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・最終第六十三話「殺伐蛮姫と戦下手なイケメン達の事」
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最終的に蒸気戦車は敵陣を駆け抜け終えた後百歩尺程走った所で止まった、というか瓦解した。爆発こそしなかったが、分解してバラバラになった。
「飛び降りてーっ!?」
レオルロが叫んだ直後、明らかに歴史に現れるのが早すぎた超兵器はその役目を終え、レオルロもチェレンティもペルロもアントニクスも、アルキリーレを庇おうとしながら飛び降りた。
その中で特にアルキリーレを助け上げたカエストゥスが、抱き合っていたアルキリーレを庇って飛び降りた。ごろごろと柔らかな草原を二人で転がり最終的にカエストゥスが下になって止まったが。
「!?」
アルキリーレはカエストゥスの肩に顔を埋める形で突っ伏した。
「アルキリーレ! 戻ってこい!」
故にカエストゥスは跳ね起きると、いざという時の為にスキットルに入れて懐に持っていた回復飲料を呷ると、草原にぐったりと横たわったアルキリーレに口付けし、口移しに流し込み。
「気絶しちょらんわっ!?(////)」
「っ!?」
失神しとらんわい! とアルキリーレに怒られた! 実際、少し目を回していただけだったのだ。だが!
「っ、カエストゥス!?」
直後、身を起こしたアルキリーレの腕の中で、今度はがっくりとそのカエストゥスの方が崩れ落ちたのだ。アルキリーレが悲鳴を上げる!
「どうやら、撃たれたらしい。首筋に、矢が。致命傷だ」
アルキリーレの腕の中に崩れ落ちたカエストゥスが呟いた。アルキリーレを助けようと夢中になって痛みも忘れていたが、蒸気戦車の上部装甲を放棄してアルキリーレを救出しようと走った間に、流れ矢が届いていたらしいと。
「っ……か、カエストゥス! カエストゥス!? そんな、駄目だ。死なないで。嫌じゃ。そげな。私は、私はお前がいなくなったら……私はお前の 事が……!?」
逆に抱き留め返す己の腕の中、力を失い、崩れ落ちていくカエストゥスの体を抱きしめ、アルキリーレは泣き叫んだ。死なないで、死なないで、私はお前が……
「……」
周囲の男達が悲痛な表情を浮かべる中、アルキリーレは必死にカエストゥスの体を抱きしめ、その命にしがみつこうとして。
「アルキリーレ。悲しまないで。私は……貴方の為に命を擲てて悔いは無いと……」
「……」
カエストゥスの掠れ声を聞きながら、アルキリーレは肩と背筋を震わせた。……カエストゥス以外の男達は、結末を理解して慌てて身を引いた、というか逃げ惑った。そして、アルキリーレが気づいた。震えは、悲しみから怒りになった。
「何が首筋に矢が刺さったと!? 肩口ん首に近かとこば矢が掠めただけで肩に矢が刺さってすらおらんじゃろうがこん馬鹿野郎がぁあああ!?」
「えっ本当かいごめんなさぶはあああああっ!?!?」
肩を矢が掠めて切り傷が出来たのを戦慣れしてないカエストゥスが致命傷を負ったのと錯覚しただけじゃねえか!! と、あんまりなオチに心配余っての怒りが炸裂しカエストゥスは死なない程度にアルキリーレにぶん殴られた。
「……じゃっどん、お前が死なないでよかった……」
ともあれ、改めてアルキリーレは安堵して……
「ん」
「っ!?」
今度はアルキリーレから、回復飲料を口移しにカエストゥスに流し込んだ。
「勿論お前は気絶しちょらんが、お返しじゃ(////)」
アルキリーレなりの、感謝と愛の印として。
「……ありがとう(////)」
アルキリーレの怒りを恐れて逃げ散った皆が戻ってきて冷やかすまでの間。カエストゥスはひどく赤面した。
そして、その後についてだが。
この戦いは、後の歴史に大きな影響を齎した。
「また遊ぼうねえええ!」
「二度と来んなあああ!」
なんだかんだと生き延びて脱出したセフトメリムは脱出時そう言い残しアルキリーレに怒鳴り返されたが、東吼は皇帝を唐突に失った事で、生き残った皇子たちが互いに争う事となり、レーマリア侵攻の余地を無くした。
その東吼にそそのかされる形で属州奪還を図った西馳と南黒は慌てて撤退する事になり、寧ろ南黒は東吼にまで奪われた土地である東南黒の奪還を目指す事になる。
レーマリアの命数は大いに伸びた。アルキリーレがいなければ、東吼がレーマリアを征服していた事はほぼ確実だったろうから、アルキリーレと彼女を愛した男達の愛が歴史を変えたと言えるだろう。
またこのせいで、チェストが東吼民族のトラウマになった。子供を叱るのに、悪い子にしているとチェストが来るよ、と言われるようになった程だ。このせいで東吼と北摩の関係が大変な事になり、また亡命した王によってレーマリアが救われたという事から、レーマリアと北摩の関係も中々ややこやしい事になるのだが……
そんな事は兎も角として。
この戦いの後、レーマリアでは一つの童話が生まれた。きんいろのらいおん、という童話だ。
強すぎて故郷の獣の国では誰も友達の出来なかったライオンが、旅をして訪れた花の国では皆に頼られて、というお話だ。
この童話がアルキリーレを元にした話なのは明らかだが、その童話は、このように結ばれる。
きんいろのらいおんたちはしあわせにくらましたとさ、めでたし、めでたし、と。
つまり、アルキリーレ達のその後についても紆余曲折はあれ、そういう事さ。
故にこの物語もこう終わる。
この後も何だかんだ色々あったが最終的に、アルキリーレ達は幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。
「飛び降りてーっ!?」
レオルロが叫んだ直後、明らかに歴史に現れるのが早すぎた超兵器はその役目を終え、レオルロもチェレンティもペルロもアントニクスも、アルキリーレを庇おうとしながら飛び降りた。
その中で特にアルキリーレを助け上げたカエストゥスが、抱き合っていたアルキリーレを庇って飛び降りた。ごろごろと柔らかな草原を二人で転がり最終的にカエストゥスが下になって止まったが。
「!?」
アルキリーレはカエストゥスの肩に顔を埋める形で突っ伏した。
「アルキリーレ! 戻ってこい!」
故にカエストゥスは跳ね起きると、いざという時の為にスキットルに入れて懐に持っていた回復飲料を呷ると、草原にぐったりと横たわったアルキリーレに口付けし、口移しに流し込み。
「気絶しちょらんわっ!?(////)」
「っ!?」
失神しとらんわい! とアルキリーレに怒られた! 実際、少し目を回していただけだったのだ。だが!
「っ、カエストゥス!?」
直後、身を起こしたアルキリーレの腕の中で、今度はがっくりとそのカエストゥスの方が崩れ落ちたのだ。アルキリーレが悲鳴を上げる!
「どうやら、撃たれたらしい。首筋に、矢が。致命傷だ」
アルキリーレの腕の中に崩れ落ちたカエストゥスが呟いた。アルキリーレを助けようと夢中になって痛みも忘れていたが、蒸気戦車の上部装甲を放棄してアルキリーレを救出しようと走った間に、流れ矢が届いていたらしいと。
「っ……か、カエストゥス! カエストゥス!? そんな、駄目だ。死なないで。嫌じゃ。そげな。私は、私はお前がいなくなったら……私はお前の 事が……!?」
逆に抱き留め返す己の腕の中、力を失い、崩れ落ちていくカエストゥスの体を抱きしめ、アルキリーレは泣き叫んだ。死なないで、死なないで、私はお前が……
「……」
周囲の男達が悲痛な表情を浮かべる中、アルキリーレは必死にカエストゥスの体を抱きしめ、その命にしがみつこうとして。
「アルキリーレ。悲しまないで。私は……貴方の為に命を擲てて悔いは無いと……」
「……」
カエストゥスの掠れ声を聞きながら、アルキリーレは肩と背筋を震わせた。……カエストゥス以外の男達は、結末を理解して慌てて身を引いた、というか逃げ惑った。そして、アルキリーレが気づいた。震えは、悲しみから怒りになった。
「何が首筋に矢が刺さったと!? 肩口ん首に近かとこば矢が掠めただけで肩に矢が刺さってすらおらんじゃろうがこん馬鹿野郎がぁあああ!?」
「えっ本当かいごめんなさぶはあああああっ!?!?」
肩を矢が掠めて切り傷が出来たのを戦慣れしてないカエストゥスが致命傷を負ったのと錯覚しただけじゃねえか!! と、あんまりなオチに心配余っての怒りが炸裂しカエストゥスは死なない程度にアルキリーレにぶん殴られた。
「……じゃっどん、お前が死なないでよかった……」
ともあれ、改めてアルキリーレは安堵して……
「ん」
「っ!?」
今度はアルキリーレから、回復飲料を口移しにカエストゥスに流し込んだ。
「勿論お前は気絶しちょらんが、お返しじゃ(////)」
アルキリーレなりの、感謝と愛の印として。
「……ありがとう(////)」
アルキリーレの怒りを恐れて逃げ散った皆が戻ってきて冷やかすまでの間。カエストゥスはひどく赤面した。
そして、その後についてだが。
この戦いは、後の歴史に大きな影響を齎した。
「また遊ぼうねえええ!」
「二度と来んなあああ!」
なんだかんだと生き延びて脱出したセフトメリムは脱出時そう言い残しアルキリーレに怒鳴り返されたが、東吼は皇帝を唐突に失った事で、生き残った皇子たちが互いに争う事となり、レーマリア侵攻の余地を無くした。
その東吼にそそのかされる形で属州奪還を図った西馳と南黒は慌てて撤退する事になり、寧ろ南黒は東吼にまで奪われた土地である東南黒の奪還を目指す事になる。
レーマリアの命数は大いに伸びた。アルキリーレがいなければ、東吼がレーマリアを征服していた事はほぼ確実だったろうから、アルキリーレと彼女を愛した男達の愛が歴史を変えたと言えるだろう。
またこのせいで、チェストが東吼民族のトラウマになった。子供を叱るのに、悪い子にしているとチェストが来るよ、と言われるようになった程だ。このせいで東吼と北摩の関係が大変な事になり、また亡命した王によってレーマリアが救われたという事から、レーマリアと北摩の関係も中々ややこやしい事になるのだが……
そんな事は兎も角として。
この戦いの後、レーマリアでは一つの童話が生まれた。きんいろのらいおん、という童話だ。
強すぎて故郷の獣の国では誰も友達の出来なかったライオンが、旅をして訪れた花の国では皆に頼られて、というお話だ。
この童話がアルキリーレを元にした話なのは明らかだが、その童話は、このように結ばれる。
きんいろのらいおんたちはしあわせにくらましたとさ、めでたし、めでたし、と。
つまり、アルキリーレ達のその後についても紆余曲折はあれ、そういう事さ。
故にこの物語もこう終わる。
この後も何だかんだ色々あったが最終的に、アルキリーレ達は幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。
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