いつかの僕らのために

水城雪見

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新たな出逢い

思いがけない出来事

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 一頻りリュミと戯れて気持ちを落ち着けた後、俺はこの街の市場に足を向けた。
 せっかく早起きしたのだから、朝から賑わっているという市場で、新鮮な野菜や果物を手に入れるつもりだ。
 フランツさん達が交渉してくれたので、泊まっている宿の裏庭を借りられることになっている。
 そこで簡易の調理台を出して、気分転換に料理でもしようと思っていた。
 昨日まで泊まっていた部屋には広めの食堂があったので、そこに手持ちの調理台を出せば料理ができたけど、今日から一人部屋に移るから、調理台を出せるようなスペースはない。
 クリスプの街の宿のように厨房を借りられないかと思ったけど、ここは客の多い宿だから、どの時間帯も厨房は忙しいみたいで、そこに入り込むのは気が引けた。
 だから、冒険者の客の鍛錬用なのか、広めに作ってある裏庭を借りることにしたけれど、できるだけ人目につかない時間に使用する予定だ。
 宿の人の話では、たいていの客は朝の早いうちに出立するそうだから、市場で買い物をしてから宿に戻ればちょうどいい時間になっているだろう。
 手持ちの料理を大量にルイスに渡してしまったので、できるだけたくさんの料理を作っておきたい。
 大きな寸胴鍋もたくさん作ってあるので、スープやシチューも鍋いっぱいに作っておこう。
 この世界では暖かい地方といっても、真冬といってもいい季節の今、外はとても寒いから、スープを煮込んでいれば温かくなるし、色んな種類のスープがあれば、旅の間に食べ飽きることもないだろう。
 この街の特産品というのは特にはないようだけど、近隣に砂糖を作っている村が多いので、他の地域と比べると比較的安価で砂糖が手に入るらしい。
 温暖な地域なので、海から離れれば離れるほど農地も多くて、小麦なども質がいいものが出回っているそうだ。
 バターはクリスプで手に入れているから、パイ生地をまとめて作って、色んな種類のパイを焼いてみるのもいいかもしれない。
 そうなると、香辛料やハーブも欲しくなる。
 この近辺で手に入るものは、みんなでクエストに出た時にできる限り採取してあるけど、足りないものは市場で買い足そう。
 冷蔵の魔核やランプなどをたくさん買い取ってくれたアレンさんのおかげで、懐はかなり潤っているから、安心して買い物ができる。
 それに、マジックバッグの契約を交わすときに、フランツさんが上手く交渉して契約料も分捕ってくれたので、持ち歩くのが恐ろしくなるような金額のお金が手に入った。
 それらのうちの半分を、冒険者ギルドでギルドカードに預けたとき、担当の受付嬢が失神しかけたから、破格の契約料だったことに間違いはない。
 ギルドへの貯蓄額は、冒険者としての信用にも繋がるし、預けたお金はギルド側で有効活用しているとフランツさんが教えてくれたから、どうせあぶく銭だと思って、半分はボランティアみたいな気持ちで預けた。
 優良な冒険者に対して、ギルドは資金の貸し付けもしているそうだから、俺が預けたお金が誰かの役に立てばいいと思う。
 空間庫に入れっぱなしにしているよりも、ずっといい活用法だ。

 早朝だというのに人が多く賑わっている市場で、俺は目につくものを次々に購入していった。
 食材を大量に買い込んでいくのは目立つかと思ったけど、今日は冒険者っぽい格好をしていないので、もの好きな貴族だと勘違いされたようだ。
 俺が持っている服は、バトラーが用意してくれたものだから、デザインはシンプルでもかなり品質のいいもので、普段着の俺は育ちのいい貴族の子供にしか見えないと、貴族であるフランツさんのお墨付きをもらっていた。
 一人で出歩いているように見えても、貴族の子供ならば陰に護衛がついているのは当たり前なので、見えない護衛を恐れて、不用意に絡んでくることはないそうだ。
 貴族に逆らった平民が殺されたとしても、それは罪にならない。それくらい、身分差がはっきりとした世界だ。
 貴族からどう身を守るかは、平民の誰もが身に沁みついている。
 もちろん、だからといって貴族の横暴がすべて許されるわけではないそうだけど。
 どの街にも必ず、国から派遣された監察官がいて、国が定めている以上の税金を課していないか、貴族が不当に権力を行使していないか、監視されているらしい。
 監察官は、就任時に厳しい契約を神と結んでいるので、不正をすると神罰が下るようになっているから、監察官を派遣する制度があるこの国では、横暴な貴族が少ないようだ。


 端から端まで市場を見て回り、欲しいものをあらかた手に入れてから、宿に向かって歩き出した。
 駆け出しの冒険者が泊まるにしてはランクの高い宿だけど、居心地のいい宿なので、この街にいる間は滞在しようと思っていた。
 懐に余裕があるからこそできることだ。
 商業ギルドでの登録は終わったし、この街にいる理由は何もなくなったけど、冒険者ランクを上げるためにしばらくこの近辺のクエストを受けるつもりだ。
 ここまではルイス達がいたから何の問題なかったけど、この先一人旅をするとなると、もう少しランクを上げておかなければ、冒険者としての信用を得られない。
 シュリングの冒険者ギルドなら、ルイス達が話を通してくれたので、全く知らないギルドよりは融通が利くし、何か問題が起こったとしても、アレンさんという街の有力者が身元を保証してくれるので安心だ。
 俺はまだ10級だから、せめて駆け出しを卒業したと見なされる8級くらいまではランクを上げてしまいたい。


「返してくださいっ!」


 市場を通り抜けて宿に向かっていると、切羽詰まったような少女の声が聞こえた。
 大通りから脇道にそれた辺りで声がしたから、誰かが危ない目に遭っているのかもしれない。
 脇道を覗き込むと、猫耳の少女がガラの悪い男3人に囲まれていた。
 買い物帰りなのか、買い物かごのようなものを男の一人に取り上げられたらしく、必死に取り返そうとしている。


「ちょっと付き合ってもらう間、預かってるだけだろ。大人しくこっちに来い!」


 買い物かごを持ったのと別の男が、少女の腕を掴んで引き寄せる。
 獣人族は身体能力が高いけれど、成人したかどうかというくらいの年齢では、体格差もあってろくに抵抗もできないようだ。
 リュミを胸のポケットに入れて、俺は一歩踏み出した。
 さすがに、これを見過ごすわけにはいかない。


「おっさん達、ロリコンなの? その子、奴隷だよね? 他人の奴隷に危害を加えるのは、他人の財産を勝手に奪うのと同じで罰せられるはずなんだけど、衛兵に突き出されたい?」


 奴隷は一目でわかるように首輪をつけている。
 日本で生きていた感覚でいると、首輪とか胸糞悪いけど、奴隷に関する法整備はしっかりとしているし、商業ギルドを介してきちんとした契約をした奴隷の扱いは、そう悪いものではないらしい。
 購入時の金額と相殺という形にすることが多いらしいけれど、最低限の賃金は保証されているし、借金奴隷ならば、真面目に働けば自分で自分を買い戻すこともできる。
 この前、魔道具の店を作る話をみんなでした時に、奴隷を雇うことをフランツさんが検討していたけれど、借金奴隷は貧しい家を助けるために身売りした人も多いので、いい条件で雇うことが奴隷の救済にも繋がるらしい。
 俺の中にある奴隷制度に対する嫌悪感を感じ取ったのか、フランツさんが詳しく説明してくれた。
 その知識が早速役に立つとは思わなかった。
 

「何だ、お前は? ガキは引っ込んでろ!」


 恫喝されても、不思議なくらいに恐怖は感じない。
 俺よりもずっと背が高くて体格のいい3人だけど、そんなに強くないのは何となく感じていた。
 3対1で戦ったとしても、負ける気が全くしない。


「うるせぇ、ロリコン! 今なら見逃してやるから、俺にぶちのめされたくなかったら、さっさと行け!」


 挑発するように怒鳴り返すと、腹を立てた男の一人が殴りかかってきた。
 拳を躱して胸ぐらを掴み、懐に入り込んで地面に叩きつけるように投げる。
 いわゆる一本背負いだけど、受け身の取り方を知らないだけにダメージは大きかったようだ。


「ふざけんな、クソガキっ!」


 俺のような子供にしてやられるのはむかつくのか、残りの二人が同時に殴りかかってくる。
 男達よりも小さいことを利用して、身を屈めて拳を避けて、ついでとばかりに空ぶってバランスを崩した男に足を掛けた。
 顔面から地面に倒れ込んで、かなり痛そうな音がする。
 

「俺、魔法の方が得意なんだけど、まだやる?」


 残った男の顔面すれすれで殴りかかった拳を止めながら、にっこりと笑いかける。
 今更だけど、魔法で眠らせて衛兵に突き出しておけばよかったかな。
 こういったことには慣れておいた方がいいんだろうけど、暴力を振るうのはあまり好きじゃない。

 男が悩んだのは一瞬だった。
 苦々し気に舌打ちした後、地面で呻いている仲間二人を引きずるようにして、路地裏に消えていく。


「あのっ! ありがとうございました。この籠を持っていかれたら、宿の今夜の食事が出せなくなるところでした」


 茶に縞模様が入った猫耳をピッと立てたまま、深々と頭を下げられた。
 助けられはしたけど、少し俺に対する警戒心もあるようだ。
 茶色の髪の毛はふわふわで、目も大きくて可愛い顔立ちをしているけど、まだ表情が硬い。


「たいしたことはしてないから。ついでだし、送るよ。さっきの奴らが戻ってくるかもしれないでしょ?」


 重そうな買い物かごだから持ってあげたかったけど、警戒心を煽るだけのような気もしたので、かごには手を出さずに送っていくことを申し出る。
 あの男たちはやられたばかりだから、多分戻っては来ないと思うけど、でも万が一ということもあるから、安全な場所まで送り届けたい。


「……それじゃ、お願いします。私の勤め先、『精霊樹の木漏れ日』という冒険者向けの宿なんです」


 もう一度頭を下げてから、案内するように猫耳少女が歩き出す。


「俺も冒険者なんだ。といっても、まだ駆け出しで10級だけど」


 大通りに出て、隣に並んで歩きだした。 
 重そうな籠を両手で持っているので、少女が歩く速度はかなり遅い。
 獣人族だから人族の子供と比べると力は強いはずだけど、きっとまだ見た目より幼いかレベルが低いのだろう。
 街中で暮らす魔物狩りと縁がない人は、レベルが上がるのがかなり遅いから、大人でも低レベルなことは珍しくない。
 俺個人としては、魔力が増えれば寿命も延びるんだから、レベルアップで魔力を増やせばいいのにと思う。
 まぁ、レベルアップで身体能力が強化されても、病気に罹りづらくなるとか、怪我の治りが早くなるということはないみたいだけど。
 ただ、高くなった身体能力で怪我をしそうな状況を切り抜けられるから、怪我をする確率は減るようだ。


「冒険者に見えないですね。うちのお客さんは冒険者ばかりだから冒険者は見慣れてますけど、雰囲気が全然違います」

「よく言われるよ」


 普段着の俺が冒険者に見えないのは当たり前のようなので、あえて否定はせずにおく。


「あっ! 私はフレイといいます。見ての通り猫人族で12歳です」


 獣人族は成長が早いと聞いていたけど、フレイは成人しているように見えたから実年齢を知って驚いた。
 成人前から見習いとして働きに出ることもあるとはいえ、見習いどころか奴隷として売られるなんて気の毒だと思ったけど、その感情を表に出すのは失礼だから、平静を装う。
 フランツさんの話だと、未成年の奴隷が娼館などに売られることはないそうだから、そういった職につかなくていいように、あえて成人前の子供を売ることも多いそうだ。
 どうしようもなくて、仕方なく子供を売る親なりの愛情だったりもするらしい。
 だって、成人してからの方が働き手としても需要があるし、高く売れるのだから。
 いくら契約で守られているといっても、買い取り先までは選べない。
 成人してから売られる見目のいい奴隷は、娼館で買われることが多いそうだ。
 見目がいいということは、買取の時の金額も高いから、必然的に借金の額も増える。
 そうなると、生半可な仕事では借金を返せないから、一生奴隷として虐げられながら生きていくことになる。
 

「俺はレイ。さっきも言ったけど、駆け出しの冒険者で15歳。それで、この子はリュミ。俺の従魔なんだ」


 安全と分かったのか、狭い胸ポケットからリュミが顔を出したので、ついでに紹介しておく。


「わぁ、可愛い。手乗りうさぎだ~」


 ポケットを出て俺の肩に移動するリュミを見て、フレイの表情が綻ぶ。
 リュミの可愛さにやられて、警戒心が吹き飛んだようなのでよかった。
 可愛いは正義だな。


「抱っこしてみる?」

「いいんですかっ!?」


 リュミを手のひらに乗せて差し出すと、食い気味に返事が返ってくる。
 リュミも心得たように、後ろ足で立って、可愛く鳴きながら愛想を振りまいた。


「どうぞ。その荷物は、俺が持つよ。代わりにリュミをお願い」


 リュミをフレイの手のひらに乗せてから、地面に置かれた買い物かごを代わりに持ち上げた。
 ずしっと重みが掛かって、いくら身体能力に優れた獣人族とはいえ、重たいだろうなぁと思う。
 リュミを乗せたフレイの手のひらは、重たいかごをずっと持っていたからか、真っ赤になっていた。


「重たいですから、申し訳ないですっ」


 慌てて止めようとするのを、片手で制して、俺は先に歩き出した。
 重たいけれど、レベルが上がったことで身体能力も上がっているので、苦労するほどではない。


「気にしないでいいよ。俺、見た目よりも力持ちだから。それより、この量なら、配達してもらえるんじゃないの? 配達を頼めないほど、急ぎだった?」


 俺が泊まっている宿では、食材などはすべて出入りの商人が配達していた。
 フレイの勤め先がどの程度の規模の宿か知らないけど、定期的に食材が必要となれば、そんなに量が多くなくても配達くらいはしてくれるはずだ。
 クリスプの街のオヤジさんも、自分で買い出しに行くことはあまりないって言ってたし。


「それが……」


 言いかけて、躊躇うように口ごもって、フレイは俯いた。
 リュミが慰めるように、撫でてくる指先に擦り寄って甘えている。


「前は、配達してくれていたんです。私の主人は宿の3代目で、祖父にあたる初代の頃からの付き合いの商人がいたそうです。だけど、未亡人になった主人が求婚されて断ったことで、その腹いせなのか、営業妨害されるようになってしまって……」


 もしかして、さっきのも営業妨害の一環だったのか?
 他人の奴隷に手を出すなんて、割が合わないことだし、おかしいと思ったけど、妨害活動の一環なら納得できる。
 あんな男達を雇ってまで妨害するのだから、余程恨まれているのかもしれない。


「主人に求婚してきたのは、幼馴染で、この街では力のある商会の主なんです。うちの出入りの商人とも親しかったみたいで、最初は納入する品を値上げされました。主人がそれに対して苦情を言ったら、取引が停止されてしまったんです。他の商会から食材を仕入れようともしたみたいなんですけど、やっぱり値段が高くて。仕方がないので、安い食材をこまめに買い出しに行くことになったんです」

「プロポーズを断られたからって、酷いことをするなぁ。買い物に行くたびに絡まれてたら、フレイも大変だよね」


 成人していない子供のフレイが、この先も怖い思いをするかもしれないと思うと、心配になってしまう。
 だからといって、ずっとこの街にいるわけではない俺にできることは何もない。


「宿にも、さっきの男達みたいなガラの悪い人がくるので、最近はお客さんも減ってるんです。うちは新人冒険者がよく利用する宿ですから、冒険者といってもうちのお客さんはあまり強くないので、絡まれると一方的にやられちゃうので。このままでは宿も人手に渡ってしまうと、主人も憔悴していますし、私達もまた売られるかもしれません」


 また売られるとなれば、フレイにとっても切実な問題なんだろう。
 次に売られた先の主人が、いい人だとは限らないのだから。
 嫌がらせをやめさせることができれば、宿を続けられるだろうし、同じ街の商人のことだから、アレンさんから情報をもらえないだろうか?
 あとで、手土産に手作りのお菓子でも持って、ミール商会に顔を出してみよう。


「いくら大店だからって、酷いです。ミール商会なんて、大っ嫌い!」


 子供っぽくフレイが言い切るのを聞いた瞬間、思考が止まる。
 え? ミール商会?
 ミール商会の主って、アレンさんだよね?
 あり得ないことを聞いて、驚きのあまり足が止まる。


「ミール商会って、主に魔道具を扱ってる、アレンさんが代表のミール商会で間違いない?」


 他にミール商会があるといけないから、念のために聞いてみる。


「ミール商会は一つしかないですよ。うちの主人とミール商会のアレンさんは幼馴染らしいです。この街にある学校に一緒に通ってたって聞きました。主人が事故で父親と旦那様を同時に亡くしてすぐに求婚してきたそうです。私達が買われる前のことなので、全部主人に聞いた話なんですけど」


 何か盛大な誤解とか勘違いとかあるような気がする。
 だって、あのアレンさんが、旦那さんを亡くしたばかりの女の人にプロポーズするとは思えないし、ましてや、嫌がらせをするなんてあり得ないと思う。
 それに商人は信用が大事だ。
 嫌がらせをしているなんて噂が出るだけでも、ミール商会にはマイナスになる。
 あの切れ者のアレンさんが、そんな馬鹿なことをするとは思えない。
 だけど、ここで俺がアレンさんはそんな人じゃないって言っても、フレイには信じてはもらえないだろうし、心を閉ざされてしまうだろう。
 先に、アレンさんと話をしてみた方がいいかもしれない。
 俺が口を挟むのは、余計なお世話なのかもしれないけど。


「俺も商会には少し伝手があるから、情報を集めてみるよ。買い物に出るときには、絡まれにくいようにできるだけ人の多い場所を歩くんだよ?」


 宿の裏口に辿り着いて、リュミと買い物かごを交換した。
 この辺りは南門にかなり近く、冒険者が利用するにはちょうどいい宿かもしれない。
 南門の外は、新人冒険者がクエストに出る事が多い場所だから、宿泊客に新人冒険者が多いというのも納得だ。
 宿自体はログハウスみたいな感じの3階建てで、庭にはたくさんの木や花が植えてあり、雰囲気のいい宿だった。
 ただ、今は財政難だからなのか、庭の手入れなどはあまり行き届いていないようだ。


「ありがとうございました。よかったら今度、宿に泊まりに来てください。食事の量を増やすくらいしかできませんけど、サービスしますから」


 お礼も兼ねた営業活動を行うなんて、フレイはしっかりしているなぁ。
 今の宿が気に入っているけど、アレンさんとの話次第では様子見に来てみてもいいかもしれない。
 フレイの話だけを鵜呑みにするわけにもいかないし、フレイの主人でアレンさんの幼馴染でもある人とも、場合によっては話してみた方がいいだろう。
 
 フレイと別れた後、悩んだけれど一度宿に戻った。
 予定通り、料理三昧してから、アレンさんに会いに行くことにした。


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