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決戦前にて 各国の状況と攻め方
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今、僕達は純粋なる緑を纏う遮断膜の真ん中で、ラカムタさんと各総団長さん達が円を描くように座っていて、それぞれの関係者はそれぞれの後ろに続くように座っている。
「「「…………」」」
「「「…………」」」
「「「「…………」」」
ただ、僕だけは例外でラカムタさん達の困惑気味の視線と兄さん達のイラついてる視線と各総団長さんの羨ましそうな視線を浴びて、なかなかの微妙な気持ちを味わっていた。正確に言えば達全員の視線を向けられてるのは、僕を抱きしめながら膝に座らせているナイルさんだけど、なんか気まずい。
何で僕がこういう状況になっているかと言えば、黄河さん以外の他の総団長さん達の自己紹介でも僕が抱きしめられたからだ。たぶん、みんなの体調が回復し総団長さん達の自己紹介が終わってから教団本拠地へ攻め込む最終会議になるという流れだったんだと思う。でも、さらに誰がもっと僕を抱きしめるのかで軽く……いや、割と激しい口喧嘩をしてたせいで、まったく話が進まないから暫定で僕と一番親交のあるナイルさんが僕を抱きしめた状態で会議を始める事になった。会議が必要なのもわかってる。わかってるけど、この状況は何?
「それじゃあ会議を始めましょうか」
ナイルさんの言葉をきっかけで場の雰囲気やみんなの態度がピンッと引き締まる。…………うん、特に何か実害があるわけじゃないし今は会議に集中しよう。
「まずは、あなた達が出発するまでの各国の状況を聞きたいわ。そうね……、インからお願いできる?」
「心得た。我らアムゼム帝国では、皇宮を始めとした帝都の主要な場所のみ安全を確保できたと考えている」
「あれだけの大きな都で安全なのは主要な場所だけなのね……」
「はっきり言って時間がない。教団を潰せば帝国に平穏が戻るのかもわからないが、我らには待ちの選択肢は取れないのだ……」
今、話しているのはアムゼム帝国騎士団総団長のインセットダースさんで、ナイルさん達はインやインダスって呼んでる。見た目は金髪の褐色の肌でカチッとした軍服に身を包んでる生粋の軍人って感じ。……うーん、自己紹介をした後に僕を抱き上げた時のデレッとしてナイルさんや黄河さんみたいな口調と雰囲気になってた時とは真逆でキリッとしてるね。
「……わかったわ。次はチグリス、お願い」
「ええ。ただ、私達のナシェリ大公国にも良い知らせはほとんどないの。一応、大公様達には籠城を、残った部下達には継続的な調査をするようにしてもらったけれど、完全に信頼できる人がわからないから公都は不安で覆われてる。ユー、あなたからは何かある?」
「潜んでいるもの達を暴くのが役目の暗部のもの達をですら右往左往している状況です。
何も申し上げられません」
「…………そうよね。ナイル、私達からは以上よ。ごめんなさい」
この二人はナシェリ大公国騎士団の総団長のチグアメリスさんと副団長のユーフラテスさんだ。ナイルさん達からはチグリスにユーと呼ばれているみたい。見た目は黒髪の褐色肌で、ゆったりとした民族風の服を着ている。馬に乗るのが似合いそうだから、どんな環境でも力強く生きていく遊牧民って感じかな。
「気にしないで。大丈夫よ。黄河、あなた達のところはどう?」
「私達の烈華では、ナイルからの情報を元に都を徹底的に調べて教団の支援者の洗い出しと捕縛に成功してるわ。ただ、全ての支援者を捕縛しているかと言えば疑問だし爆発物の発見には至ってないから不安が残っているのが現状よ。瑠江からは何かある?」
「そうですね…………、いえ、やはり我らから言える事はそれくらいです」
インダスさん、チグリスさんのところだけじゃなく黄河さんのところも、厳戒態勢を続けないといけない状況か。やっぱり安全かどうかはっきりと線引きできないと、自分達もこれっていう動きができなくなるから厄介だな。
「ナイルのところ、ウエステリア王国はヤート君のおかげで王都の安全は確保できてるのよね?」
「ええ、ヤート君に人も場所も調べてもらったから安心してるわ」
なぜかナイルさんに頭を撫でられてるわけだけど、撫でられるのをみんなに見られるのは、なんかこう恥ずかしい気がする。あとウエステリア王国っていう名前だったんだ。初めて知ったなと僕がそんな事を考えていたら、会議は次の議題に移っていく。
「総評すると各国ともに、いつ何が起こってもおかしくないわね……」
「それならこの状況を打破するために必要なのは、教団とその支援者達に決定的な楔を打ち込む事」
「つまり教団の本拠地を攻め落とし、教団の指導者とその取り巻きを捕縛しないといけない」
「ヤート」
「何? ラカムタさん」
「教団の本拠地についてわかった事があったら教えてくれ」
話の流れとしては合ってるのかもしれないけど、突然話を振られるのは少し困るな。みんなの視線が集まってる中、僕は言うべき事をまとめてから話していく。
「まず、大前提なんだけど、今の僕は界気化を制限してるから教団の本拠地を詳しく探れてない」
「あの敵の気配のせいだな?」
「うん。だから遠くから見た感じとかになるけど良い?」
「ああ、ヤートが感じ取った事をそのまま言ってほしい」
「わかった」
僕は、みんなにわかる範囲で調べた事、あの教団の本拠地がどう考えても大人数が生活できる場所じゃない事を伝える。みんなも薄々同じように思っていたらしく、薄気味悪いものを見る目を教団の本拠地へ向けていた。
「とりあえずわかったのは、それくらいだよ」
「……そうか、助かった」
みんなの表情は険しい。地形的な条件や時間の無さもあって正面から攻めるのは確定している。でも、はっきりとした事がわからず嫌な奴の気配もあるから成功の道筋が見えないんだ。空気が重くなって会議の流れが止まるのは仕方ないとして重要な点を聞いておこう。
「僕からみんなに聞きたいのは、まとまって一気に攻めるで良いんだよね?」
「ヤート君、何でそれを聞くのかしら?」
「みんながまとまってくれるなら嫌な奴の悪い影響を防ぐ純粋なる緑を纏う遮断膜を移動させれば良いけど、もし各騎士団ごとにバラけて攻めるなら個別にみんなを守る魔法がいるから、その準備をしたいなって」
「そういう事……。良いわ。どうするか全員の意思を統一しましょう」
みんなはナイルさんの呼びかけから僕の疑問を話し合ってくれて、全員でまとまって正面から攻めるという結論になった。理由は対応力のある僕から離れるのは危険だという意見がほとんどだったね。…………これなら、もう一つの重要な点を確認しておくべきかな。
「あと一つ、聞いておきたい事があるんだけど」
「ヤート、何だ?」
みんなに僕の考えを伝えたら、ラカムタさん達や兄さん達がものすごく渋い顔になった。たぶん、有効なのは間違いない。でも、僕にやらしたくないって葛藤をしてるんだと思う。
少しの間、真剣に会議が進んだ結果、みんなから僕の考えへ許可が降りた。そして僕達の攻め方も決まったので、みんなは体調や装備の確認をするなどの進軍準備に入る。これであとは火蓋が切られるだけか。どういう結末になるかはわからないけど、やれる事は全部やって早く帰ろう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
「「「…………」」」
「「「…………」」」
「「「「…………」」」
ただ、僕だけは例外でラカムタさん達の困惑気味の視線と兄さん達のイラついてる視線と各総団長さんの羨ましそうな視線を浴びて、なかなかの微妙な気持ちを味わっていた。正確に言えば達全員の視線を向けられてるのは、僕を抱きしめながら膝に座らせているナイルさんだけど、なんか気まずい。
何で僕がこういう状況になっているかと言えば、黄河さん以外の他の総団長さん達の自己紹介でも僕が抱きしめられたからだ。たぶん、みんなの体調が回復し総団長さん達の自己紹介が終わってから教団本拠地へ攻め込む最終会議になるという流れだったんだと思う。でも、さらに誰がもっと僕を抱きしめるのかで軽く……いや、割と激しい口喧嘩をしてたせいで、まったく話が進まないから暫定で僕と一番親交のあるナイルさんが僕を抱きしめた状態で会議を始める事になった。会議が必要なのもわかってる。わかってるけど、この状況は何?
「それじゃあ会議を始めましょうか」
ナイルさんの言葉をきっかけで場の雰囲気やみんなの態度がピンッと引き締まる。…………うん、特に何か実害があるわけじゃないし今は会議に集中しよう。
「まずは、あなた達が出発するまでの各国の状況を聞きたいわ。そうね……、インからお願いできる?」
「心得た。我らアムゼム帝国では、皇宮を始めとした帝都の主要な場所のみ安全を確保できたと考えている」
「あれだけの大きな都で安全なのは主要な場所だけなのね……」
「はっきり言って時間がない。教団を潰せば帝国に平穏が戻るのかもわからないが、我らには待ちの選択肢は取れないのだ……」
今、話しているのはアムゼム帝国騎士団総団長のインセットダースさんで、ナイルさん達はインやインダスって呼んでる。見た目は金髪の褐色の肌でカチッとした軍服に身を包んでる生粋の軍人って感じ。……うーん、自己紹介をした後に僕を抱き上げた時のデレッとしてナイルさんや黄河さんみたいな口調と雰囲気になってた時とは真逆でキリッとしてるね。
「……わかったわ。次はチグリス、お願い」
「ええ。ただ、私達のナシェリ大公国にも良い知らせはほとんどないの。一応、大公様達には籠城を、残った部下達には継続的な調査をするようにしてもらったけれど、完全に信頼できる人がわからないから公都は不安で覆われてる。ユー、あなたからは何かある?」
「潜んでいるもの達を暴くのが役目の暗部のもの達をですら右往左往している状況です。
何も申し上げられません」
「…………そうよね。ナイル、私達からは以上よ。ごめんなさい」
この二人はナシェリ大公国騎士団の総団長のチグアメリスさんと副団長のユーフラテスさんだ。ナイルさん達からはチグリスにユーと呼ばれているみたい。見た目は黒髪の褐色肌で、ゆったりとした民族風の服を着ている。馬に乗るのが似合いそうだから、どんな環境でも力強く生きていく遊牧民って感じかな。
「気にしないで。大丈夫よ。黄河、あなた達のところはどう?」
「私達の烈華では、ナイルからの情報を元に都を徹底的に調べて教団の支援者の洗い出しと捕縛に成功してるわ。ただ、全ての支援者を捕縛しているかと言えば疑問だし爆発物の発見には至ってないから不安が残っているのが現状よ。瑠江からは何かある?」
「そうですね…………、いえ、やはり我らから言える事はそれくらいです」
インダスさん、チグリスさんのところだけじゃなく黄河さんのところも、厳戒態勢を続けないといけない状況か。やっぱり安全かどうかはっきりと線引きできないと、自分達もこれっていう動きができなくなるから厄介だな。
「ナイルのところ、ウエステリア王国はヤート君のおかげで王都の安全は確保できてるのよね?」
「ええ、ヤート君に人も場所も調べてもらったから安心してるわ」
なぜかナイルさんに頭を撫でられてるわけだけど、撫でられるのをみんなに見られるのは、なんかこう恥ずかしい気がする。あとウエステリア王国っていう名前だったんだ。初めて知ったなと僕がそんな事を考えていたら、会議は次の議題に移っていく。
「総評すると各国ともに、いつ何が起こってもおかしくないわね……」
「それならこの状況を打破するために必要なのは、教団とその支援者達に決定的な楔を打ち込む事」
「つまり教団の本拠地を攻め落とし、教団の指導者とその取り巻きを捕縛しないといけない」
「ヤート」
「何? ラカムタさん」
「教団の本拠地についてわかった事があったら教えてくれ」
話の流れとしては合ってるのかもしれないけど、突然話を振られるのは少し困るな。みんなの視線が集まってる中、僕は言うべき事をまとめてから話していく。
「まず、大前提なんだけど、今の僕は界気化を制限してるから教団の本拠地を詳しく探れてない」
「あの敵の気配のせいだな?」
「うん。だから遠くから見た感じとかになるけど良い?」
「ああ、ヤートが感じ取った事をそのまま言ってほしい」
「わかった」
僕は、みんなにわかる範囲で調べた事、あの教団の本拠地がどう考えても大人数が生活できる場所じゃない事を伝える。みんなも薄々同じように思っていたらしく、薄気味悪いものを見る目を教団の本拠地へ向けていた。
「とりあえずわかったのは、それくらいだよ」
「……そうか、助かった」
みんなの表情は険しい。地形的な条件や時間の無さもあって正面から攻めるのは確定している。でも、はっきりとした事がわからず嫌な奴の気配もあるから成功の道筋が見えないんだ。空気が重くなって会議の流れが止まるのは仕方ないとして重要な点を聞いておこう。
「僕からみんなに聞きたいのは、まとまって一気に攻めるで良いんだよね?」
「ヤート君、何でそれを聞くのかしら?」
「みんながまとまってくれるなら嫌な奴の悪い影響を防ぐ純粋なる緑を纏う遮断膜を移動させれば良いけど、もし各騎士団ごとにバラけて攻めるなら個別にみんなを守る魔法がいるから、その準備をしたいなって」
「そういう事……。良いわ。どうするか全員の意思を統一しましょう」
みんなはナイルさんの呼びかけから僕の疑問を話し合ってくれて、全員でまとまって正面から攻めるという結論になった。理由は対応力のある僕から離れるのは危険だという意見がほとんどだったね。…………これなら、もう一つの重要な点を確認しておくべきかな。
「あと一つ、聞いておきたい事があるんだけど」
「ヤート、何だ?」
みんなに僕の考えを伝えたら、ラカムタさん達や兄さん達がものすごく渋い顔になった。たぶん、有効なのは間違いない。でも、僕にやらしたくないって葛藤をしてるんだと思う。
少しの間、真剣に会議が進んだ結果、みんなから僕の考えへ許可が降りた。そして僕達の攻め方も決まったので、みんなは体調や装備の確認をするなどの進軍準備に入る。これであとは火蓋が切られるだけか。どういう結末になるかはわからないけど、やれる事は全部やって早く帰ろう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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