315 / 363
第八章
三人での旅
しおりを挟む
私は今、シアレパス国の港町ラブニルにいる。
これから、旅に出るんだ。
オルギアン帝国まで、三人で行く。
食材もいっぱい持ったし、水も充分ある。
旅に出るのに、準備万端な状態だ。
「じゃあ、行こう。」
「うん。姉ちゃ。」
「あぁ。行こう。」
私が微笑むと、二人は微笑んでくれる。
やっぱり一人で旅をするより、誰かと一緒に旅をする方が楽しいんだな。
空間移動で、イルナミの街までやって来た。
そこから歩いて、まずグリオルド国まで行く。
私が記憶にしっかり残っている所はどこか聞かれて、真っ先に答えたのはここだった。
そう言ったら、じゃあまずそこに行こうってなったんだ。
「ここのシスター達に会っていくか?」
「え?……あぁ、そうだな。うん、そうしよう。」
「シスター達?」
「あぁ、ウルは知らなかったね。この街に孤児院があってね。そこにレクスと言う少年がいたんだ。レクスは私を庇って亡くなってしまったんだけど……それから少しの間、私はレクスの霊と一緒に旅をしてたんだよ。」
「えぇ?!霊と?!」
「うん。私は霊とか精霊とか見えるから。それで、孤児院の人達と仲良くなって……それから……あれ……?」
「どうしたん?姉ちゃ?」
「ううん……なんか……よく思い出せなくて……」
「大丈夫だ。無理に思い出さなくて良いから。行くか?」
「あ、うん。ディルク。」
私がディルクに微笑むと、ディルクも私を見て微笑む。
私とウルとディルクの三人で、これから旅をする事になったんだ。
でも、なんでこうなったのかは、実はちゃんと覚えていない……
ディルクが言うには、私は高熱を出して何日も意識不明の状態になって、それで目覚めたら記憶が曖昧になっていて……
思い出せないところが色々あって不安だったんだけど、傍にはディルクがいてくれて、無理して思い出さなくて良いからって言ってくれたんだ。
ディルクと一緒に、ウルリーカって言うエルフの女の子がいて、私が目を覚ますと泣きながら抱きついてきた。
この少女の事を私は覚えてなくて……
私の前からいなくなった母は、リフレイム島と言うところまで行って、ウルと一緒に暮らしていたんだそうだ。
小さな頃からずっと一人だったウルは、母と一緒に暮らせた事が嬉しかったみたいで、でも母は突然いなくなってしまって、それからまた一人で帰りを待っていたそうだ。
その後母はオルギアン帝国にいることが分かって、なぜそこにいるのかは分からないけれど、私達はオルギアン帝国まで行くことになってたんだ。
ディルクは旅をしている人で、前に弟を探しているって言っていて……
だから、今も多分弟を探して旅をしてるんだと思う。
ディルクにその事を聞いても、そうだなって言って微笑むだけなんだ。
けど、ずっとなかなか会えなかったんだけど、今は私の傍にいてくれる。
それが凄く嬉しいんだ。
それに、私はディルクに触れても大丈夫なんだ!
私の右手は触れた人の過去や未来が見えて、左手は触れた人にあった私の記憶が亡くなっていくという力があるんだけど、ディルクと、それにウルに触れても何も起こらないんだ!
人に触れる事が出来るのが凄く嬉しくて、好きな人と触れ合える事が幸せで……
私は今きっと、凄く幸せなんだと思う。
なぜ触れる事が出来るのか、それは私達には精霊の血を受け継いでいるからなんだって、ディルクが教えてくれたんだ。
だから、精霊に近い存在であるエルフのウルにも、触れる事が出来るんだって。
そう言われてから、ディルクと銀髪の村で会った事を思い出した。
あの時、私はディルクの事が好きになったんだな……
ううん……本当は初めて会った時から、ディルクは私にとって特別だったんだ……
ずっと、母にしか触れられないと思っていたから、こうやって他の人にも触れられる事が嬉しくて仕方がない。
だから、思わずディルクの肘あたりの服を掴んでしまう……
そうするとディルクは微笑んで、私と手を繋ぐんだ。
孤児院に着いて、先にディルクが挨拶しに行ってくるって言って走って行く。
私とウルは手を繋いで、孤児院まで歩いて行く。
ディルクとシスター達が出てきて、シスターは私達を歓迎してくれた。
子供達が増えていて、驚いてそれを聞くと、シスターは少し困惑した感じになったけれど、人が多くなって楽しいんですよ、と微笑んで言っていた。
中に入って皆でお茶を飲みながら、子供達の様子を聞く。
ウルは子供達と一緒に外で遊んでいて、凄く楽しそうに大きな声で笑っていた。
笑い声って良いな……って思いながら、思わず私も笑みが溢れてしまう。
子供達は元気で明るくて、貴方達の寄付があったから生活に困る事がなくなった、とお礼を言ってきた。
そんな事、いつしたんだろう……?
それでも、日々子供達も出来る事をして稼いでいるんだそうだ。
話が一段落した所で、行くか、となって席を立つ。
ウルは皆にいつまでも手を振っていて、名残惜しそうに孤児院をあとにした。
ここイルナミの街は、アクシタス国の国境沿いにある街だから、このままアクシタス国へ空間移動で行ってからグリオルド国へ言った方が近いからそうしようか、と聞くと、ウルはアクシタス国には行きたくないと言う。
じゃあ、そのままグリオルド国まで行こうってなって、私達は歩いてグリオルド国まで行くことにした。
オルギアン帝国にも行ったことがあるから、空間移動で行こうか?と聞いたけど、ゆっくり旅をしながら行こうって話し合って、ウルに早く母に会いたくないの?と聞くと、旅を楽しみながら行きたいから良いって言う。
そう言う訳で、私達はグリオルド国へ歩いて向かう事にしたんだ。
これから、旅に出るんだ。
オルギアン帝国まで、三人で行く。
食材もいっぱい持ったし、水も充分ある。
旅に出るのに、準備万端な状態だ。
「じゃあ、行こう。」
「うん。姉ちゃ。」
「あぁ。行こう。」
私が微笑むと、二人は微笑んでくれる。
やっぱり一人で旅をするより、誰かと一緒に旅をする方が楽しいんだな。
空間移動で、イルナミの街までやって来た。
そこから歩いて、まずグリオルド国まで行く。
私が記憶にしっかり残っている所はどこか聞かれて、真っ先に答えたのはここだった。
そう言ったら、じゃあまずそこに行こうってなったんだ。
「ここのシスター達に会っていくか?」
「え?……あぁ、そうだな。うん、そうしよう。」
「シスター達?」
「あぁ、ウルは知らなかったね。この街に孤児院があってね。そこにレクスと言う少年がいたんだ。レクスは私を庇って亡くなってしまったんだけど……それから少しの間、私はレクスの霊と一緒に旅をしてたんだよ。」
「えぇ?!霊と?!」
「うん。私は霊とか精霊とか見えるから。それで、孤児院の人達と仲良くなって……それから……あれ……?」
「どうしたん?姉ちゃ?」
「ううん……なんか……よく思い出せなくて……」
「大丈夫だ。無理に思い出さなくて良いから。行くか?」
「あ、うん。ディルク。」
私がディルクに微笑むと、ディルクも私を見て微笑む。
私とウルとディルクの三人で、これから旅をする事になったんだ。
でも、なんでこうなったのかは、実はちゃんと覚えていない……
ディルクが言うには、私は高熱を出して何日も意識不明の状態になって、それで目覚めたら記憶が曖昧になっていて……
思い出せないところが色々あって不安だったんだけど、傍にはディルクがいてくれて、無理して思い出さなくて良いからって言ってくれたんだ。
ディルクと一緒に、ウルリーカって言うエルフの女の子がいて、私が目を覚ますと泣きながら抱きついてきた。
この少女の事を私は覚えてなくて……
私の前からいなくなった母は、リフレイム島と言うところまで行って、ウルと一緒に暮らしていたんだそうだ。
小さな頃からずっと一人だったウルは、母と一緒に暮らせた事が嬉しかったみたいで、でも母は突然いなくなってしまって、それからまた一人で帰りを待っていたそうだ。
その後母はオルギアン帝国にいることが分かって、なぜそこにいるのかは分からないけれど、私達はオルギアン帝国まで行くことになってたんだ。
ディルクは旅をしている人で、前に弟を探しているって言っていて……
だから、今も多分弟を探して旅をしてるんだと思う。
ディルクにその事を聞いても、そうだなって言って微笑むだけなんだ。
けど、ずっとなかなか会えなかったんだけど、今は私の傍にいてくれる。
それが凄く嬉しいんだ。
それに、私はディルクに触れても大丈夫なんだ!
私の右手は触れた人の過去や未来が見えて、左手は触れた人にあった私の記憶が亡くなっていくという力があるんだけど、ディルクと、それにウルに触れても何も起こらないんだ!
人に触れる事が出来るのが凄く嬉しくて、好きな人と触れ合える事が幸せで……
私は今きっと、凄く幸せなんだと思う。
なぜ触れる事が出来るのか、それは私達には精霊の血を受け継いでいるからなんだって、ディルクが教えてくれたんだ。
だから、精霊に近い存在であるエルフのウルにも、触れる事が出来るんだって。
そう言われてから、ディルクと銀髪の村で会った事を思い出した。
あの時、私はディルクの事が好きになったんだな……
ううん……本当は初めて会った時から、ディルクは私にとって特別だったんだ……
ずっと、母にしか触れられないと思っていたから、こうやって他の人にも触れられる事が嬉しくて仕方がない。
だから、思わずディルクの肘あたりの服を掴んでしまう……
そうするとディルクは微笑んで、私と手を繋ぐんだ。
孤児院に着いて、先にディルクが挨拶しに行ってくるって言って走って行く。
私とウルは手を繋いで、孤児院まで歩いて行く。
ディルクとシスター達が出てきて、シスターは私達を歓迎してくれた。
子供達が増えていて、驚いてそれを聞くと、シスターは少し困惑した感じになったけれど、人が多くなって楽しいんですよ、と微笑んで言っていた。
中に入って皆でお茶を飲みながら、子供達の様子を聞く。
ウルは子供達と一緒に外で遊んでいて、凄く楽しそうに大きな声で笑っていた。
笑い声って良いな……って思いながら、思わず私も笑みが溢れてしまう。
子供達は元気で明るくて、貴方達の寄付があったから生活に困る事がなくなった、とお礼を言ってきた。
そんな事、いつしたんだろう……?
それでも、日々子供達も出来る事をして稼いでいるんだそうだ。
話が一段落した所で、行くか、となって席を立つ。
ウルは皆にいつまでも手を振っていて、名残惜しそうに孤児院をあとにした。
ここイルナミの街は、アクシタス国の国境沿いにある街だから、このままアクシタス国へ空間移動で行ってからグリオルド国へ言った方が近いからそうしようか、と聞くと、ウルはアクシタス国には行きたくないと言う。
じゃあ、そのままグリオルド国まで行こうってなって、私達は歩いてグリオルド国まで行くことにした。
オルギアン帝国にも行ったことがあるから、空間移動で行こうか?と聞いたけど、ゆっくり旅をしながら行こうって話し合って、ウルに早く母に会いたくないの?と聞くと、旅を楽しみながら行きたいから良いって言う。
そう言う訳で、私達はグリオルド国へ歩いて向かう事にしたんだ。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~
みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】
事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。
神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。
作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。
「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。
※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる