慟哭の時

レクフル

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第七章

復讐

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何があったのか……

何をしているのか……

自分では分からなくて

しばらく呆然としていて

ゆっくりと自分の目の前を確認するように見て

私の手には石を嵌めた短剣があって

その短剣の先は見えなくなっていて

そこから少しずつ血が流れてきた……


「ア……シュ…リー……」

「え……?」


顔を上げて、その人見る。

その人が私を抱き締める。

けれど、その腕は震えている。

この腕を……私は知っている……


「え……ディルク……」


私を見て、ディルクは微笑む

思い出す……

ディルクとの日々が私の頭の中を駆け巡る……

私が愛した……

私のディルク……


「ディルク……?」


私の目の前には短剣がある

それはディルクの胸に食い込むように刺さっていた

自分が何をしたのか

ようやく理解してきた……!


「ディルクっ!!」

「ア……シュリー……」

「私……っ!えっ?!なんでっ!」

「アシュレイ?!何やってんだ?!」


エリアスが私達を見て、驚いた声で叫ぶ。

すぐに私は回復魔法をディルクにかける。
けれど、血が止まることはなく……!


「アハハハ……!アハハハハハハハっ!!」


この状況に場違いなしわがれた笑い声が聞こえて、思わず声のする方に目をやる。
そこにはヨボヨボと歩く年老いた男が、木の人形の様な出で立ちの者達に捕らえられてこちらを見て笑っていた。


「やっぱりお前は聖女様だったんだな!会った時は髪が黒かったから分からなかったけど、保険として呪いをかけておいて良かった!そいつを見て名前を聞いたら呪いが発動するようにな!どうだ!リドディルク!愛する者に殺されると言うのは!アハハハハハっ!」

「なに……?どうなって……!?」

「調べて知っていたんだ!お前は回復魔法が効かないんだってな!アハハハ!死んでしまえっ!お前なんか死んでしまえ!リドディルクっ!!」

「リドディルク様っ!!」


男が私達を見て、走ってやって来る。
あれは……ゾラン……?

エリアスも走ってやって来る。

私を抱き締めて離さないディルクが、少しずつ力を無くしていく……!


「ディルクっ!ディルクっ!!嫌だ!!なんでっ!!ディルクっ!!」

「……やっと……会え……」

「ディルクっ!!」

「…ア…シュ…………愛…し…て……………」

「嫌だっ!嫌だっ!!ディルクっ!!」


抱き締めながら回復魔法を放つ。
何度も何度も放つ。
けれど、その傷が癒える事はない……
ディルクに回復魔法は効かない……!

ディルクが崩れ落ちる様にして、私にのし掛かってくる……

ゾランがディルクを支えて……

エリアスもディルクと私を支える様にして

私は訳が分からなくなって

すごく頭が混乱して

それから

目の前が暗闇に覆われるような感じになって

訳が分からなくなったまま

意識はどこかにいってしまった






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