「ギャルゲーの親友ポジに憧れた俺が、なぜかモテてしまう話。」

はっけよいのこっ太郎

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夏休み編

40話「幼馴染☆ラバーズ」

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新川優希しんかわゆうき絶望する理由とは‥

夏休みも後半を迎えていた。
俺は人生に絶望してた。
前を向くって言ってたのに早速やってしまった。

そう‥宿題を全く手を付けてなかったのである。
去年も全く同じ過ちを犯したな‥

プルプルプル‥

「もしもしつばさか?」

「おう、優希、どうした?」

「もう宿題って終わらせたりした?」

「まあ、あらかた?」

「だよな‥」

「まさかお前‥」

「去年と同じく全くやってない!!」

「お前って奴は‥」

「だから、その‥」

「毎年、毎年やれって言ってるのに」

「今年も栞菜かんなと三人で集まらない?」

「まあ毎年恒例ではあるしな。」

俺らは毎年この終わらない宿題をやる会をひらいている。
翼は比較的に均等に進めてくタイプで、栞菜は最初に気合い入れて半分ぐらい終わらせて途中で飽きるタイプ、そして俺は全く手を付けないタイプなのである。
自分でもダメな事は分かっているのだが、どうしても勉強という恐怖からついつい目を背けているのである。

「じゃあ俺、栞菜に連絡入れとくわー!」

「了解。また優希の家でやるか?」

「もちろん!」

「わかったよ、俺バイト無くて空いてるをFINE送っとく!」

「ありがとう!じゃ栞菜の予定わかったら連絡する!」

「おっけ、じゃまた!」

翼はなんだかんだで毎年付き合ってくれてる優しい男なのだ。
次は栞菜に連絡しておこう。
久々に栞菜に連絡するな、あいつ元気かな‥

「もしもし、栞菜?」

「あ、優ちゃん?どうしたの?」

「あのさ、宿題って終わってる?」

「いや~それがね~前半調子良かったんだけどね~なんだかやる気が起きなくて終わってない~」

「やっぱりそうだったか‥あのさ、良かったら翼と3人で例年通り宿題をやる会開かない?」

「え?」

「え?」

なんだ、栞菜は今年はやる気ない感じだったか?

「あれ、無理しなくても良いからな‥」

「いや、逆だよ~みんな忙しそうだから今年は無しだと思ってたよ~」

そうなのか、びっくりさせやがって栞菜やつめ~

「いや、毎年付き合ってもら貰っててあれだけど、栞菜のことだから終わってないと思ってな!」

「もちろんやる!!」

「俺と翼が木曜空いてるんだけど栞菜空いてる?」

「その日で大丈夫~」

「よかった!じゃ木曜よろしく!」

「うん!」

なんだから今日の栞菜は機嫌が良かった気がするな。
なんだかんだで付き合ってくれる2人は本当に良い奴らすぎるよ本当。

.

.

.

「で、何で俺の家な訳?」

「いや、やっぱ翼の家でしょ普通?」

「私も翼の家だと思ってたよ?」

「ま、まあ毎年そうだけどさ?」

「あれ、お姉さんはもう一人暮らししてるんだっけ?」

「そうだよ、今年から大学生になったから一人暮らし始めた。」

「昔はさ、翼が宿題終わらなくて毎年みんなで集まってたよね~」

「俺はそれが嫌でちゃんと宿題するようになったけどな、で、気がついたら優希が宿題やらなくなってたんだよな‥」

「あはは、なんでだろ‥」

「私も全然だから大丈夫だよ~」

「ま、まあとりあえず終わらせようぜ!」

「俺はもう終わるけどな‥」

「流石翼!良かったら見せてもらっても‥」

「ダメに決まってんだろ‥」

俺たちは毎年こうやってくだらない会話をしながら宿題をやっていた。
ある年を除いて‥

「今日、話したい事があるんだよね。」

「優希、宿題やってからにしろよ~」

「いや、中2の頃の事なんだけど。」

この時2人ともの空気が変わったのははっきりと分かった。

「あのさ、俺ここ最近色々あってこうやってみんなでゆっくり話す機会が無かったからさ、まあ言い訳なんだけど、まず本当にごめん。
何と無く幼馴染と一緒に居るのがなんか恥ずかしくてさ、自然と2人を避けてたんだ。
まあ、分かってたとは思うんだけどさ、それを謝りたかった。
その癖に、桃花《ももか》とトラブってからは2人は何事も無かったかの様に振る舞ってくれてさ、俺って情けないなって思ったよ本当。
それでも2人とも側に居てくれてさ、まあ中2の事だけじゃないよ、俺がトラウマ抱えてるのを萌《もえ》とか風夏《ふうか》に翼が相談してくれて、そのおかげで2人とも手伝ってくれたしさ、栞菜も気にしてないっていうか、興味ないみたいな感じで俺が気にしてる事を察して気にしなくて良いよって思ってくれるのが嬉しくてさ、甘えてたよ。
本当に2人ともありがとう。」

「何だよ今更‥」

「優ちゃん‥」

「なんか話しすぎたな俺‥」

「俺も栞菜も優希の事好きで一緒に居るんだよ。」

「そうだよ!もう気にしなくていいのに!」

「ありがとう、ごめん俺‥ちょっとトイレ」

2人の優しさが本当に嬉しかったんだ。
だから俺は今笑えてるんだし

「なあ栞菜、本当は今年、宿題終わらせてるでしょ?」

「え?」

「毎年、俺らと集まるためにわざと終わらせてないんだろ~知ってんだよ?」

「えへへ、バレてたか~」

「なあ栞菜も優希に告白しても良いんだぜ?」

「な、なななんの話かにゃ~??」

「気づいてないの優希だけだから‥」

「え??ほんと?」

「アニメみたいに幼馴染だからって負けヒロイン演じなくてもいいんだぜ?」

「だって、優ちゃんは‥」

「栞菜優しいのはいいけど、自分を殺してまでも優希の気持ちを考えなくてもいいと思うぞ?」

「そ、そっか‥」

この後は俺らは(翼を除いて)死に物狂いで宿題を進めた。

「お、終わった~!!」

「やったね優ちゃん!」

「そうだな!やっぱ毎年何とかなるもんだわ!」

「優希も栞菜も来年はちゃんと終わらせとけよ‥」

「その方がみんなで遊びに行けるもんね‥」

「確かにな‥」

「ま、2人とも良くやったわ!じゃ次はわかってるよな?」

「コンビニアイス!!」

そう。何故か俺らは決まって宿題を終わらせてみんなでコンビニでアイスを食って解散するという流れが完成していたのだ。

「なんか嬉しいな私‥」

「何でよ?」

「だって、最近2人とも忙しそうだし‥」

「なあ栞菜、この前も言ったろ?俺たち幼馴染はいつまでもこうして仲良くやっていけるんだよ!!な?翼?」

「お前がよく言うぜ!」

「だ!何だよ~だから今日謝ったのに~」

幼馴染は良いもんだ。
幼稚園の頃から一緒にいてこんな俺にも付き合ってくれて、側に居てくれた。
各々違う大学に違う会社に違う人生を歩んで行くんだろうと思うけど、俺はいつまでもコイツらと笑ってたい。

「優ちゃん早く行こ~」

「ビリの奴がアイス奢りな!」

「おい、待て!!」

こんな日々が続くといいな。

ー続くー
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