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ギルド員として

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――取り敢えず重要だと思ったことだけを纏めよう。


まず、ギルドでは基本的にランク制が取られていることがわかった。これはこれから先の生活を考えても抑えなくてはいけないポイントだな。


……そのランクの分け方が 『色』 での判別になっており、ランクを上げるごとにギルドカード自体が色が変化していく。よくあるAランクとかBランクとかの枠組みでは無いようだ。

ランクの色は上から順に、

 "黒色" "紫色" "青色" "赤色" "黄色" "白色"

という分け方になっているみたいだ。


誰もが『白』から染まり始め、頂点へと上り詰めれば『黒』に染まる。そして染まりきった「黒」は、その色に恥じない強さを兼ね備えていなければならない。


ただ、生半可な覚悟で黒まで上り詰めることは到底できない。黒という肩書は、まさに人々から『英雄』と呼ばれるにふさわしい人間のみに与えられる証である。

ちなみにレスク王国内でこれまでに黒に到達した人間は三人だけらしい。存命かどうかはついぞ聞けなかったがな。



――次にランクを上げる方法だ。

基本的には成功した依頼の量とその難易度でランクアップが認められる。いつまでも簡単な依頼に甘んじていると永遠に上へと登れない仕組みだ。


それに、依頼というものにはそれぞれ"種類"があり、現時点よりも高ランクになるにはそれを満遍なくこなす必要があるとのことだ。

ちなみに『黄色』以上の場合、依頼の失敗が一定回数を超えるとランクが下がってしまうらしい。そうなったら色を決めた「ギルド側に非難が来るからやめてほしい」と受付がぼやいていた。

まぁ、白の場合はよほど酷くないかぎり何も無いみたいだ。ただあまりに酷いと冒険者の権利を剥奪されるらしい。今の俺には全く関係ないが覚えておいて損はないだろう。


――依頼はそれぞれ "狩猟" "採取" "護衛" "手伝い" "緊急"の五つ。

"手伝い"に関しては荷物運びや単純な力仕事、掃除など多岐にわたる。他の三つに該当しないものは基本ここに分類されるようだ。

最後の"緊急"に関してはあまり関係がないが、大規模な敵対勢力の進行があった際や国家の非常時にギルド員に課せられるものらしい。


依頼書にはそれぞれに対応した判子が押されており、それを見て依頼の区別を各自行う必要があるみたいだ。まぁ依頼の内容を見ればすぐわかるから依頼の種類を間違うことはほぼ無いだろうな。



――受ける依頼が決定したらその紙を受付に持って行き、それから受理してもらう、という流れで行う。

その他には依頼の失敗、または依頼を放棄する際に金銭の支払いによる罰則があるということ。それに「依頼中の怪我については責任を負いかねる」ということを言われた。


……ざっとこんな感じだ。


「――以上で説明は終わりになりますが、何か質問はございますか?」

「いえ、特にはありません」

「それでは以上でギルドへの登録が完了となります。
 依頼を受ける際には……あちらの掲示板にて確認をして下さい」

「わかりました。有難うございます」

「……それではこちらのカードがギルドカードとなります。
 もし紛失した場合には再発行に料金がかかりますので
 くれぐれもご注意下さい。それでは御武運を祈っております」


渡された白いカードを受け取る。

まだ真っ白なカードだ。だが、これから次々と違う色に染まっていくと思うとワクワクするな。俺は一体どこまで行けるのだろうか?



――依頼を受けようと掲示板へ足を運ぶ。

何となく立ち止まってフェイの姿を探してみたが、もう居なくなっていた。きっと何か依頼を受けて既にここを出て行ったのだろう。


掲示板に着くと俺は真っ先に"手伝い"の判が押してある依頼書を探した。少しの間探していたが、一枚の依頼書が目に留まる。

……よし、これにするか。

さっきの受付嬢の所に歩いて行き依頼書を渡す。なにやら書類の確認を行っていたようだが、物珍しそうな顔をこちらに向けて……

「――もう決めたんですか、早いですねぇ。
 ……あら、しかも手伝いの依頼ですか?」

「えぇ、何か問題でも?」

「いえいえ! 最初から手伝いの人は珍しいんですよ。
  ……よし、確認致しました。それではこちらの紙をどうぞ」

そう言うと依頼書とは違う紙を出して渡してくる。

「依頼主に会ったらこの紙を渡して、依頼達成後に
 サイン書いてもらって下さい。それが依頼達成の
 証拠になりますので、終了後は無くさずにギルドまでお持ち下さい」

「わかりました。では失礼します」

「はい、どうかお気をつけて!」


笑顔でそう告げられた後、俺は依頼主の元へと向かった。初依頼のため少々緊張はするがすぐにそれにも慣れるだろう。それよりも――


――この依頼主の力になれるといいな
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