追っかけメイドはイケおじ騎士団長とチョメチョメしたい!

春浦ディスコ

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第11話

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 翌日、ソフィアとマリーンに報告すると、飛びはねて喜んでくれた。間違えた方向に進もうとしていた自分を導いてくれたお礼を伝えると、そんなの当たり前だと返してくれた。

ーーー

 一日の仕事を終える。
 今日も順調に小型魔獣を討伐できたらしい。むしろ予定よりも早く数を減らしているそうだ。

 シャワーを浴びたあとに調理室に飲み水を取りに来ると、ジルベルトに遭遇した。

「エマ、シャワー終わりかい」
「はい」

 えへへと、気恥ずかしくて笑ってしまう。昨日の今日で、どんな態度を取ったらいいのかわからない。

「エマ、おいで」

 近づくと腰を抱かれる。憧れのジルベルトと触れ合っている。うっとりとジルベルトを見つめた。

「昨日も思ったが、シャワーを浴びたエマは色っぽくて困るな」

 何が困るというのだ。手を出したいという意味でしか捉えられない。
 顔が近づいてきたことに気づき、エマも自然と顔を傾けた。唇が触れ合う瞬間、食堂の扉がガラガラと開いた。咄嗟にしゃがみこみ、腕をひっぱりジルベルトも座らせる。

「どうして隠れるんだい」
「だって、バレちゃいます!」

 小声で話していると、どうやら入ってきたのは新人騎士とマリーンのようだ。

「なあに?話って」
「俺、実はセイグルに友達がいて、マリーンさんの話聞いたことがあって……頼んだら筆下ろししてくれるって」

 エマとジルベルトが顔を見合わせる。

「ここに来てから相部屋でオナニーもできないし、日に日に頭がおかしくなりそうで、俺……」
「うーん、まあいいわよ?」

 渋々了承したような言い方だが、マリーンは喜んでいるに違いない。

「本当ですか!マリーンさん!」
「きゃっ」
「はあ、おっきい、このおっぱい、ずっと触りたかったんです」
「もう、優しく触ってぇ?」
「すいません、ああ、すごい……」

 二人の声と布が擦れる音だけが聞こえる。

「ここ、触っていいですか」
「いいわよ……」
バサバサとスカートをめくりあげる音だろうか。

「あん」
「はあ、たまらないです」

 ジュプ、チュプと水音が聞こえてきた。マリーンのあそこを舐めているのかもしれない。

「ああ、もう、俺」
「きて?」

 パンパンパンと肌がぶつかる音がする。もう挿入したのか。エマには信じられないスピード感である。

「やばい、やばい、気持ちよすぎるっ」
「んっ、んっ!」

 激しい音にこちらも恥ずかしくなる。

「ああ!可愛いすぎるっ、あ、あ、だめだっ!出る!くうっ」

 あっけなく射精したようだ。

「マリーンさん……とろとろで、最高でした……」
「ふふっありがとう」

「じゃあ、おまけに」

 ちゅう、とリップ音が鳴った。水音が続く。いやらしいキスをしているようだ。ちゅぱ、ちゅうと、いやらしい音が静かな食堂に響く。

「ああ、マリーンさん……」

「んはっ、……これでおしまいよ?」
「はあ、めちゃくちゃ、なんかスッキリしました……」
「うーん、スッキリしたと言われても女は喜ばないわよ?好きになった人には愛の言葉を囁いてあげてね」
「たしかに、なんかスッキリして思わず……。すみません」
「明日からも魔獣の討伐、頑張ってね」
「はい!頑張ります!」

 エマはなんとなくアベルのことを考えていた。アベルはマリーンのこんな姿を知っているのだろうか。
 二人が出ていくと、ジルベルトが目を瞑って動かない。

「ん?……ジルベルト様、おっきくなってる」
「まあ、自然現象ということで、許してくれ」
「私、お手伝いしましょうか……?」

 そろりと股間に手を近づける。

「いや、大丈夫だよ」

(あーん、残念)

「……ちなみに、二人の行為に、というより、エマを想像してしまった。誤解のないように」

 ほんのりと恥ずかしそうに照れた様子に、エマはキュンキュンとときめいてしまう。

(か、可愛い……!いつも余裕そうなジルベルト様の照れた顔!貴重だ!)

 おさまったらしいジルベルトがエマを立たせてくれる。顔を寄せて耳元で囁く。

「……全てが落ち着いたら寝台の上で愛させてくれるかい」
「っ……はい……」

(前言撤回!やっぱり、格好よすぎます……!)


ーーー

「団長、地元の自警団の方が来ています」

 討伐を午前に終わらせた日の午後、予定にはない来客があった。
 食堂で話し合いを行っているらしい。終わったのかぞろぞろと数人の自警団が出てきた。

「エマ!」
「げっ」

 エマを呼ぶ大声に隣にいたソフィアが声を出した。

「帰ってたなら連絡よこせよ!」

 エマに声をかけたのは、エマの幼なじみ、トスカだった。大柄な体躯に声と態度が大きく、地元では有名な男だ。

「久しぶりだねえ、トスカ」
「去年戻ってきた時も、顔見せずにまた王都に戻ったらしいじゃねえか。本当に薄情なやつだな」

 ひどい物言いだが、昔からなのでエマはこの程度ではなんとも思わない。好きでもないが。

「この遠征が終わったらどうせ休みだろ?王都に戻らず地元に残れよ」
「んーそれは無いかなぁ」

 遠征が終わればまずは仕事の報告がしたいし、別にトスカとの時間を作る理由もない。

「ほんっとに、お前は!しょうがねえんだから!ちょっと、こっちにこいよ!」

 大柄なトスカに腕を捕まえられたかと思ったが、その瞬間に目の前の男が倒れた。

「汚い手で触らないでくれるかな」
「ジルベルト様!」

 地を這うような聞いた事のない声に驚いたが、捕まれた腕が痛かったため安心する。

「大丈夫かい、エマ」
「はい」
「なんだよ、邪魔すんじゃねえよ!くそが!」

 口の悪さに恥ずかしくなる。こんなのが幼なじみだと思われて、引かれてしまわないか心配になる。

「無断で女性に触るような輩の話は聞く価値はないが、どうやらエマの知り合いのようなので、仕方なく聞こうか」

 別に聞かなくてもいいんだけどな、と思いつつ成り行きを見守る。

「俺はエマに話があるんだよ!団長様には関係ないだろ!」
「エマに話があるなら同席しよう」
「いらねえよ!」
「うちの大切なメイドを輩と二人きりにさせる訳にはいかないな」

 気づけば騎士達に取り囲まれていた。その場にいた騎士達が腕組みをしながらトスカを睨んでいる。ジルベルトと同様に、働き者のエマに無体を働こうとした男に騎士達は苛立っていた。

「トスカ、騎士の皆さんに迷惑かけないでよ。仕事で来てるんだよ」
「はあ!?おまえ、ふざけんなよ!俺がどれだけお前のこと待ってたと思ってんだよっ」
「どういう意味?トスカってソフィアが好きだったじゃん」

 エマの素っ頓狂な声に男は青ざめる。

「それは、お前が悪いんだろ!お前を妬かせるために……ああもうっ!くそがっ」

 どうしようもなくなった男はどこかに走っていった。困惑する他の自警団のメンバーも追いかけるように姿を消した。

 面白い物を見たと騎士達も散らばっていく。

「まあ、今回でやっと諦めてくれるんじゃないかな」

 ソフィアの言葉にエマは不思議に思う。

「トスカってずっとエマのこと好きだったから」
「ええ!?そんなの知らないよ?」
「あいつはほんっとに拗らせてたからね。エマへの気持ちを。エマがモテないって言ってたのもガキ大将のあいつが周りにずっと牽制してたからねえ、俺のもんだから手ぇだすなよ!って」
「ええ!?誰のものにもなったことないけど!」
「待ちなさい、今は私のものだろう」
「あ、えっと、えへへ」

 見つめ合う二人のなんとも甘ったるくなった雰囲気にソフィアがにんまりとしている。

 エマは知らなかったが、地元で過ごしている間、マリーンやソフィアと同じくらいに好かれていたエマだったが、体が大きく地元では有力な家の息子であるトスカにも好かれていた。
 誰かがエマを好きだという噂を聞きつけては俺のものだと言い回っていた。どうにかしてエマを振り向かせたいと、ソフィアに気があると嘘をつき相談に乗ってもらう体で、二人きりになったり、嫉妬させようと奮闘した。もちろん、エマを好きなことは有名な話であったためソフィアがトスカを相手にすることはなかった。

 先日街に買い出しに言った際に、仲間の一人がエマの姿を見つけ、今回わざわざ自警団としてやってきてはエマと会おうとした訳だ。
 自警団としての話し合いも、緊急性のない大したことがない話だったらしい。

「申し訳ないです、ご迷惑をお掛けして……」
「エマが謝ることないよ。むしろ、私が居るときでよかった。エマにこれまで恋人がいなかった理由もわかったしね」

ーーー

 自警団の襲来で仕事が遅れてしまった。急ぎで洗濯物を届けに行く。これが終われば夕食作りだ。
 あちこちに走り回っていると、倉庫の軒下で装備の手入れをしている騎士達がいた。ジルベルトとアベルだ。何か話し込んでいる。

「可愛いですよねーエマちゃん、やっぱりモテるんだなあ~!」

 突然聞こえた自分の名前に思わず壁にへばりついて隠れてしまった。

「手を出すなよ」
「前から思ってたんでけど、団長ってエマちゃん狙ってるんですか!?」
「......騎士の宿舎を進んで担当して綺麗にしてくれるメイドがどこにいるんだ、辞められたら困るだろう」

 ガツンと大きな石を頭に受けたような衝撃だった。
 何、今の。心臓がすごい速さで鳴りだした。

(なんだ、……そういうことだったの?)

 心臓が痛い。エマは胸を押さえた。

「まあ、それはそうですけど......じゃあ俺が手を出してもいいですよね」
「今の話をどう理解したらそうなるんだ......駄目に決まっているだろう」
「えーだって団長は狙ってないんでしょう?恋愛は自由じゃないんですか」
「エマがお前を好きになることはないよ」
「辛辣!」

(どういうこと...?)

 信じられない言葉に動揺したエマは急いでその場を離れた。
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