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異常を見つけ出す旅にて 意見の対立と解決策
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僕と正気に戻ったラカムタさん達は話し合い、迂回せず最短距離を行くため僕の魔法がきっかけで新しく生まれた森の中を進む事にした。…………界気化した魔力で感知できる情報の精度が落ちてるな。休んだとはいえ、大規模な魔法を集中して制御した疲れは残ってるからしょうがないか。
「ヤート君、大丈夫ですか? 私が支えているので寝てもらっても構いませんよ?」
「ヤート、この先を考えて寝ておけ」
「うーん……」
「どうした?」
「僕しか異常を感知できないから目と耳の役割の僕が寝るのは危険かなって。今のところは少しだるいだけだから、もっと疲れひどくなった時に薬草を食べるよ」
あれ? みんなの雰囲気がピリッとしたものになって立ち止まった。…………僕とリンリーがのっている鬼熊が地面に身体を着けて、他のみんなは鬼熊の周りを僕とリンリーに背を向けながら囲んだ。みんなの謎な行動に僕が戸惑っていたら、僕のすぐ後ろに座っていたリンリーが少し離れた。そしてリンリーの行動に気づいた僕がリンリーの方へ振り返る前に、僕はクイッと両肩を後ろに引かれて倒される。
「……リンリー」
「はい」
「何で膝枕?」
「理由は三つあります。一つ目は疲れている時は休むべきだからです」
「それはわかる。二つ目は?」
「頭が少し高い位置にある方が寝やすいからです」
「それもわかる。三つ目は?」
「私がヤート君に膝枕をしてあげたいからです」
「…………そうなんだ」
「そうなんです」
ニコニコしてるリンリーからは譲らないという思いが伝わってくる。僕達を囲むみんなからも感じるけど今は緊急事態だ。この止まってる時間で致命的な事が起きるかもしれないし、どうやって移動を再開してもらおうかな。…………なんか良い香りがする。……あ、これはまずい奴だ。そんな事が頭に浮かんだ時、僕の意識はスーッと遠くなっていった。
…………意識が戻るとだるさが消えていた。僕は完全に寝てたみたいだね。身体を起こして、いつものように同調で身体の状態を確認しているとリンリーに話しかけられる。
「ヤート君、よく寝てましたね。身体の調子はどうですか?」
「疲れは取れてる。これで魔法も界気化も、しっかり使えるようになったよ」
「良かったです」
「ヤート、起きたか」
「うん、僕はどれくらい寝てた?」
「一刻(前世でいう一時間)くらいだな」
「それぐらいなら許容範囲かな。それで何で僕は、この緊急事態に寝かされたの? しかもディグリが僕に誘眠草を嗅がせてくるっていう念入りさで」
僕が少しトゲのある言い方で聞くと、みんなは気まずそうに目をそらす。そんな中、ラカムタさんが頭をかきながらため息をついた。
「……無理やり寝かせたのは悪いと思っている。だが、俺達にも異常の感知という重要な役割を持つヤートを常に万全の状態でいさせるという役割がある。その点は理解してくれ」
「それなら普通に休憩を提案してよ。その方がちゃんと警戒態勢を作れて、みんなが不要な危険にさらさずに済む」
「ヤート、俺達はヤートの護衛だぞ。お前を守るために危険な目に遭うのは当たり前の事だ」
「僕が嫌なんだけど……」
「そこは割り切れ」
「無理」
「お前な……」
父さんや狩人達もラカムタさんの意見にうなずいていて、兄さん達も自分達は僕の護衛だと気合いを入れ直してる。それに三体からも当然だっていう考えが伝わってきた。これは困ったな。僕はみんなに傷ついてほしくなくて、みんなは僕のためなら傷つく事も辞さないっていう平行線か。解決するなら…………これしかないかな。僕は鬼熊から降りて一番手近な樹に触る。
「ヤート?」
「植物達と話すから少し待って」
「……おう」
数分間話して植物達が協力を快諾してくれた。ここまでしてくれるなら、あとあと何かお礼をしようと決意しつつ僕は植物達にお願いを声に出した。
「みんな、動いて道になって」
僕の魔法がきっかけで生まれた森全体から任せておけという意思を伝えてくる。すぐに森全体が徐々に震え始め、異変を察したラカムタさん達が僕を再び囲む。
「ヤート、何が起こってる⁉︎」
「あっちを見てればわかるよ」
ラカムタさん達が僕の指差した方を向くと、森の植物達は音を立てながら左右にズレていき森の中に僕達が余裕で並べる一本の真っ直ぐな道を形作った。森全体が植物達のやり切ったという達成感に満たされてる中、僕は道に足を踏み入れて状態を確認する。…………うん、程よい硬さで表面に凹凸もほぼないから、かなりの速さで進めそうだ。
「みんな、黄土の村まで一気に行こう」
「待て待て待て!!」
僕が走り出そうとした時にラカムタさんに肩をつかまれた。……なんか混乱気味だね。
「ラカムタさん、どうしたの? 森の植物達が僕達のために作ってくれた道だから移動しやすいよ?」
「それは見たらわか……いや、そうじゃない!! 何で森の中に道を作った!?」
「僕の考えた結果だね」
「だから、それはどういう事なんだ!?」
「さっきラカムタさん達には僕の護衛の役割があって傷つく事を受け入れろって言ったよね?」
「そうだな……」
「でも、僕はそれが嫌だから僕のみんなに傷ついてほしくないっていう考えと、ラカムタさん達の護衛の役割を両立するにはどうすれば良いかって悩んで、みんなが護衛につく時間を短くしようっていう結論を出した」
「時間を短く……?」
「うん、ラカムタさん達が僕の護衛なのは基本的に移動の時でしょ? だったらラカムタさん達が護衛についてる時間を短くなれば必然的に負傷する可能性も減るよね?」
「そのためだけに道を作ったのか……?」
「さっきの僕が休んでた時間を取り戻すのと、できるだけ速く黄土の村に着きたいっていうのもある」
「……そうか」
ラカムタさんを含めた全員が、どういう反応をして良いのかわからないって感じだ。いろいろ考えた結果なんだけど、そんなにおかしいかな? …………あ、そうだ。黄土の人達に言っておく事があった。
「ねえ」
「な、なんでしょう?」
「なんで敬語? ……まあ、良いや。それより一応言っておくね。大霊穴の近くに黄土の村があるって言ってたけど、確実に黄土の村も森に覆われてる。もし今までの生活を続けるのに問題があるようだったら、また植物達と話し合って森ごと大神林に移動してもらうから安心して」
「森ごと……、そんな事が……?」
「うん、時間が経って安定した森なら難しいけど、この森は生まれたばかりで僕の魔法の影響が残ってるから協力してもらえるよ。……あ、ラカムタさん、大神林って広がっても問題ないよね?」
「……それは俺に聞かれてもわからん」
みんなが今までで一番顔を引きつらせた。……三体まで引いてるのはおかしくない?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
「ヤート君、大丈夫ですか? 私が支えているので寝てもらっても構いませんよ?」
「ヤート、この先を考えて寝ておけ」
「うーん……」
「どうした?」
「僕しか異常を感知できないから目と耳の役割の僕が寝るのは危険かなって。今のところは少しだるいだけだから、もっと疲れひどくなった時に薬草を食べるよ」
あれ? みんなの雰囲気がピリッとしたものになって立ち止まった。…………僕とリンリーがのっている鬼熊が地面に身体を着けて、他のみんなは鬼熊の周りを僕とリンリーに背を向けながら囲んだ。みんなの謎な行動に僕が戸惑っていたら、僕のすぐ後ろに座っていたリンリーが少し離れた。そしてリンリーの行動に気づいた僕がリンリーの方へ振り返る前に、僕はクイッと両肩を後ろに引かれて倒される。
「……リンリー」
「はい」
「何で膝枕?」
「理由は三つあります。一つ目は疲れている時は休むべきだからです」
「それはわかる。二つ目は?」
「頭が少し高い位置にある方が寝やすいからです」
「それもわかる。三つ目は?」
「私がヤート君に膝枕をしてあげたいからです」
「…………そうなんだ」
「そうなんです」
ニコニコしてるリンリーからは譲らないという思いが伝わってくる。僕達を囲むみんなからも感じるけど今は緊急事態だ。この止まってる時間で致命的な事が起きるかもしれないし、どうやって移動を再開してもらおうかな。…………なんか良い香りがする。……あ、これはまずい奴だ。そんな事が頭に浮かんだ時、僕の意識はスーッと遠くなっていった。
…………意識が戻るとだるさが消えていた。僕は完全に寝てたみたいだね。身体を起こして、いつものように同調で身体の状態を確認しているとリンリーに話しかけられる。
「ヤート君、よく寝てましたね。身体の調子はどうですか?」
「疲れは取れてる。これで魔法も界気化も、しっかり使えるようになったよ」
「良かったです」
「ヤート、起きたか」
「うん、僕はどれくらい寝てた?」
「一刻(前世でいう一時間)くらいだな」
「それぐらいなら許容範囲かな。それで何で僕は、この緊急事態に寝かされたの? しかもディグリが僕に誘眠草を嗅がせてくるっていう念入りさで」
僕が少しトゲのある言い方で聞くと、みんなは気まずそうに目をそらす。そんな中、ラカムタさんが頭をかきながらため息をついた。
「……無理やり寝かせたのは悪いと思っている。だが、俺達にも異常の感知という重要な役割を持つヤートを常に万全の状態でいさせるという役割がある。その点は理解してくれ」
「それなら普通に休憩を提案してよ。その方がちゃんと警戒態勢を作れて、みんなが不要な危険にさらさずに済む」
「ヤート、俺達はヤートの護衛だぞ。お前を守るために危険な目に遭うのは当たり前の事だ」
「僕が嫌なんだけど……」
「そこは割り切れ」
「無理」
「お前な……」
父さんや狩人達もラカムタさんの意見にうなずいていて、兄さん達も自分達は僕の護衛だと気合いを入れ直してる。それに三体からも当然だっていう考えが伝わってきた。これは困ったな。僕はみんなに傷ついてほしくなくて、みんなは僕のためなら傷つく事も辞さないっていう平行線か。解決するなら…………これしかないかな。僕は鬼熊から降りて一番手近な樹に触る。
「ヤート?」
「植物達と話すから少し待って」
「……おう」
数分間話して植物達が協力を快諾してくれた。ここまでしてくれるなら、あとあと何かお礼をしようと決意しつつ僕は植物達にお願いを声に出した。
「みんな、動いて道になって」
僕の魔法がきっかけで生まれた森全体から任せておけという意思を伝えてくる。すぐに森全体が徐々に震え始め、異変を察したラカムタさん達が僕を再び囲む。
「ヤート、何が起こってる⁉︎」
「あっちを見てればわかるよ」
ラカムタさん達が僕の指差した方を向くと、森の植物達は音を立てながら左右にズレていき森の中に僕達が余裕で並べる一本の真っ直ぐな道を形作った。森全体が植物達のやり切ったという達成感に満たされてる中、僕は道に足を踏み入れて状態を確認する。…………うん、程よい硬さで表面に凹凸もほぼないから、かなりの速さで進めそうだ。
「みんな、黄土の村まで一気に行こう」
「待て待て待て!!」
僕が走り出そうとした時にラカムタさんに肩をつかまれた。……なんか混乱気味だね。
「ラカムタさん、どうしたの? 森の植物達が僕達のために作ってくれた道だから移動しやすいよ?」
「それは見たらわか……いや、そうじゃない!! 何で森の中に道を作った!?」
「僕の考えた結果だね」
「だから、それはどういう事なんだ!?」
「さっきラカムタさん達には僕の護衛の役割があって傷つく事を受け入れろって言ったよね?」
「そうだな……」
「でも、僕はそれが嫌だから僕のみんなに傷ついてほしくないっていう考えと、ラカムタさん達の護衛の役割を両立するにはどうすれば良いかって悩んで、みんなが護衛につく時間を短くしようっていう結論を出した」
「時間を短く……?」
「うん、ラカムタさん達が僕の護衛なのは基本的に移動の時でしょ? だったらラカムタさん達が護衛についてる時間を短くなれば必然的に負傷する可能性も減るよね?」
「そのためだけに道を作ったのか……?」
「さっきの僕が休んでた時間を取り戻すのと、できるだけ速く黄土の村に着きたいっていうのもある」
「……そうか」
ラカムタさんを含めた全員が、どういう反応をして良いのかわからないって感じだ。いろいろ考えた結果なんだけど、そんなにおかしいかな? …………あ、そうだ。黄土の人達に言っておく事があった。
「ねえ」
「な、なんでしょう?」
「なんで敬語? ……まあ、良いや。それより一応言っておくね。大霊穴の近くに黄土の村があるって言ってたけど、確実に黄土の村も森に覆われてる。もし今までの生活を続けるのに問題があるようだったら、また植物達と話し合って森ごと大神林に移動してもらうから安心して」
「森ごと……、そんな事が……?」
「うん、時間が経って安定した森なら難しいけど、この森は生まれたばかりで僕の魔法の影響が残ってるから協力してもらえるよ。……あ、ラカムタさん、大神林って広がっても問題ないよね?」
「……それは俺に聞かれてもわからん」
みんなが今までで一番顔を引きつらせた。……三体まで引いてるのはおかしくない?
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◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
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