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・第四十ニ話「海戦の事(後編)」
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「静かにもう少し漕げ。よし、海流に乗った」
「少し右へ、右の櫂を止めて左の櫂を弱く漕げ……よし、両方の櫂を漕げ」
夜闇の中、風と海流に乗り長距離を移動できる港の近くから折り畳み式の帆を併用し、あるいは航続距離の問題を解決するために積載された護衛船から下ろされて手漕ぎのみで、短艇が何隻も漕ぎ出していた。船長兼射手一人、漕手十人。北摩のロングシップよりも更に小さい、本来大型魚類等の銛突漁用のものだ。乗り込むのは当然漁師上がりの連中で、夜の漁にも慣れている連中の為、過去のレーマリア軍の醜態にあった夜間に平気で眠ってしまうという問題は解消されている。
……レーマリアには運動大会で大人気の競技に蹴球というものがある。街毎対抗で11人対11人、夕日に見立てた球を蹴り運び、相手のゴールに蹴り込んで〈落日〉させた方が勝ちというものだ。
この競技をレーマリア人は実に上手にやる。街単位以上で行動させるとからっきし連携が出来ないレーマリア人がだ。
アルキリーレはそれに目を付けていた。レーマリア人が街単位以上に団結できないなら、街単位で、最低限一定時間負けない状態を作ればいいのだと。
これは陸上でもある程度共通した発想で一部作戦が立てられていたが、そのより簡易な仕様が海での戦で試されていた。
前回の戦争で艦隊決戦に拘り地方艦隊を全部国家海軍の元に集めた結果四散してしまった事の真逆。
地方艦隊を有する海に面する街々に自分達が守護する海域を割り振り、その区間だけ商船護衛や制海権確保に責任を持たせたのだ。
そうなれば、それが行われないのであれば商船を停泊出来ないとなる訳だ。商船達も安全が確保できない所には行けない。となれば、交易は出来ず街は寂れる。交易が出来なければ漁獲した魚も金に換えられぬから漁師も困る。寂れたくなければ、自分達が担当する海域は守らなければならない。これなら、街単位でしか動けず臆病なレーマリア人も、自分達が帰属意識を持つ街を衰退させない為には嫌でも頑張って戦わざるを得ない。
無論レーマリア軍を運用するに当たっての注意点はそれだけでは駄目だ。戦う理由を付けるだけでなく降伏しない理由を付けないでいれば、都市ごとに勝手に降参してしまう。これに関してはチェレンティの情報力による鞭とカエストゥスの統治という飴がものを言った。それとある意味、東吼自体が敵に塩をくれてやる羽目になったと言うべきか。
知っての通り、カエストゥスは軍事音痴であるが統治の達人である。彼の統治下のレーマリアは鼓腹撃壌の自由と繁栄の土地であった。
ならば休戦前の先の戦争でホイホイと降伏した都市は、新た支配者である東吼の統治をどう思ったか?
当然そこにあったのは凄まじい落差であった。都市は忽ち軍国主義的な東吼の苛斂誅求と厳しい統治に泣く事になったのだ。
何しろ、元々は東吼だったレーマリア属州西東吼ですら不満が噴出している程だ。それだけカエストゥスの統治が経済的には素晴らしかったことの証明である。
これに対し東吼軍は文明に当てられ軟弱になった奴等と西東吼人への差別意識が生じますますきつく当たる負の連鎖が出来上がるわ、占領下のレーマリア人達は勿論正面切って反乱を起こす度胸は無いが消極的なサボタージュや逃散、即ちいい加減な仕事で迷惑を掛ける、やけ酒やけ飯を飲み食いして酩酊し働かないどころか物資を無駄に浪費する、占領軍相手の商売でぼったくる、何かきつい事言われればすぐ退職し逃げる、占領軍の入り浸る歓楽街から情報を抜く、占領軍の将校や将軍が連れ込んだ女房や愛人を寝取る、野暮な田舎上がりの兵士を美女達が骨抜きにする等、しょうもない方法だが神経を削り軍の補給を阻害し尻尾を掴まれ殺されない程度に抵抗した。
この消極的抵抗についてはチェレンティが手練手管を教え込んで騒ぎを大きくし、そしてその情報をまだ占領されていない都市に広く伝えたのである。軍略家としてはアルキリーレに遠く及ばぬが人心を操る陰謀家としてはかなりの腕前を持つチェレンティの言葉は、降伏は駄目だという意見を野火の如く広めた。
そして更に、ダメ押しとしてカエストゥスがその統治で蓄えた国庫の富を、より頑張った都市により多く補償として戦後与えると確約。都市同士の間に、我等が街は隣の街に頑張りで負けんぞ、という意識をもたらし、無いに等しかった戦意に火を付ける事に成功したのだ。
国家海軍はあくまでその隙間を埋めたり戦力不足の区画の応援として運用する。国家統制的に考えれば問題が無い訳では無いが、手の届かない所や力の足りない時は国家海軍が助けてくれるという事を示していけば長期的には意識改善に繋がる。
勿論これは戦力分散で普通ならば下策だ。だが、集めても逃げ散って0になるのであれば、ばらけた1にやる気を与え、ばらけた1でも敵に痛打を、少なくとも軽快して足を止める程度の攻撃を与えられる攻撃手段を用意するしかない。
そしてその武器こそがレオルロの炎であった。
それを搭載しレーマリア人が素早く連携できる蹴球と同じ11人は漁師の扱い慣れた銛突漁用短艇で進む。無論こんな小舟では昼間は弓矢や投矢機や投石機で遠距離から攻撃され容易くやられてしまう為、小舟である事を利用して夜襲する。
「同じ船乗りとして頼みます。貴方達の経験は、東吼海軍に勝ると信じています」
船乗司祭上がりのペルロ十八世が頼み込んで更に士気という心の炎を鼓舞した船乗り達は、海流も風向きも浅瀬の位置も天気の具合も勝手知ったる海域を自在に移動する。静かに、夜闇に紛れて、東吼艦隊に迫る。
だがこの小舟で、どうやって敵艦に攻撃するのか?
「狙い良し、圧力良し」
船長兼射手は、大絡繰を静かに構えた。まだ夜の闇の中。火を付けるのは直前だ。それまでは暗いまま。
攻撃手段。それは即ちレオルロの発明だ。携帯用投火機、陸戦で用いるには頑丈さと射程に欠けると判断されたそれは、改良された結果頑丈になると同時に大型化し、男の背丈より大きな長槍ほどのサイズとなって短艇の底に置かれていた。大型化したことで頑丈に成り短艇搭載という蛮用に耐え、また大型化した事で燃料の量とそれに掛ける圧力も増大させる事が出来る事になった、射程距離も大幅に増大させる事が出来ていた。
無論元々の投火機よりはまだ少し射程は短い。だがそれでも小舟でぎりぎり無事に近寄れる範囲から撃てる程度に十分な射程はあり、何より元々の投火機は大型船で無ければ積めない程でかい上に、準備段階で火を焚いて熱しておく必要があるので到底隠密に接近するなんて事は出来ない。
「準備良し」
船長は船縁に乗せて携帯式投火機を構える。レオルロはペルロ十八世に見せたように着火機も発明していた。携帯式投火機は長々加熱しなくても着火さえすれば使える。そして着火機を使えば発車直前に着火できるのだ。指先程度の火が点った直後に気づいたとしても、間に合うと思うか?
ビュウオオオオオオッ!
「うわああああっ!?」
「火事だ!?」
「火だ!」
「奇襲だああっ?!」
夜闇を細く鋭い火が独特の噴射音を立てて飛び、水上でも威力を保つ極めて消火しにくい炎が東吼軍船を襲った。思わぬ新兵器による奇襲で東吼海軍は混乱に陥った。レオルロの発明が軍事で成果を上げた最初の瞬間だった。同時にそれは海戦兵器を陸戦で使用可能にした物を敢えて海戦に戻すというアルキリーレの柔軟な発想の成果でもあった。
「よし逃げるぞ!」
レーマリア漁師船長の号令一下、短艇はさながら攻守所を変え布陣を変えながら球を追う蹴球選手の如く素早く撤退していく。
追撃は消火でままならず、また運悪く追撃が成立する状況になっても勝手知ったる地元の船乗りと遠くからやってきた東吼海軍だ。レーマリア側が海流に乗って逃れ、東吼海軍が浅瀬に引っかかったり、母艦となったレーマリア海軍大型艦に包囲されたりする始末であった。撃沈されても沿岸なら泳いで脱出も出来る。言ってしまえばこれは、地球で言う所の二十世紀初頭の水雷艇や初期の駆逐艦めいた戦術と言えた。
商船狩りに中程度に分散した東吼艦隊は、あちこちでその戦力を削られていった。
「ええい、中止! 中止です! 通商襲撃は中止! どうせこの戦法は沖合では使えません! ここは結集して牽制に徹します!」
報告に海図を載せた机を叩いて東吼海軍長官バルリアは怒鳴ると、こんな海上ゲリラ戦には付き合わない事を宣言した。
こんな海軍の常道に外れた、陸の密林でやるような戦。幸い、先遣隊に被害が出ただけだ。主力を失っては居ないし、敵の素湯力も迎撃こそすれ攻め寄せるつもりはないし、こんな作戦はあくまで沿岸の縄張りかつ夜間でしか使いようがないと流石に海軍長官を務めるだけあってバルリアは即座に理解した。
レーマリア側もこれで敵の戦力を削りきれるとは思っては居ない。だが削れた状況で決戦する度胸があるかという話しだ。東吼では高官とはいえども失敗をすれば皇帝は厳しい。それをバルリアは恐れた。
「……時機を伺いますよ」
状況が変化するか、皇帝が決断するか、何処かに陸軍を上陸させる必要が生じるか、何れか迄は味方輸送船団の護衛や揚陸の準備に徹した方が良い。そう判断した。
結果、海戦は状況が動かない限り、お互い艦隊保全を行い睨み合う事になる。
あくまで前哨戦。レーマリアにとっては小さな戦果。あくまで膠着状態で、戦いの決着が陸に移っただけ。
だが敵はまだ新兵器による面倒なテマが増えた程度に思っているが、これは紛れもなく変化の始まりだった。
そして何より。アルキリーレが直接指揮する陸戦は、これから始まるのだ。
「少し右へ、右の櫂を止めて左の櫂を弱く漕げ……よし、両方の櫂を漕げ」
夜闇の中、風と海流に乗り長距離を移動できる港の近くから折り畳み式の帆を併用し、あるいは航続距離の問題を解決するために積載された護衛船から下ろされて手漕ぎのみで、短艇が何隻も漕ぎ出していた。船長兼射手一人、漕手十人。北摩のロングシップよりも更に小さい、本来大型魚類等の銛突漁用のものだ。乗り込むのは当然漁師上がりの連中で、夜の漁にも慣れている連中の為、過去のレーマリア軍の醜態にあった夜間に平気で眠ってしまうという問題は解消されている。
……レーマリアには運動大会で大人気の競技に蹴球というものがある。街毎対抗で11人対11人、夕日に見立てた球を蹴り運び、相手のゴールに蹴り込んで〈落日〉させた方が勝ちというものだ。
この競技をレーマリア人は実に上手にやる。街単位以上で行動させるとからっきし連携が出来ないレーマリア人がだ。
アルキリーレはそれに目を付けていた。レーマリア人が街単位以上に団結できないなら、街単位で、最低限一定時間負けない状態を作ればいいのだと。
これは陸上でもある程度共通した発想で一部作戦が立てられていたが、そのより簡易な仕様が海での戦で試されていた。
前回の戦争で艦隊決戦に拘り地方艦隊を全部国家海軍の元に集めた結果四散してしまった事の真逆。
地方艦隊を有する海に面する街々に自分達が守護する海域を割り振り、その区間だけ商船護衛や制海権確保に責任を持たせたのだ。
そうなれば、それが行われないのであれば商船を停泊出来ないとなる訳だ。商船達も安全が確保できない所には行けない。となれば、交易は出来ず街は寂れる。交易が出来なければ漁獲した魚も金に換えられぬから漁師も困る。寂れたくなければ、自分達が担当する海域は守らなければならない。これなら、街単位でしか動けず臆病なレーマリア人も、自分達が帰属意識を持つ街を衰退させない為には嫌でも頑張って戦わざるを得ない。
無論レーマリア軍を運用するに当たっての注意点はそれだけでは駄目だ。戦う理由を付けるだけでなく降伏しない理由を付けないでいれば、都市ごとに勝手に降参してしまう。これに関してはチェレンティの情報力による鞭とカエストゥスの統治という飴がものを言った。それとある意味、東吼自体が敵に塩をくれてやる羽目になったと言うべきか。
知っての通り、カエストゥスは軍事音痴であるが統治の達人である。彼の統治下のレーマリアは鼓腹撃壌の自由と繁栄の土地であった。
ならば休戦前の先の戦争でホイホイと降伏した都市は、新た支配者である東吼の統治をどう思ったか?
当然そこにあったのは凄まじい落差であった。都市は忽ち軍国主義的な東吼の苛斂誅求と厳しい統治に泣く事になったのだ。
何しろ、元々は東吼だったレーマリア属州西東吼ですら不満が噴出している程だ。それだけカエストゥスの統治が経済的には素晴らしかったことの証明である。
これに対し東吼軍は文明に当てられ軟弱になった奴等と西東吼人への差別意識が生じますますきつく当たる負の連鎖が出来上がるわ、占領下のレーマリア人達は勿論正面切って反乱を起こす度胸は無いが消極的なサボタージュや逃散、即ちいい加減な仕事で迷惑を掛ける、やけ酒やけ飯を飲み食いして酩酊し働かないどころか物資を無駄に浪費する、占領軍相手の商売でぼったくる、何かきつい事言われればすぐ退職し逃げる、占領軍の入り浸る歓楽街から情報を抜く、占領軍の将校や将軍が連れ込んだ女房や愛人を寝取る、野暮な田舎上がりの兵士を美女達が骨抜きにする等、しょうもない方法だが神経を削り軍の補給を阻害し尻尾を掴まれ殺されない程度に抵抗した。
この消極的抵抗についてはチェレンティが手練手管を教え込んで騒ぎを大きくし、そしてその情報をまだ占領されていない都市に広く伝えたのである。軍略家としてはアルキリーレに遠く及ばぬが人心を操る陰謀家としてはかなりの腕前を持つチェレンティの言葉は、降伏は駄目だという意見を野火の如く広めた。
そして更に、ダメ押しとしてカエストゥスがその統治で蓄えた国庫の富を、より頑張った都市により多く補償として戦後与えると確約。都市同士の間に、我等が街は隣の街に頑張りで負けんぞ、という意識をもたらし、無いに等しかった戦意に火を付ける事に成功したのだ。
国家海軍はあくまでその隙間を埋めたり戦力不足の区画の応援として運用する。国家統制的に考えれば問題が無い訳では無いが、手の届かない所や力の足りない時は国家海軍が助けてくれるという事を示していけば長期的には意識改善に繋がる。
勿論これは戦力分散で普通ならば下策だ。だが、集めても逃げ散って0になるのであれば、ばらけた1にやる気を与え、ばらけた1でも敵に痛打を、少なくとも軽快して足を止める程度の攻撃を与えられる攻撃手段を用意するしかない。
そしてその武器こそがレオルロの炎であった。
それを搭載しレーマリア人が素早く連携できる蹴球と同じ11人は漁師の扱い慣れた銛突漁用短艇で進む。無論こんな小舟では昼間は弓矢や投矢機や投石機で遠距離から攻撃され容易くやられてしまう為、小舟である事を利用して夜襲する。
「同じ船乗りとして頼みます。貴方達の経験は、東吼海軍に勝ると信じています」
船乗司祭上がりのペルロ十八世が頼み込んで更に士気という心の炎を鼓舞した船乗り達は、海流も風向きも浅瀬の位置も天気の具合も勝手知ったる海域を自在に移動する。静かに、夜闇に紛れて、東吼艦隊に迫る。
だがこの小舟で、どうやって敵艦に攻撃するのか?
「狙い良し、圧力良し」
船長兼射手は、大絡繰を静かに構えた。まだ夜の闇の中。火を付けるのは直前だ。それまでは暗いまま。
攻撃手段。それは即ちレオルロの発明だ。携帯用投火機、陸戦で用いるには頑丈さと射程に欠けると判断されたそれは、改良された結果頑丈になると同時に大型化し、男の背丈より大きな長槍ほどのサイズとなって短艇の底に置かれていた。大型化したことで頑丈に成り短艇搭載という蛮用に耐え、また大型化した事で燃料の量とそれに掛ける圧力も増大させる事が出来る事になった、射程距離も大幅に増大させる事が出来ていた。
無論元々の投火機よりはまだ少し射程は短い。だがそれでも小舟でぎりぎり無事に近寄れる範囲から撃てる程度に十分な射程はあり、何より元々の投火機は大型船で無ければ積めない程でかい上に、準備段階で火を焚いて熱しておく必要があるので到底隠密に接近するなんて事は出来ない。
「準備良し」
船長は船縁に乗せて携帯式投火機を構える。レオルロはペルロ十八世に見せたように着火機も発明していた。携帯式投火機は長々加熱しなくても着火さえすれば使える。そして着火機を使えば発車直前に着火できるのだ。指先程度の火が点った直後に気づいたとしても、間に合うと思うか?
ビュウオオオオオオッ!
「うわああああっ!?」
「火事だ!?」
「火だ!」
「奇襲だああっ?!」
夜闇を細く鋭い火が独特の噴射音を立てて飛び、水上でも威力を保つ極めて消火しにくい炎が東吼軍船を襲った。思わぬ新兵器による奇襲で東吼海軍は混乱に陥った。レオルロの発明が軍事で成果を上げた最初の瞬間だった。同時にそれは海戦兵器を陸戦で使用可能にした物を敢えて海戦に戻すというアルキリーレの柔軟な発想の成果でもあった。
「よし逃げるぞ!」
レーマリア漁師船長の号令一下、短艇はさながら攻守所を変え布陣を変えながら球を追う蹴球選手の如く素早く撤退していく。
追撃は消火でままならず、また運悪く追撃が成立する状況になっても勝手知ったる地元の船乗りと遠くからやってきた東吼海軍だ。レーマリア側が海流に乗って逃れ、東吼海軍が浅瀬に引っかかったり、母艦となったレーマリア海軍大型艦に包囲されたりする始末であった。撃沈されても沿岸なら泳いで脱出も出来る。言ってしまえばこれは、地球で言う所の二十世紀初頭の水雷艇や初期の駆逐艦めいた戦術と言えた。
商船狩りに中程度に分散した東吼艦隊は、あちこちでその戦力を削られていった。
「ええい、中止! 中止です! 通商襲撃は中止! どうせこの戦法は沖合では使えません! ここは結集して牽制に徹します!」
報告に海図を載せた机を叩いて東吼海軍長官バルリアは怒鳴ると、こんな海上ゲリラ戦には付き合わない事を宣言した。
こんな海軍の常道に外れた、陸の密林でやるような戦。幸い、先遣隊に被害が出ただけだ。主力を失っては居ないし、敵の素湯力も迎撃こそすれ攻め寄せるつもりはないし、こんな作戦はあくまで沿岸の縄張りかつ夜間でしか使いようがないと流石に海軍長官を務めるだけあってバルリアは即座に理解した。
レーマリア側もこれで敵の戦力を削りきれるとは思っては居ない。だが削れた状況で決戦する度胸があるかという話しだ。東吼では高官とはいえども失敗をすれば皇帝は厳しい。それをバルリアは恐れた。
「……時機を伺いますよ」
状況が変化するか、皇帝が決断するか、何処かに陸軍を上陸させる必要が生じるか、何れか迄は味方輸送船団の護衛や揚陸の準備に徹した方が良い。そう判断した。
結果、海戦は状況が動かない限り、お互い艦隊保全を行い睨み合う事になる。
あくまで前哨戦。レーマリアにとっては小さな戦果。あくまで膠着状態で、戦いの決着が陸に移っただけ。
だが敵はまだ新兵器による面倒なテマが増えた程度に思っているが、これは紛れもなく変化の始まりだった。
そして何より。アルキリーレが直接指揮する陸戦は、これから始まるのだ。
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