「ギャルゲーの親友ポジに憧れた俺が、なぜかモテてしまう話。」

はっけよいのこっ太郎

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有栖桃花編

26話「signal 1」

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新川優希しんかわゆうきが小さくなってしまった有栖桃花ありすももかを助ける為に歩き出す。


よくよく考えれば、俺は有栖桃花のことはよく知らなかったのかもしれない。

「何も言うんじゃないわよ。」

ガチャッ

「おじゃまします‥」

「ここ、リビングだからそこで待ってて。」

「了解‥」

リビングはあまりにも無機質すぎて言葉が出なかった。
生活感が全くないのだ
そしてどこか寂しさを感じる。

「自分部屋でやる事あるから入ってこないでね。」

そう言って桃花は消えていった。
俺の桃花のイメージは完全無欠だった。
勝手に家族と仲良しで愛されて生きてきたと思っていたし、友達も困らない、何をやっても上手くいく、そんな弱さを知らない子だと思っていた。

「桃花が誰にでも優しいのって‥」

ガチャッ

「あんた1人で何ぶつぶつ言ってんのよ?」

「いや、ごめん!」

「なんか俺、桃花の事勘違いしてたわ。」

「だから、嫌だったのよ。」

「え?」

「優君は優しいんだよ。だから辛いの、中学の時も本当は私とも話せたはずなのにあそこで話せば私もハブにされるとか考えてたんでしょ?」

「なんでそれを‥」

「優君は昔から1人で悩んで口にしないんだよ。服の事だって私に聞いて欲しかったし、誰かが傷つかない為に自分は傷ついても良いって思ってるのが良くないよ‥本当‥」

「ごめん。」

「でも‥でも、それを分かってて甘えてる自分が本当は1番良くないって知ってた。」

「そんな事ないよ。今はきっと色んなことがあって頭ごちゃごちゃしちゃってるんだよきっと、だから今日は風呂入って寝ようぜ‥」

「うん‥」

何だか重い空気が流れてしまった。
俺から何か言える事はあるんだろうか‥

「そういえば!」

俺は桃花がお風呂に入ってる内にある人に電話をかけた。

「夜遅くにすいません。今大丈夫ですか?」

「どうしたの?新川君?」

そう、日向ひなた先輩である。

「訳はちょっと言えないんですけど、今困ってる人が居て、その人を助ける為にどうしても白雪雫しらゆきしずくさんの連絡先を聞きたいんですが知ってたりしますか?」

そうだった。すっかり忘れていたが2年の頃は風夏ふうかと日向先輩は別クラスで日向先輩は雫と同じクラスだったらしい。
日向先輩と雫が話してるのを何度か風夏は見た事があるらしい‥

「知ってるわよ?でもあの子普段連絡全く返さないタイプだから返信くるか分からないけど聞いてみる?」

「ありがとうございます。」

「何となく風夏に聞いたけど白雪さんのせいで世界がループしてたんでしょ?」

「ってより俺のせいではあるんですよね。
まあ俺が上手くいかなかったのを助けてもらったんで‥」

「そうなのね、でも彼女は‥」

ピロン!!

「え!もう白雪さんから連絡きた‥早い‥」

日向先輩が言ってた以上に早く帰ってきたのだ。

「連絡先教えても良いみたいだから送っとくね。」

「あの、色々ありがとうございます。」

「てか新川君忙しそうだけど風夏の誕生日知ってる訳?」

「いや、その、すいません知りません‥」

「彼氏になっといてそれはひどいんじゃないの??」

「教えてもらえますか?」

「7月7日よ。」

「わかりました。ありがとうございます!ちなみに翼の誕生日は12月3日なんで!」

「何でそんな事いうのよ?」

「いや、何となくです。
あの、色々ありがとうございました!また連絡します!」

今日は7月1日だ早くこの一件を終わらせたい。
そしてなんとか風夏を祝ってやるんだ。
少し長電話をしてしまったかもしれない。
もう桃花は風呂から出たはずだ。

「桃花~雫の連絡先聞いてきたぞ‥ってあれ?」

そこにはリビングで待ってくれてたのか我慢できなくてぐっすり眠っている桃花が居た。

「ごめん、待たせちゃったか。」

スヤスヤ‥

桃花の寝顔を見て、よく授業中に眠ってた桃花を思い出した。
懐かしいな、あの頃はまだ未来の事なんか一ミリもわからなかったけどひたすらに楽しかったな‥

「桃花、絶対解決しような。」

「優くん‥行かないで‥」

「寝言か?」

「‥‥」

とりあえずリビングで一緒に寝るのは良くないなと思った俺は桃花の部屋まで連れてく事にした。
今日2度目のお姫様抱っこだな‥

「ここか‥」

そこにはローマ字で”MOMOKA”と描かれたネームプレートがかけてある部屋があった。

「悪い、開けるぞ」ガチャッ

そこには思いもしない光景が広がっていた。

「マジか‥」

そこにはモデルの衣装で着たであろう服が乱雑に置かれていていた。
意外と片付けたりするのが苦手なのだろうか。

「優くん‥」

「どうした?」

「わたしずっとずっと好きだったの?」

「え?」

「‥‥。」

寝言はあんま返事しちゃいけないんだったっけか?
まあ良い寝かせてやろう。
桃花を寝かしつけた俺は雫に連絡する事にした。

「もしもし雫だよね?」

「そうだよ。」

「夜遅くにごめん」

「いいよ。」

また距離のある頃に戻ってしまった気がする。

「あの聞きたいことがあるんだけど?」

「なに?」

「雫がこの前みたいな力手に入れたのってなんかトリガーみたいなもんがあったりしたのか?」

「何でいきなり?」

「俺の友達が小さくなっちゃったんですけど、それって何か原因があるのかなって思って調べてたんですよね。
で、あのリセットが起きた時にそいつだけは記憶が残ってたんですよ。」

「なるほどね、その子とは今一緒にいるの?」

「はい。」

「分かったわ。明日2人に会いたいのだけど?」

「わかりました。言っておきます。」

こうして明日は雫と会う事になったのだ。

ー続くー
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