「ギャルゲーの親友ポジに憧れた俺が、なぜかモテてしまう話。」

はっけよいのこっ太郎

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有栖桃花編

27話「透明少女」

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新川優希しんかわゆうきが小さくなってしまった有栖桃花ありすももかを助ける為に歩き出す。

「優君、そろそろ起きなよ~」

「んん‥」

「ん?今何時?」

「6時30分だよ?」

「早すぎない??」

「私は休みだろうがこの時間に起きるの。」

「あの、今日何だんけど昨日桃花寝てたから言えなかったけど、雫《しずく》の連絡先手に入れて今日会える事になったから桃花も一緒に行こう!」

「え、私も?」

「雫が昨日電話で2人じゃないと意味がないって言ってたからさ‥」

「そ、そうなのね‥仕方ないか‥」

何だか桃花の返事に微妙な間みたいなものを感じた。

「集合は11時30分だから11時にはここ出るからな~」

「てか、私昨日記憶ないんだけど自分でベットに行ったよね?」

「ん、そうだよ?なんかあったか?」

「いや、それなら別にいいんだけど‥」

やはり昨日部屋を見てしまったのがあまり良くなかったのかもしれない。

「私、家に誰も呼んだ事ないって言ったでしょ?」

「うん。」

「私の家は昔からこうでさ、小さい時からあんまり親が居なかったのよ。それで寂しい思いもしだんだけどさ、年に一回私の誕生日だけは家族が休み取ってくれて毎年祝って貰ってたの。
それだけで嬉しいんだけどやっぱり、他の家の人の所に行けばお母さんがいて、お菓子の作り方教えて貰ったりさ、反抗期でウザイとか言いながら何だかんだで幸せそうに見えたのね、でも私にはそれが無いから何となく家に人あげるのが怖くてさ、馬鹿にされちゃうんじゃないかとか色々思っちゃってね~それに優君も思ったと思うけどこの家ってなんか広いのに何も家具とかないから無機質じゃない?、だからそう言うのがどうしても嫌でね‥」

やはり彼女が小さくなってしまった原因は家族にあるんだろうか‥
愛されたいと言う彼女の気持ちがこうさせてしまってるように思えた。

「まあ分からなくもないな‥」

「え?」

「俺もさ、嫌われたくないって気持ちが先行しすぎて周りと馴染めなかったりした事もあったしさ、近くなりすぎると優しさとかが段々と当たり前になっていってさ、こいつになら何言っても良いとかこいつは何でも言うこと聞いてくれるとかそう言う変な方向に話が進んでいったりとかさ、怖いんだよな。
自分の思い込みでさ、愛されてるとか嫌われてるとか勝手に考えちゃう事ってよくあるし。
でも、桃花はどんな風になっても桃花の良さは消えないよ、絶対。」

そうだ。
彼女の良し悪しなんて人が決める事ではないんだ。
自分で自分をやれてるかなんてのは所詮他人の判断でしかなくて最後に決めるのは自分自身だからな。

「桃花がたとえ、大きくな方が小さくなろうが、どんな風になろうが桃花だからな。」

「なにそれ、勇気づけてるつもり?」

「違うかな?」

「変なの‥でも、ありがとう。」

本当はモデルとして活躍してる桃花の事も知ってたし、本当は桃花の気持ちもわかってたのかもしれない。
それなのに自分で逃げるように蓋をしてたからこそ今は向き合ってあげたいんだ。

「よし、準備して|雫【しずく】の所に行こう。」

「うん。」

こうして俺たちは雫の所へ向かったのであった。

.
.
.

「すいません、お待たせしました。」

「私も今来た所。」

「あの‥」

「初めまして、あなたが昨日新川君が言ってた人ね、まさか小学生とは‥」

「違うんですよ!彼女は実は俺と同い年なんですけど‥」

「小さくなったって本当に小さくなってしまったのね‥」

「私、有栖桃花と言います、よろしくお願いします。」

「白雪雫《しらゆきしずく》よろしくね。」

「あの、立ち話もあれなんでカフェ行きましょうか‥」

「そうね」

俺をトラウマから救ってくれた人って割にはかなり静かで冷たい感じに桃花は少し驚いているようだった。

「優君、本当に彼女が助けてくれるんでしょうね?」

「助けてくれるかは分からないけど解決の糸口は少しは分かってくると思うんだけど‥」

正直どうなるかは分からない。
でも今頼れるのは雫だけなのだ‥

俺たちはカフェに着いた。

「とりあえず、いきなり本題に入っても良いのかしら?」

「はい!」

「有栖さんにまず一つ聞きたいことがあるの。」

「何ですか?」

「あなた、本当は小さくなった理由分かってるでしょ?」

「え?」

有栖の表情を見るからには別にこれといった変化を感じられなかった。

「私が新川君の為にリセットしてた時はハッキリとしてあげたい事が明確になってたからね。」

「で、でも私本当に分からないんです。」

「嘘ね。」

「雫、いくら何でも言い過ぎじゃ‥」

「そもそもね、新川君おかしいと思わない?」

「え?」

「話によれば、都合よく新川君の目の前に現れて、都合よく子供の姿に戻って、都合よく新川君に助けて貰ってるって。
そもそもあなたは新川君のトラウマの元なのよ、」

「で、でも!」

「でもじゃないわよ。だったら中学の内にあなたが謝れば、あなたから新川君に歩み寄れば良かったんじゃないの?、それに、高2になって今更仲良くしましょうって都合良すぎるのよ。」

「そんなの‥そんなの私だって分かってますよ!私だってあの時話しかけてれば、あの時こうすれば良かったって沢山後悔あるんですよ!」

「だったら、その後悔をこれ以上増やさないように、小さくなってしまった本当の理由を言うべきね。」

「‥‥。」

桃花は泣きそうになりながら俺たちに本当の理由を言ったのであった。

ー続くー
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