ひ弱な竜人 ~周りより弱い身体に転生して、たまに面倒くさい事にも出会うけど家族・仲間・植物に囲まれて二度目の人生を楽しんでます~

白黒 キリン

文字の大きさ
309 / 318

決戦にて 死んだふりと空間の穴の使い方

しおりを挟む
 爆散花エクスプロージョンフラワーの爆発はいまだに続いてるけど、僕は急いであいつの様子を把握するために使っていた界気化かいきかした魔力を、僕が世界樹に乗る前にみんながいた方へ動かす。

「まずい……、みんなの事を全く考えてなかった」
『あのもの相手にあれほど魔法を使ってしまうのは仕方ないが、例え周りを囲んで衝撃が拡がらないようにしていたとしてもやりすぎなのは否めないぞ』
「……そうだよね」
『まあ、ヤートと付き合いの長いもの達なら大丈夫だろう。それで見つかったのか?』
「今、探してるけど…………、良かった。みんな無事だった」

 みんなは初めに探した場所にはいなくて、探索範囲を広げた結果、僕と世界樹からかなり離れた後方にいるのを見つけた。みんなの身体を調べてみても異常はない。気になるのは今現在もそれなりに地面が揺れているのに、みんなが落ち着いてる事。もしかしてけっこう前から避難してたの?

『やはり無事だったか。…………ほう、あの落ち着きようは、どうやらヤートが周りに影響を与える魔法を使うと予想していたようだな』
『あの黒のもの達は、主人あるじが何かしようとしたら止めるというのを度々していました。今回も主人あるじが天災のような大規模魔法を使うと考え、あらかじめ移動してたと思われます』
『ハッハッハ』

 世界樹の乾いた笑い方が少しイラッとするけど、今回に関しては僕に非があるから納得しておくのと、みんなに謝るのは後だ。

「シール、世界樹」
『心得ています』
『爆発はおさまった。さて、あのものはどうなっているか……』

 流れていた和やかな雰囲気は収まり、僕達は硬金樹根隔壁メタルルートドームへ視線を戻す。…………硬金樹根隔壁メタルルートドームの中からは何の音もしないな。

界気化かいきかした魔力で中の様子を探ってみたけど、あいつはズタボロになっていてピクリとも動いてないよ。ただし、あいつ自身に界気化かいきかした魔力を流して記憶、思考、生きてるかを確認したわけじゃないからトドメを刺せたかはわからない。今なら界気化かいきかした魔力をあいつ自身へ通してみるのも有りだと思う」
『やめてください。このまま跡形もなく消し飛ばすのを推奨します』
『我も同意見だ。死にかけていようが得体の知れない存在の内側に触れるのは賛成できん』
「……わかった。それじゃあシールの意見でいこう。このまま攻め続けるね。緑よコールグリーン緑よコールグリーン繋がりをここにコールコネクト力をここにコールパワー実をここにコールフルーツ循環をここにコールサキュレーション加速をここにコールアクセラレーション励起をここにコールエキサイテーション臨界をここにコールクリティカル緑盛魔法グリーンカーペット純粋なる深緑を纏うディープグリーンインパクトフレーム大浄化ラージピュアフィケーション

 僕は硬金樹根隔壁メタルルートドームの周りに深緑色の実を数十個出現させ、そのまま地面に落とした。すぐに地面に沈んだ実を起点に浄化が始まり地面を深緑色に光らせていく。そして浄化の光は硬金樹根隔壁メタルルートドームも染めていったので、これによりあいつは蒸し焼きのように内部へも浄化の光が浸透する事になる。

『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアア‼︎』
『フン、やはり死んだふりだったか』
『汚らわしい。存在も言動も全てがだ』

 身体を内外を浄化されていくあいつの叫び声と硬金樹根隔壁メタルルートドームの中でのたうちまわってる音が聞こえてきた。…………うん? 硬金樹根隔壁メタルルートドームの中の空気が変わった? って、まずい!

緑盛魔法グリーンカーペット純粋なる深緑を纏うディープグリーンインパクトフレーム加護プロテクション
『キサマラゴトキニハ、ヤラレヌゾォッ‼︎ オアアアアアアアーーーーーーーーーー‼︎』

 僕が障壁を張った次の瞬間、あいつの魔力が爆発的に高まり硬金樹根隔壁メタルルートドームの側面を突進でぶち破って出てきて、僕達へ極太の光線を放ってきた。光線は問題なく障壁で空へ弾けたの良いとして、あれだけの余力を残してるとは思わなかったな。僕の失策だ。もっと動けないように魔槍を撃ち込むべきだったし、二重三重にして硬金樹根隔壁メタルルートドームの強度を上げておくべきだった。しかも浄化の力を硬金樹根隔壁メタルルートドームとその付近に集中させたせいで、あいつの突進で簡単に浄化圏外へ逃げられてしまった。

『逃がさん‼︎』

 世界樹はあいつの光線が吐き終わると、トドメを刺すために接近していく。……何か気になるな。確かにあいつは硬金樹根隔壁メタルルートドームを突進でぶち破った後は地面に転がり飛ぶ力もないようで、羽はちぎれてて身体もボロボロだ。それなのに僕は何が気になってる? …………あ、そうか。

「世界樹、止まって‼︎」
『どうし、何っ⁉︎』

 僕の制止で世界樹が止まると、世界樹のすぐ目の前、正確に言えば、世界樹の頭に乗っている僕の目の前に空間の穴が開いた。すぐに世界樹は退がり、あいつから距離を取る。

『ヤート、どういう事だ? まさか……?』
「あいつの思考を読み取ったわけじゃない。あいつがボロボロなのに笑った気がしたから呼び止めただけ」
『何が目的だ?』
「たぶん僕とシールと世界樹の分断だね」
『だが、空間の穴は開けられなくなったはずだぞ‼︎』
「僕ができなくしたのは、境界を壊して世界の外へ出る空間の穴の事だよ」
『この世界の中で別の場所につなげるのは可能というわけか……』

 あんなボロボロでも世界樹の言った事を実行する力は残してたらしい。……いや、あいつの力の総量を考えたら、僕だけが通れるような小さな穴を開けるのはほんの少しの力で済むのかもしれない。

『チッ……』
『……往生際の悪い』
『しぶといな』
緑盛魔法グリーンカーペット純粋なる深緑を纏うディープグリーンインパクトフレーム魔弾ショット純粋なる深緑を纏うディープグリーンインパクトフレーム魔槍ランス
『ムダダ‼︎』

 やっぱり不用意にあいつに近づくのは危険だと判断して魔弾と魔槍を撃ち込んだけど、あいつが無数の空間の穴を開けて全てをどこかに流してしまった。こうなるといろいろな攻撃を試して、確実にあいつへ当てる方法を考えないといけないから厄介だね。それにあいつはあいつでどうにか回復をしようするはずだから、しばらくの間は状況が動かない。僕は、そう思っていた。でも……。

『ヌウウウウウッ‼︎』
『何だ? あのものは何を始めた?』
「自分の上に空間の穴を開けた?」
『狙いがわかりません』

 僕達が、あいつの意図を読めずに警戒していると、あいつの頭上に開いた空間の穴から何人もの普人族ふじんぞくが叫びながら落ちてきた。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
 最後まで読んでいただきありがとうございます。

 注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。

 感想や評価もお待ちしています。
しおりを挟む
感想 73

あなたにおすすめの小説

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

【完結】巻き込まれたけど私が本物 ~転移したら体がモフモフ化してて、公爵家のペットになりました~

千堂みくま
ファンタジー
異世界に幼なじみと一緒に召喚された17歳の莉乃。なぜか体がペンギンの雛(?)になっており、変な鳥だと城から追い出されてしまう。しかし森の中でイケメン公爵様に拾われ、ペットとして大切に飼われる事になった。公爵家でイケメン兄弟と一緒に暮らしていたが、魔物が減ったり、瘴気が薄くなったりと不思議な事件が次々と起こる。どうやら謎のペンギンもどきには重大な秘密があるようで……? ※恋愛要素あるけど進行はゆっくり目。※ファンタジーなので冒険したりします。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...