213 / 318
黒の村にて 久々に聞いたみんなの評価と不可解な事
しおりを挟む
数日が経ち、僕はもはや日課と言って良い事をこなすため広場にいた。日課の内容は当然ポポ達との模擬戦。でも、前の一対一を五連戦とはやり方が変わり、今は五対一で勝負がつくまで休まず戦い続けてる。
「やあっ‼︎」
「フンッ‼︎」
「うりゃあっ‼︎」
「負けないわよっ‼︎」
「今度こそ当ててやるっ‼︎」
界気化した魔力を周りに放ち、ポポ達の動きを事前に感知して対応した。つまり拳を弾き、蹴りをさばき、つかみかかってくる手から離れ、尾による不意打ちを避けた後、僕は冷静に一人ずつ体勢を崩し後頭部や首を触っていく。
「これで勝負あり、だよ」
最後まで残ったポポは、僕に後頭部を触られて身体から力を抜いた。そして僕が頭から手を離すと、ポポはつぶやく。
「また勝てなかった……」
「そうだね。でも、前より動きは良くなってるし、連携も取れてたよ」
「だとしても、五対一でヤートに攻撃を当てれないのは……」
「僕はどんな時でも、できる限り避けれるように鍛錬してるから」
「……クソッ」
僕の言葉を聞いてポポ達は悔しそうにしていた。
「……また俺達と戦ってくれるか?」
「僕にとっても良い鍛錬になるから大歓迎なんだけど、界気化した魔力を使って相手の考えを読む反則をしてる僕と戦うのは嫌じゃないの?」
「なんで嫌になるんだ? おもしろいに決まってるだろ。なあ?」
ポポが即答してから周りの子達に聞くと、周りの子達も「もっとやりたい」とか「挑みがいがある」って同意してきた。
「ヤートの界気化は、ヤートが鍛錬して習得した技術で、その技術を自分の弱い部分を補うために使ってるんだ。文句なんかない。それにヤートの戦い方は、俺達が今まで見た事のないものだぞ。嫌がる奴なんて、この黒の村にいるわけがない」
「さすがに全員っていう事はないよ」
「広場の周りを見てみろ」
「周り? ……え?」
村長や門番のネリダさんをはじめとした黒の大人達が、広場の端に並んで僕を見ていた。パッと見でいないのは父さん・母さん・ラカムタさんくらいだから、本当にほぼ全ての黒の大人達が集まっているみたい。……まあ、それはそれとして。
「みんな、仕事は良いの?」
「たぶん、速攻で終わらせたか、ヤートと俺達が戦ってる時だけ止めてるんじゃねえかな」
「えー……」
「俺達も大人達も、ヤートに興味津々だって言っただろ?」
「……あれ? ここ何日かで、父さんと母さん以外から戦いたいとか言われた事ないよ?」
「それはマルディさんから大人達に、ヤートが回復するまで無茶をさせないよう、お願いされてたからだな」
「そうなんだ……」
どうやら父さんは、しっかりと村のみんなに根回ししてくれてたみたいだね。
「それだけじゃないぞ」
「うん?」
声をした方を見たら、父さん・母さん・ラカムタさんが大人達の列の間を抜け僕達の方に歩いてきてくる。気になるのは父さんが兄さんを、母さんが姉さんを抱いている事。……どうやら前に言ってたのを、今日やったみたいだと思いつき、すぐそばまでやってきた母さんに確認してみる。
「母さん、兄さんと姉さんの二人と戦ってどうだった?」
「二人とも、打撃の重さも動きの速さも上がってて強くなってたわ」
「満足できた?」
「もちろんよ。二人の打撃を受け止めた時に残った腕の痺れは忘れられないわね」
「それなら良かった。ところで兄さんと姉さんは大丈夫?」
僕が聞くと、二人はプルプル震えながら顔を僕へと向ける。
「森の、中で、ずっと、戦ってた……」
「疲れ、過ぎて、動け、ないの……」
「……そこまで疲れてるなら、家で休めば良かったんじゃ」
「ヤートと、父さんの、戦いを、見逃して、たまるかよ……」
「ガルの、言う、通りよ。寝てる、場合じゃ、ないわ……」
兄さんと姉さんの言葉を聞き、ついに来たかと思い父さんを見た。
「父さん、今日やるんだね」
「ヤートの動きを見て、エステアとラカムタに相談した結果だ。いけるか? ヤート」
「うん、大丈夫だよ」
「そうか。ラカムタ、ガルを頼む」
「まかせろ。ポポ達も、俺達と下がるぞ」
ラカムタさんは父さんから兄さんを受け取り、母さんやポポ達と広場の端へ移動していき、広場の真ん中に残ったのは僕と父さんだけになる。
「父さん」
「何だ?」
「さっき言ってた、それだけじゃないっていうのは何の事?」
「ああ、それは簡単でな、村に戻ってきたヤートと最初に戦うのは父親である俺だっていう話だ。例え村長に頼まれたとしても、これは譲れない」
「……なるほど」
父さんの身体から戦意があふれてきた。……かなりやる気になってるから、期待外れにならないよう真剣に戦おう。僕は深呼吸を一回して界気化した魔力を放ち戦闘態勢に入った。そして…………。
「良い感じに張り詰めてるな。そういう精神のブレが小さいところはさすがだ」
父さんに後ろを取られた。界気化した魔力を放ってたのに、父さんの僕の後ろに回り込むっていう考えが感知できなかった。いったい父さんは何をしたんだ?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
「やあっ‼︎」
「フンッ‼︎」
「うりゃあっ‼︎」
「負けないわよっ‼︎」
「今度こそ当ててやるっ‼︎」
界気化した魔力を周りに放ち、ポポ達の動きを事前に感知して対応した。つまり拳を弾き、蹴りをさばき、つかみかかってくる手から離れ、尾による不意打ちを避けた後、僕は冷静に一人ずつ体勢を崩し後頭部や首を触っていく。
「これで勝負あり、だよ」
最後まで残ったポポは、僕に後頭部を触られて身体から力を抜いた。そして僕が頭から手を離すと、ポポはつぶやく。
「また勝てなかった……」
「そうだね。でも、前より動きは良くなってるし、連携も取れてたよ」
「だとしても、五対一でヤートに攻撃を当てれないのは……」
「僕はどんな時でも、できる限り避けれるように鍛錬してるから」
「……クソッ」
僕の言葉を聞いてポポ達は悔しそうにしていた。
「……また俺達と戦ってくれるか?」
「僕にとっても良い鍛錬になるから大歓迎なんだけど、界気化した魔力を使って相手の考えを読む反則をしてる僕と戦うのは嫌じゃないの?」
「なんで嫌になるんだ? おもしろいに決まってるだろ。なあ?」
ポポが即答してから周りの子達に聞くと、周りの子達も「もっとやりたい」とか「挑みがいがある」って同意してきた。
「ヤートの界気化は、ヤートが鍛錬して習得した技術で、その技術を自分の弱い部分を補うために使ってるんだ。文句なんかない。それにヤートの戦い方は、俺達が今まで見た事のないものだぞ。嫌がる奴なんて、この黒の村にいるわけがない」
「さすがに全員っていう事はないよ」
「広場の周りを見てみろ」
「周り? ……え?」
村長や門番のネリダさんをはじめとした黒の大人達が、広場の端に並んで僕を見ていた。パッと見でいないのは父さん・母さん・ラカムタさんくらいだから、本当にほぼ全ての黒の大人達が集まっているみたい。……まあ、それはそれとして。
「みんな、仕事は良いの?」
「たぶん、速攻で終わらせたか、ヤートと俺達が戦ってる時だけ止めてるんじゃねえかな」
「えー……」
「俺達も大人達も、ヤートに興味津々だって言っただろ?」
「……あれ? ここ何日かで、父さんと母さん以外から戦いたいとか言われた事ないよ?」
「それはマルディさんから大人達に、ヤートが回復するまで無茶をさせないよう、お願いされてたからだな」
「そうなんだ……」
どうやら父さんは、しっかりと村のみんなに根回ししてくれてたみたいだね。
「それだけじゃないぞ」
「うん?」
声をした方を見たら、父さん・母さん・ラカムタさんが大人達の列の間を抜け僕達の方に歩いてきてくる。気になるのは父さんが兄さんを、母さんが姉さんを抱いている事。……どうやら前に言ってたのを、今日やったみたいだと思いつき、すぐそばまでやってきた母さんに確認してみる。
「母さん、兄さんと姉さんの二人と戦ってどうだった?」
「二人とも、打撃の重さも動きの速さも上がってて強くなってたわ」
「満足できた?」
「もちろんよ。二人の打撃を受け止めた時に残った腕の痺れは忘れられないわね」
「それなら良かった。ところで兄さんと姉さんは大丈夫?」
僕が聞くと、二人はプルプル震えながら顔を僕へと向ける。
「森の、中で、ずっと、戦ってた……」
「疲れ、過ぎて、動け、ないの……」
「……そこまで疲れてるなら、家で休めば良かったんじゃ」
「ヤートと、父さんの、戦いを、見逃して、たまるかよ……」
「ガルの、言う、通りよ。寝てる、場合じゃ、ないわ……」
兄さんと姉さんの言葉を聞き、ついに来たかと思い父さんを見た。
「父さん、今日やるんだね」
「ヤートの動きを見て、エステアとラカムタに相談した結果だ。いけるか? ヤート」
「うん、大丈夫だよ」
「そうか。ラカムタ、ガルを頼む」
「まかせろ。ポポ達も、俺達と下がるぞ」
ラカムタさんは父さんから兄さんを受け取り、母さんやポポ達と広場の端へ移動していき、広場の真ん中に残ったのは僕と父さんだけになる。
「父さん」
「何だ?」
「さっき言ってた、それだけじゃないっていうのは何の事?」
「ああ、それは簡単でな、村に戻ってきたヤートと最初に戦うのは父親である俺だっていう話だ。例え村長に頼まれたとしても、これは譲れない」
「……なるほど」
父さんの身体から戦意があふれてきた。……かなりやる気になってるから、期待外れにならないよう真剣に戦おう。僕は深呼吸を一回して界気化した魔力を放ち戦闘態勢に入った。そして…………。
「良い感じに張り詰めてるな。そういう精神のブレが小さいところはさすがだ」
父さんに後ろを取られた。界気化した魔力を放ってたのに、父さんの僕の後ろに回り込むっていう考えが感知できなかった。いったい父さんは何をしたんだ?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
16
あなたにおすすめの小説
転生したので好きに生きよう!
ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。
不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。
奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。
※見切り発車感が凄い。
※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。
《完結》当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!
犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。
そして夢をみた。
日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。
その顔を見て目が覚めた。
なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。
数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。
幼少期、最初はツラい状況が続きます。
作者都合のゆるふわご都合設定です。
日曜日以外、1日1話更新目指してます。
エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。
お楽しみ頂けたら幸いです。
***************
2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます!
100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!!
2024年9月9日 お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます!
200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
2025年1月6日 お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております!
ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします!
2025年3月17日 お気に入り登録400人達成 驚愕し若干焦っております!
こんなにも多くの方に呼んでいただけるとか、本当に感謝感謝でございます。こんなにも長くなった物語でも、ここまで見捨てずに居てくださる皆様、ありがとうございます!!
2025年6月10日 お気に入り登録500人達成 ひょえぇぇ?!
なんですと?!完結してからも登録してくださる方が?!ありがとうございます、ありがとうございます!!
こんなに多くの方にお読み頂けて幸せでございます。
どうしよう、欲が出て来た?
…ショートショートとか書いてみようかな?
2025年7月8日 お気に入り登録600人達成?! うそぉん?!
欲が…欲が…ック!……うん。減った…皆様ごめんなさい、欲は出しちゃいけないらしい…
2025年9月21日 お気に入り登録700人達成?!
どうしよう、どうしよう、何をどう感謝してお返ししたら良いのだろう…
乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!
ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。
相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。
結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。
現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう…
その時に前世の記憶を取り戻すのだった…
「悪役令嬢の兄の婚約者って…」
なんとも微妙なポジション。
しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
目が覚めると私は昔読んでいた本の中の登場人物、公爵家の後妻となった元王女ビオラに転生していた。
人嫌いの公爵は、王家によって組まれた前妻もビオラのことも毛嫌いしており、何をするのも全て別。二人の結婚には愛情の欠片もなく、ビオラは使用人たちにすら相手にされぬ生活を送っていた。
それでもめげずにこの家にしがみついていたのは、ビオラが公爵のことが本当に好きだったから。しかしその想いは報われることなどなく彼女は消え、私がこの体に入ってしまったらしい。
嫌われ者のビオラに転生し、この先どうしようかと考えあぐねていると、この物語の主人公であるルカが声をかけてきた。物語の中で悲惨な幼少期を過ごし、闇落ち予定のルカは純粋なまなざしで自分を見ている。天使のような可愛らしさと優しさに、気づけば彼を救って本物の家族になりたいと考える様に。
二人一緒ならばもう孤独ではないと、私はルカとの絆を深めていく。
するといつしか私を取り巻く周りの人々の目も、変わり始めるのだったーー
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
【完結】パパ、私は犯人じゃないよ ~処刑予定の私、冷徹公爵(パパ)に溺愛されるまで~
チャビューヘ
ファンタジー
※タイトル変更しました。
「掃除(処分)しろ」と私を捨てた冷徹な父。生き残るために「心を無」にして媚びを売ったら。
「……お前の声だけが、うるさくない」
心の声が聞こえるパパと、それを知らずに生存戦略を練る娘の物語。
-----
感想送っていただいている皆様へ
たくさんの嬉しい言葉や厳しい意見も届いており一つ一つがすごく嬉しいのと頑張ろうと感じています。ご意見を元に修正必要な部分は随時更新していきます。
成長のため感想欄を閉じませんが公開はする予定ありません。ですが必ず全て目を通しています。拙作にお時間を頂きありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる