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異常を見つけ出す旅にて 調整と到着
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森の中にできた黄土の村への道を順調に進んでいる。ほぼ平坦を直進している感じは、もしかしたら前世の舗装された道を走る車に近いかもね。そんな順調としか言えない中、強いて問題をあげるとすれば実際に走っているラカムタさん達が、あまりの走りやすさから無意識に全速力以上を出してしまう事かな。
「みんな、また速くなってるよ」
「おっと、悪い」
「ラカムタ、一度休憩を入れるか?」
「…………ヤート、大霊穴の方はどうだ?」
「純粋なる緑の祓いの効果が嫌な気配の奴にも効いたみたいで小康状態だよ」
「よし、それならいったん止まって休むぞ」
ラカムタさんの号令で、みんなは速度を徐々に落として止まっていった。……ラカムタさん、父さん、狩人達、鬼熊、破壊猪が息を切らせて汗をかいてるところを初めて見たし黄土の三人も消耗が激しい。ここはきちんと補給をするべきだね。僕は鬼熊から降りて、水生魔法で生み出した水球をラカムタさん達の口へと動かす。
「まずは、少しずつ水分をとって」
「助かる」
ラカムタさん達が水生魔法の水を口にしていると、兄さん、姉さん、リンリーが掌の上に水生魔法の水球を浮かべて近づいてきた。
「ヤート、水生魔法は私達が代わるから、あなたは食べ物の用意をお願い」
「姉さん、ありがとう。ディグリは……大丈夫そうだね」
「ハイ、適度ナ光と水分ガアレバ吸収デキルノデ大丈夫デス」
僕は姉さんにお礼を言った後、腰の小袋から二種類の種を取り出して少し離れた場所に埋めた。そして、いつものように魔法を発動する。こうやって植物達に力を貸してもらうと、やっぱり極端な気候でなければ植物は強いなって思うよ。特に頭髪に当たる部分の葉を茂らせ足にあたる部分の根を伸ばすディグリを見てたらよりそう感じる。……もしかしたら動ける植物は、生き残るっていう意味なら最強かもしれないね。
「緑盛魔法・超育成・水蜜桃、紫森苺」
すぐに芽が出て急速に成長していき、あっという間に両方とも実をつける。僕は最初に紫森苺の小木から鈴なりになっている濃い紫色の実を採ってラカムタさん達に配った。
「まず、紫森苺の実を食べて。かなり酸っぱいけど、疲労回復の効果は指折りだよ」
紫森苺の実を噛みしめたラカムタさん達は、ウグゥという呻き声をあげて兄さん達の水生魔法の水球から必死に水を飲む。僕も興味本位で食べた事があるけど、いろいろと感情の薄い僕でも辛かったから、ラカムタさん達の行動はよくわかる。さて、口直しの意味もある水蜜桃も採って渡そう。
休憩が終わり、僕達は黄土の村へと走り出した。……一応、言っておいた方が良いかな。
「みんな、誰が一番走れるかっていう競争はしなくて良いからね」
「…………その通りだな。加減していくぞ」
ラカムタさんの言葉に気まずい空気が流れた。というか兄さん達も明後日の方向を見てるという事は、兄さん達も走りたかったんだ。
「諸々の異常が解決した後に、誰が最速なのか決めれば良いよ」
「絶対にマイネには負けねえ」
「あら、寝言は寝てから言ってね。ガル」
「あ?」
「ケンカを売ってきたのはガルでしょ?」
「兄さん、姉さん、破壊猪の上でケンカしないで」
「「ガル? マイネ?」」
「「ごめんなさい‼︎」」
兄さんと姉さんは、ラカムタさんと父さんに威圧されて謝った。脊髄反射でケンカになるのはどうかと思うけど、これが二人の自然体だって考えたら良い事なのかな? たぶん、ラカムタさんと父さんも同じように考えてるから、よっぽどじゃない限り威圧だけで済ませてるんだろうね。
…………大霊湖に近づいた時に似た強い魔力を感じるようになった。黄土の村と大霊穴まではもうすぐみたいだから、今のうちに調整をしておくか。僕は手を黄土の村の方へ向けて界気化した魔力を放った。
「ヤート、黄土の村を調べてるのか?」
「界気化の調整をしてる」
「調整?」
「うん、大霊湖や大霊穴みたいに莫大な魔力が集まる場所で界気化した魔力を放つ場合、界気化した魔力で受け取る情報を上手く制御しないと僕の方が壊れかねないから」
「……そうだったな。ヤートは界気化の鍛錬当初に吐いていたな」
「そういう事。調整が終わったら、すぐに黄土の村の様子を探るから少し待ってね」
黄土の三人は心配の色が濃くなっているけど僕の発言はうなずいてくれた。
…………よし、こんなものかな。大霊穴の魔力の流れに苦戦したけど、なんとか上手く調整できた。複雑な魔力の流れがある大霊湖よりも、魔力が一つの巨大な流れとなっている大霊穴の方が界気化との相性が悪いっていうのは勉強になったね。
重要なのは界気化した魔力を大霊穴の魔力の流れにのせない事と、界気化した魔力を伸ばしすぎない事。なぜなら大きすぎる大霊穴の魔力の流れは僕の界気化した魔力すら飲み込み、僕の魔力が丸ごと大霊穴の奥へと持っていかれる可能性があるからだ。
イーリリスさんやイリュキンは大霊穴付近だと界気化をどうするのか次に会ったら聞いてみるとして、確認しないといけない事を確認しよう。
「界気化の調整ができたから黄土の村を探ってみるね」
「「「…………」」」
僕は黄土の三人の食い入る様な視線を感じながら、界気化した魔力を黄土の村へと向けた。
「…………あれ?」
「村に何か異常があったのですか⁉︎」
「うーん……、異常というか変かな」
「……ヤート、わかった事を言ってみろ」
ラカムタさんに言われて、僕が感知できた事を説明すると、みんなはなんだそれはって表情になった。僕も同じ気持ちだよ。
「……ヤート、嫌な気配は小康状態なんだな?」
「うん、それは間違いないよ」
「どうするんだ? ラカムタ」
「…………結局のところ、黄土の村へ行くのは確定しているんだ。とにかく、自分達の目でも状況を確認するぞ」
僕達は予定通り黄土の村へと足を進めていくんだけど、みんな僕が伝えた村の状況に困惑気味で足取りが少し重くなっていた。
いくら移動速度は落ちたっていっても、そう時間はかからず黄土の村に到着する。うん、確かに黄土の村に着いたけど…………。
「あなた達、離しなさい‼︎」
「そうじゃ‼︎ 離さんか‼︎」
「村長、じいさん、とにかく落ち着け‼︎」
「今、不用意に大霊穴に近づくのは危険です‼︎ 止まってください‼︎」
「黙ってジッとなんてしていられません‼︎ 離しなさい‼︎」
「訳のわからん気持ち悪い連中に襲われてケンカを売られたんじゃぞ‼︎ こちらから乗りこまんでどうするんじゃ‼︎」
「良い歳の年寄が、真っ先にキレるな‼︎」
「お願いですから、止まってください‼︎」
この状況は何? 何で強化魔法を全開で発動してる黄土のお年寄り二人を、他の黄土の人達が同じく強化魔法を使いながら必死に止めてるの? ……あ、止めてる側の一人が投げ飛ばされた。修羅場……なのかな?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
「みんな、また速くなってるよ」
「おっと、悪い」
「ラカムタ、一度休憩を入れるか?」
「…………ヤート、大霊穴の方はどうだ?」
「純粋なる緑の祓いの効果が嫌な気配の奴にも効いたみたいで小康状態だよ」
「よし、それならいったん止まって休むぞ」
ラカムタさんの号令で、みんなは速度を徐々に落として止まっていった。……ラカムタさん、父さん、狩人達、鬼熊、破壊猪が息を切らせて汗をかいてるところを初めて見たし黄土の三人も消耗が激しい。ここはきちんと補給をするべきだね。僕は鬼熊から降りて、水生魔法で生み出した水球をラカムタさん達の口へと動かす。
「まずは、少しずつ水分をとって」
「助かる」
ラカムタさん達が水生魔法の水を口にしていると、兄さん、姉さん、リンリーが掌の上に水生魔法の水球を浮かべて近づいてきた。
「ヤート、水生魔法は私達が代わるから、あなたは食べ物の用意をお願い」
「姉さん、ありがとう。ディグリは……大丈夫そうだね」
「ハイ、適度ナ光と水分ガアレバ吸収デキルノデ大丈夫デス」
僕は姉さんにお礼を言った後、腰の小袋から二種類の種を取り出して少し離れた場所に埋めた。そして、いつものように魔法を発動する。こうやって植物達に力を貸してもらうと、やっぱり極端な気候でなければ植物は強いなって思うよ。特に頭髪に当たる部分の葉を茂らせ足にあたる部分の根を伸ばすディグリを見てたらよりそう感じる。……もしかしたら動ける植物は、生き残るっていう意味なら最強かもしれないね。
「緑盛魔法・超育成・水蜜桃、紫森苺」
すぐに芽が出て急速に成長していき、あっという間に両方とも実をつける。僕は最初に紫森苺の小木から鈴なりになっている濃い紫色の実を採ってラカムタさん達に配った。
「まず、紫森苺の実を食べて。かなり酸っぱいけど、疲労回復の効果は指折りだよ」
紫森苺の実を噛みしめたラカムタさん達は、ウグゥという呻き声をあげて兄さん達の水生魔法の水球から必死に水を飲む。僕も興味本位で食べた事があるけど、いろいろと感情の薄い僕でも辛かったから、ラカムタさん達の行動はよくわかる。さて、口直しの意味もある水蜜桃も採って渡そう。
休憩が終わり、僕達は黄土の村へと走り出した。……一応、言っておいた方が良いかな。
「みんな、誰が一番走れるかっていう競争はしなくて良いからね」
「…………その通りだな。加減していくぞ」
ラカムタさんの言葉に気まずい空気が流れた。というか兄さん達も明後日の方向を見てるという事は、兄さん達も走りたかったんだ。
「諸々の異常が解決した後に、誰が最速なのか決めれば良いよ」
「絶対にマイネには負けねえ」
「あら、寝言は寝てから言ってね。ガル」
「あ?」
「ケンカを売ってきたのはガルでしょ?」
「兄さん、姉さん、破壊猪の上でケンカしないで」
「「ガル? マイネ?」」
「「ごめんなさい‼︎」」
兄さんと姉さんは、ラカムタさんと父さんに威圧されて謝った。脊髄反射でケンカになるのはどうかと思うけど、これが二人の自然体だって考えたら良い事なのかな? たぶん、ラカムタさんと父さんも同じように考えてるから、よっぽどじゃない限り威圧だけで済ませてるんだろうね。
…………大霊湖に近づいた時に似た強い魔力を感じるようになった。黄土の村と大霊穴まではもうすぐみたいだから、今のうちに調整をしておくか。僕は手を黄土の村の方へ向けて界気化した魔力を放った。
「ヤート、黄土の村を調べてるのか?」
「界気化の調整をしてる」
「調整?」
「うん、大霊湖や大霊穴みたいに莫大な魔力が集まる場所で界気化した魔力を放つ場合、界気化した魔力で受け取る情報を上手く制御しないと僕の方が壊れかねないから」
「……そうだったな。ヤートは界気化の鍛錬当初に吐いていたな」
「そういう事。調整が終わったら、すぐに黄土の村の様子を探るから少し待ってね」
黄土の三人は心配の色が濃くなっているけど僕の発言はうなずいてくれた。
…………よし、こんなものかな。大霊穴の魔力の流れに苦戦したけど、なんとか上手く調整できた。複雑な魔力の流れがある大霊湖よりも、魔力が一つの巨大な流れとなっている大霊穴の方が界気化との相性が悪いっていうのは勉強になったね。
重要なのは界気化した魔力を大霊穴の魔力の流れにのせない事と、界気化した魔力を伸ばしすぎない事。なぜなら大きすぎる大霊穴の魔力の流れは僕の界気化した魔力すら飲み込み、僕の魔力が丸ごと大霊穴の奥へと持っていかれる可能性があるからだ。
イーリリスさんやイリュキンは大霊穴付近だと界気化をどうするのか次に会ったら聞いてみるとして、確認しないといけない事を確認しよう。
「界気化の調整ができたから黄土の村を探ってみるね」
「「「…………」」」
僕は黄土の三人の食い入る様な視線を感じながら、界気化した魔力を黄土の村へと向けた。
「…………あれ?」
「村に何か異常があったのですか⁉︎」
「うーん……、異常というか変かな」
「……ヤート、わかった事を言ってみろ」
ラカムタさんに言われて、僕が感知できた事を説明すると、みんなはなんだそれはって表情になった。僕も同じ気持ちだよ。
「……ヤート、嫌な気配は小康状態なんだな?」
「うん、それは間違いないよ」
「どうするんだ? ラカムタ」
「…………結局のところ、黄土の村へ行くのは確定しているんだ。とにかく、自分達の目でも状況を確認するぞ」
僕達は予定通り黄土の村へと足を進めていくんだけど、みんな僕が伝えた村の状況に困惑気味で足取りが少し重くなっていた。
いくら移動速度は落ちたっていっても、そう時間はかからず黄土の村に到着する。うん、確かに黄土の村に着いたけど…………。
「あなた達、離しなさい‼︎」
「そうじゃ‼︎ 離さんか‼︎」
「村長、じいさん、とにかく落ち着け‼︎」
「今、不用意に大霊穴に近づくのは危険です‼︎ 止まってください‼︎」
「黙ってジッとなんてしていられません‼︎ 離しなさい‼︎」
「訳のわからん気持ち悪い連中に襲われてケンカを売られたんじゃぞ‼︎ こちらから乗りこまんでどうするんじゃ‼︎」
「良い歳の年寄が、真っ先にキレるな‼︎」
「お願いですから、止まってください‼︎」
この状況は何? 何で強化魔法を全開で発動してる黄土のお年寄り二人を、他の黄土の人達が同じく強化魔法を使いながら必死に止めてるの? ……あ、止めてる側の一人が投げ飛ばされた。修羅場……なのかな?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
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