってみろ。」
「シアレパス国は未だ奴隷制度が色濃く残っています。エリアスさんは昔、奴隷であったと聞いたことがあります。もし、何らかの事で奴隷だった事が知れて捕らえられたとか、そう言う事はないのかと考えまして……」
「そうだったな……エリアスは奴隷だった時期があったんだったな……」
「特にシアレパス国は、奴隷への扱いは酷いと聞いております。対して、ノエリア・オルカーニャは奴隷制度には反対しており、その活動も活発的に行っております。その者がエリアスさんのことを調べていると言うのが少し気になりまして……」
「なるほどな。こう言う時のゾランの読みは当たりやすいからな。ではそっち方面からも調べて貰えるか?」
「畏まりました。もしも……」
「もしも……なんだ?」
「エリアスさんが奴隷として捕らえられていて、拷問等を受けていたら……リドディルク様はどうされますか?」
「それが公に分かれば、オルギアン帝国として対象するしかなくなるな。……そうか。もしそうなっていたと仮定した場合……」
「えぇ。エリアスさんは自分の身元が分からない様にしている可能性があります。」
「そうだな。エリアスならそうするか。アイツは周りの事を考え過ぎる位考える奴だからな。しかし、エリアスが自分の事を政治に使われたくないと思っているのなら、俺はエリアスの意思を汲むつもりだ。」
「分かりました。では、早急に調べます!」
「あぁ。頼んだ。」
前に、エリアスの生い立ちを聞いたことがある。
孤児院でひどい扱いを受け、そこを逃げ出してアクシタス国の国境で盗賊に捕まり奴隷として売られ、魔眼が使える様になってからは捨てられて、それから自力で生きて来たと……
奴隷になったら奴隷紋をつけられ、それは傷をより痛く感じさせ、治りにくくし、治っても痛みが続くようになるのだと言う。
エリアスも同じ様に傷を受けたら痛みが長く続く様だったので、その奴隷紋を消そうかと何度も言ったが、これは自分の戒めだからこのままで良いといつも断られた。
エリアスは自分の母親を殺してしまったことを知ってからずっと気にしていて、今も自分で自分を罰しているんだ。
そんな必要はない、と言ったが、「そうだな。」と笑いながらいつも俺の言葉を躱わす。
アイツはどう思っているのか分からないが、俺はエリアスを友人だと思っている。
だから心配なんだ。
もう少し自分の事を考えて行動して欲しいんだが、いつも人の事を考えて過ぎて行動するからな。
今回はゾランの予測が外れればいいんだが……
今はゾランとジルドに任せるしかない。
明日はアクシタス国へ向かわなければならない。
それが終われば、俺もシアレパス国へ行くか……
奴隷……か……
エリアスからアシュリーとの旅であった事等を聞いたが、エリアスがいた孤児院から、エリアスと共に逃げ出した子供達が殺されていく話を聞いた時は、マルティノア教国の酷さに驚愕を覚えたものだ。
それからアデルの事も聞き、それでエリアスとアシュリーはマルティノアの教皇を倒しに行ったのだと納得出来た。
他にも、俺が知らないアシュリーとの旅の話をエリアスは楽しそうに話していたが、多分俺の悔しそうな顔を見たかったんだろうな。
全く、アイツは良い性格をしている。
けれど、言いにくい事も報告するように話してくれた。
だから自分はこう思っているんだと、堂々と俺に告げてくる。
竹を割ったような性格とは、エリアスの事を言うんだろうな。
もし何かでエリアスが困った事態に陥っているのなら、俺は全力で助けに行く。
国を挙げて助け出す事も厭わない。
それだけの価値のある男だと、俺は思っているんだ。
エリアス……
頼むから無事でいてくれ……
いつも遠くに行っても、三日と空けずに連絡してくる。
俺がピンクの石が光ってる事に気づかない時もあるが、それでもエリアスはマメに連絡を入れてくれる。
それが、もう一週間経つのに何の連絡もしてこない。
どうしたんだ……?
何かあったのか……?
滅多な事でどうにかされる奴ではないが、だからこそ余計に気になるんだ。
「リドディルク様、どうされました?」
「え?あぁ、いや、ちょっとエリアスの事が気になってな。」
「そう言えば連絡が無いようですね。珍しいです。」
「カルレスもそう思うか?」
「えぇ。ざっくばらんって感じの方ですが、報告等はきちんとされますからね。どうされたんでしょうか……」
「そうだな。エリアスはあんな風だが、冒険者としてトップクラスだ。今まで連絡、報告を怠る事等無かったんだが……コルネール!」
「はい!何でございましょう?」
「ジルドを呼べ。」
「直ちに!」
少ししてジルドがやって来る。
「リドディルク様、いかがなさいましたか?」
「エリアスがシアレパス国へ言ってから、何の連絡もしてこない。消息を追って貰えるか。」
「畏まりました。」
ジルドは即座に行動に移した。
これで数日様子を見るか……
もしくは、俺がシアレパスまで行ってもいいが……
かなり前に一度行った事がある。
だから空間移動で行ける場所だが、明日から条約を結ぶ為にアクシタス国へ行かなければならない。
その用意等で、今は抜け出す訳にはいかない……
ひとまずはジルドに任せるしかないな。
そう考えていると、ゾランがやって来た。
「リドディルク様、ジルドにエリアスさんの事を頼みましたか?」
「え?あぁ、そうだ。ジルドに会ったのか?」
「はい、今すれ違いました。……実は、私も気になっていたんです。エリアスさんはいつも、私がリドディルク様に報告をする朝の時間に連絡をして来られるので、それが最近見受けられなかったものですから……」
「そうだな。よっぽどの事がない限り、ある程度決まった時間に連絡を入れてくれていたからな。」
「それで私も気になって、少し探っていたんですが……」
「流石だ。それで?」
「エリアスさんの事を調べている人がいました。」
「それは誰だ?」
「シアレパス国の商人で、ノエリア・オルカーニャと言う人です。彼女は若いながらも商才に長けており、今や貴族やヘタな王族よりも力を持つと言われております。」
「そんな者が、なぜエリアスの事を調べているんだ?」
「それが今はまだ分かっておりませんが……ただ……」
「ただ?」
「いえ、これは私の勝手な憶測ですが……」
「いい。言ってみろ。」
「シアレパス国は未だ奴隷制度が色濃く残っています。エリアスさんは昔、奴隷であったと聞いたことがあります。もし、何らかの事で奴隷だった事が知れて捕らえられたとか、そう言う事はないのかと考えまして……」
「そうだったな……エリアスは奴隷だった時期があったんだったな……」
「特にシアレパス国は、奴隷への扱いは酷いと聞いております。対して、ノエリア・オルカーニャは奴隷制度には反対しており、その活動も活発的に行っております。その者がエリアスさんのことを調べていると言うのが少し気になりまして……」
「なるほどな。こう言う時のゾランの読みは当たりやすいからな。ではそっち方面からも調べて貰えるか?」
「畏まりました。もしも……」
「もしも……なんだ?」
「エリアスさんが奴隷として捕らえられていて、拷問等を受けていたら……リドディルク様はどうされますか?」
「それが公に分かれば、オルギアン帝国として対象するしかなくなるな。……そうか。もしそうなっていたと仮定した場合……」
「えぇ。エリアスさんは自分の身元が分からない様にしている可能性があります。」
「そうだな。エリアスならそうするか。アイツは周りの事を考え過ぎる位考える奴だからな。しかし、エリアスが自分の事を政治に使われたくないと思っているのなら、俺はエリアスの意思を汲むつもりだ。」
「分かりました。では、早急に調べます!」
「あぁ。頼んだ。」
前に、エリアスの生い立ちを聞いたことがある。
孤児院でひどい扱いを受け、そこを逃げ出してアクシタス国の国境で盗賊に捕まり奴隷として売られ、魔眼が使える様になってからは捨てられて、それから自力で生きて来たと……
奴隷になったら奴隷紋をつけられ、それは傷をより痛く感じさせ、治りにくくし、治っても痛みが続くようになるのだと言う。
エリアスも同じ様に傷を受けたら痛みが長く続く様だったので、その奴隷紋を消そうかと何度も言ったが、これは自分の戒めだからこのままで良いといつも断られた。
エリアスは自分の母親を殺してしまったことを知ってからずっと気にしていて、今も自分で自分を罰しているんだ。
そんな必要はない、と言ったが、「そうだな。」と笑いながらいつも俺の言葉を躱わす。
アイツはどう思っているのか分からないが、俺はエリアスを友人だと思っている。
だから心配なんだ。
もう少し自分の事を考えて行動して欲しいんだが、いつも人の事を考えて過ぎて行動するからな。
今回はゾランの予測が外れればいいんだが……
今はゾランとジルドに任せるしかない。
明日はアクシタス国へ向かわなければならない。
それが終われば、俺もシアレパス国へ行くか……
奴隷……か……
エリアスからアシュリーとの旅であった事等を聞いたが、エリアスがいた孤児院から、エリアスと共に逃げ出した子供達が殺されていく話を聞いた時は、マルティノア教国の酷さに驚愕を覚えたものだ。
それからアデルの事も聞き、それでエリアスとアシュリーはマルティノアの教皇を倒しに行ったのだと納得出来た。
他にも、俺が知らないアシュリーとの旅の話をエリアスは楽しそうに話していたが、多分俺の悔しそうな顔を見たかったんだろうな。
全く、アイツは良い性格をしている。
けれど、言いにくい事も報告するように話してくれた。
だから自分はこう思っているんだと、堂々と俺に告げてくる。
竹を割ったような性格とは、エリアスの事を言うんだろうな。
もし何かでエリアスが困った事態に陥っているのなら、俺は全力で助けに行く。
国を挙げて助け出す事も厭わない。
それだけの価値のある男だと、俺は思っているんだ。
エリアス……
頼むから無事でいてくれ……
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