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文化祭編
18話「新川優希の消失」
しおりを挟む過去のトラウマの原因、新川優希の初恋、有栖桃花が文化祭に現れたことで突如、失踪してしまった優希、彼は何処へ‥
今思えばクラスの仕事をサボってしまった。
せっかくみんなと仲良くなってきたのに、せっかく風夏先輩にも萌にも変わるって約束したのに、何も変われなかった。有栖が前に現れた瞬間何もかも見えなくなってしまった。
みんなの期待を裏切ってしまった気持ちと恐怖、色々な事が混ざった俺は適当な教室に逃げ込んでしまった。
「とりあえず、ここに居れば良いか‥」
「あの‥」
「え?」
「ここは文芸同好会の展示会場」
「あ、あのすいません‥俺ちょっとあの‥」
「大丈夫?」
「は、はい‥大丈夫ではないですけど‥」
「そう。まあゆっくりしていけば?」
そう言ってくれたのはネクタイの色からして3年の先輩だろうか、文芸同好会の人らしい‥
外はねボブの女性だった。かなり冷酷な感じだ。
「すいません、ありがとうございます。俺、2-Aの新川優希って言います。」
「そう。よろしくね」
彼女は名前を名乗らなかったがわざわざ聞く事も無いと思った俺は沈黙の中色々考え事をしていた。
.
.
.
「もしもし、今井君?」
「はい!どうしたんですか日向先輩?」
「あの私、嘘つくのが苦手でもう風夏にバレちゃったのだけど?」
「そうなんですね‥って事は今、朝比奈先輩は?」
「私と新川君を探してるわ。」
「わかりました。そしたらとりあえず俺は今、栞菜と一緒に居るんで一回集合してみんなで探す所を手分けしましょう。」
「分かったわ。風夏に言っておく。」
.
.
.
「クソ~みんな揃いも揃って有栖が悪い、有栖が悪いって~‥」
「大丈夫か?桃花?」
「大丈夫よ‥和也、私たちも優くん探すわよ。」
「別にあいつにこだわる必要なく無いか?俺だって居るし?」
「和也には分からないだろうけど、私もあいつに言わなきゃいけない事があるのよ。」
「俺はあんまそいつの事しらねぇけど、そのいつも大事に付けてる四つ葉クローバーのネックレスくれた奴なんだろ。なんでそれなのに桃花は嫌われてるんだ?」
「そんなの私が聞きたいぐらいよ!!!とにかく、手分けして、優くん見つけるわよ。」
.
.
.
「朝比奈先輩、日向先輩こっちです!」
「今井君!小山田さん!」
「とりあえず俺らA棟は見たんですけど」
「私達もまだクラスの周辺しか探してないからみんなでB棟探しましょう!」
「はい!」
.
.
.
「せっかく優希が変わろうとしてるのに、大丈夫かな?」
「あれ、萌ちゃん」
「ミーハー女と小沢さん!」
「また、私の事ミーハーって!」
「それより優希見なかった?」
「兄貴?見てないけど?てか萌ちゃんさ!読モの桃花ちゃんって見なかった??」
「見てないか、ありがとう。じゃまた、」
「ちょっと桃花ちゃん見たの~ってサブカル女は桃花ちゃんのこと知らないから‥てかあの子午後のメイドやるんでしょうね??」
.
.
.
「ダメだ早く優希を見つけないと。」
「ねぇ、君、裏高の1年生?可愛いね?」
「誰ですか?」
「俺ら裏原工業の2年なんだけどさ~迷子になっちゃってちょっと案内してくんない?」
「ちょっと今は‥」
「冷たいなぁ~俺らと文化祭楽しくまわろうぜ!!」グイッ
「ちょっと、すいません、手、離してください‥」
「いいじゃん!ちょっとぐらいさぁ~」
「おい!お前らやめろよ嫌がってんだろ。」
「優希??」
「また、その男かよ。悪かったな違くて。」
「こいつ、やべぇ読モの七海和也じゃね?」
「す、すいませんでした~」
「チッ、クソみたいな野郎だなあいつら。」
「あの、ありがとうございます。」
「お前、さっき桃花といる時クラスの場所教えてくれた奴だよな?」
「そうですけど?」
「どうやら、お前は俺のこと知らないみたいだしちょうど良いわ、俺もその優希ってやつの事探してるから手伝え!!」
「いやです!だって桃花さんは優希の過去のトラウマで!」
「あーめんどくせぇ‥どいつもこいつも知ってる体で話しやがって。俺はな、桃花の事知ったのは高校入ってからだから中学の頃の話は何も知らねぇんだよ。とりあえず一緒に探すぞ。俺がいれば大体のやつはお前にナンパ出来ないし、あいつを見かけたから俺が聞けばみんな話してくれるぞ。わかったか、お前に拒否権はないメリットだらけで良いだろ。」
「いや、でも」
「チッ、だから拒否権はねぇ、ほら行くぞ」
「は、は、は、い、分かりました‥」
.
.
.
コンコンッ
「失礼します!すいません2-Aの今井翼です。あのこちらの文芸同好会に目つきが悪いけどちょっとオシャレな新川優希ってやつ来ませんでした?」
「来てない。」
「わかりました‥あのもし来たら、2-Aの教室に来てくださいって伝えといて貰っても‥」
「わかった。」
「お、お願いしま~す‥」
バタンッ
「行ったわよ。」
「あの、ありがとうございます。」
「ここに居れば見つからない。何があったか知らないし、興味がないけど逃げたかったら逃げていいと思うのよ。」
「そうですかね。」
「昔誰かが言っていたわ、生物で逃げて怒られるのは人間だけだってね。おかしな話よね。逃げるって事は何かしらの危機が訪れてるって事なんだから。」
「ありがとうございます。」
この言葉に救われた自分がいた。
情けないかもしれないが別に辛い時は逃げても良いんだと言う言葉に励まされた。
なあ俺はどうしたいんだ。
そう自分に問いかけた。
ー朝比奈風夏のロミオとジュリエット、早乙女萌のライブまであと1時間ー
ー続くー
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