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文化祭編
19話「俺の心のヤベェやつ」
しおりを挟む新川優希の消失後、手分けして探すも一向に見つからずいらずらにも時間だけが過ぎていった。
「もしもし、翼です。栞菜、朝比奈先輩、日向先輩、もう時間もないので一回集まりましょう。」
「わかったわ。」
「了解だよ。」
「わかった‥」
.
.
.
「おい、お前もうこの辺りはほぼ見たんじゃねぇの?」
「優希が心配なんですけど私、ライブがあってそれには絶対出たいんです。」
「チッ‥じゃあとりあえず桃花と合流するか。」
「もしもし、桃花、らちがあかねぇから一旦集まるぞ‥」
「わかった。」
.
.
.
「栞菜!先輩2人とも!こっちです。」
「やっぱ居なかったわ。」
「こっちもダメでした。」
「どこ言ったのよ優希君‥」
「あれ、翼先輩!」
「お前はさっきの‥」
「何で早乙女さんがこいつと一緒に居るんだよ‥」
「いや、その色々ありまして?」
「お前、早乙女さん脅しただろ?」
「チッ、さっきからイライラさせるやつしか居ねぇのかこの学校は‥」
「ちょっと和也何してんのよ!」
「あなたが桃子ちゃんね、」
「そうですけど?」
「私は朝比奈風夏あんたのせいで文化祭めちゃくちゃなんですけどどうしてくれる訳?」
「そんな事私に言われても‥」
「あのなぁお前ら、桃花はなぁ」
「和也、やめて。」
「あ、あの私も朝比奈先輩も時間ないんで手短に言います。もうこうなったら優希に出て来てもらうしか方法はないんで、朝比奈先輩も桃花さんもこの後にやるミスコン出てください。そこではっきりしましょう!!!」
「ちょっと、早乙女さん何言ってるの‥」
「良いわよ、その話乗った。萌ちゃんも桃花ちゃんも首洗って待ってなさい。去年優勝した私の実力証明してあげる。」
「あんたらね、私の事誰だと思ってる訳?」
「そうだよ、桃花は有名読モだぞ?」
「負ける訳ないじゃない!!私は常にトップを取り続けてたのよ、誰よりも負ける訳ないじゃない。」
「じゃあみなさん了解したって事で良いですね。そこで決着付けましょう。」
「みんな何の決着付けるの?」
「そんなの!!」
「優希に誰が相応しいかです。」
「優希君に誰が相応しいかよ!」
「優君に誰が相応しいかに決まってるじゃない。」
「おいおい、優希早く出てこい‥お前の居ないところですげぇ事になってんぞ‥」
.
.
.
「んん‥」
「起きた?」
「あ、すいません俺‥」
「相当疲れていたのね‥」
知らぬ間に寝ていたらしい。
逃げてる分際で呑気なものだな‥
「あの、翼以外にも誰か来ましたか?」
「何人か来たわ、みんな知らないって追い払ったけど。」
「ほんと、すいません‥」
「だから前にも助けてあげたのに。」ボソッ
「すいませんなんか言いました?」
「あなたが気にする事じゃないわ。」
携帯も置いて逃げ出してしまった。
もう俺の人生は終わるのだろうか、まあ良いか、今まで好き勝手やって来たからな、その罰か。まあ今ならわかる、世界は俺中心に回ってる訳がない。そんな風に思えるほど俺は世間知らずだったって事だ。あれ‥でも‥
「あの、その、」
「どうしたの泣いてるの?新川君?」
よくよく考えてみればおかしな事がいっぱいある。
初めて会う俺になぜ彼女は優しいんだ‥
なぜ俺はここに居座りたいと思えるほど安心感があるんだ‥
「すいません先輩、なんか急に涙が‥」
「大丈夫だよ新川君。」
そうだ、この呼び方もなんか懐かしさを感じる
俺はこの人の事もこの懐かしさも全部知ってるはずだ‥はずなのに‥
.
.
.
「これから軽音部によるライブを開催します。まずはトップバッター、弾き語りをしてくれるのは1年の早乙女萌さんです。」
パチパチ!!
「あの、初めまして、早乙女萌です。練習したんですが2曲しか弾けなませんでしたが、良かったら聞いていってください!」
.
.
.
「それではこれからロミオとジュリエットの午後の部公演開始します。どうぞごゆっくりお楽しみ下さい!!」
「優希君頑張るからね‥」
.
.
.
「ありがとうございました。次にやる曲はApendってバンドのrainって曲なんですけど、同年代でこの曲知ってる人ってまず居ないんですよね。だから私、クラスの人からサブカルとか良く言われてて凄く浮いてるんですよ。
別に誰に何言われてても気にしないタイプなんで良いんですよね。
でも、そんな時にこの曲を大好きな人に出会いました。
その人は誰よりも強くて、誰よりも優しくて、自分はいくらでも犠牲に出来るくせに頼りたいのに頼れなかったり、本当は自分の気持ちに気付いてるのに蓋したりして、でも私はそんな先輩の事が大好きです。
その人のおかげで今の私があるし、この曲聴けないぐらい嫌いになった時期もあったんですけどその人のおかげで全部全部好きになれました。
私、人が苦手なんですけどその日のおかげで頑張ろうと思えました。
良かったらこのライブ終わったらみんな話しかけてください。
それでは聞いてください。”rain”
「優ちゃんどこ行ったんだんだよ、今回ばかりは自分で歩かなきゃ‥」
.
.
.
「ああ、ロミオ様、ロミオ様! なぜあなたは、ロミオ様でいらっしゃいますの? ‥」
「今井君‥風夏のためにも絶対見つけて。お願い」
.
.
.
「ありがとうございました。少ないですが2曲で終わりです。あと、この後、私と3年の朝比奈先輩と読者モデルの桃花さんが急遽ミスコンに出る事になったので良かったら私を応援しに来てください!ありがとうございました!」
パチパチ!!
「はあ‥優希、来なかったな‥」
.
.
.
「これにて、ロミオとジュリエット、午後の部終演いたします。是非、我がクラスに投票してください!最優秀賞狙っておりますので~」
「ついに終わってしまったわね‥結局優希君来なかったな‥」
「今井君にかけるしかないわよ。」
.
.
.
ピンポンパンポーン!!
「1-Aの今井翼です、臨時放送です。軽音部のライブの後に開かれる毎年恒例、裏高ミスコンですが、
前年度優勝”朝比奈風夏”、
先ほど宣言もあった1年の”早乙女萌”
そして、今学校で騒がれてる読者モデルの”桃花”
の参加が急遽決まりましたので是非、この後は体育館にお越しください‥後個人的な事ですが、優希お前も待ってるからな。
それでは放送おわりにします。」
こうして文化祭はミスコンを残すのみとなった。
ー続くー
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