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夏休み編
39話「humanoid sound system」
しおりを挟む新川優希久しぶりの人からの連絡が!
俺は楽しかった久しぶりのお婆ちゃん家から地元に帰ってきていた。
その帰り道FINEが届いた。
(優希、久しぶりです。萌です。)
(久しぶり!なんかあった?)
(今って少し電話できますか?)
プルプル‥
「あ、優希‥久しぶりです。」
「おう、萌なんかあったか?」
「いや、あのですね、朝比奈《あさひな》先輩と‥」
「あぁ、その事か‥知ってたのか?」
「いやあ、その、風の噂で!」
「それがどうかしたか?」
「いや、それは何でいうか残念でしたねとしか言えないんですけど、別れたって事は別に優希と2人で遊びに行っても良いって事ですよね?」
「いや、別に付き合ってても良いんじゃないのか?」
「はぁ、そんなんだから振られるんですよ!」
「え、そうなのか‥」
「まあそれはいいとして、来週の土曜ってあいてますか?」
「よくないよ!って土曜か‥空いてるぞ?」
「あの良かったら、土曜お兄ちゃんのライブ行きません?」
「それってhumanoid sound system《通称hss》のか?」
「はい!お兄ちゃんに優希の事話したら土曜のチケット2枚くれて‥」
「絶対行くよ!今回のツアーチケットほぼソールドでしょ?俺行きたかったんだよなぁ~」
「本当ですか?、そしたらお兄ちゃんに連絡しときますね!」
「ありがとうございます‥萌様‥お兄様‥」
「楽しみにしててね?」
「何で萌が言うんだ?」
「何でもだよ!」
こうして俺は萌のお兄さんってより大好きなバンドのライブを見に聞けることになった。
ーあの日の約束をいまだに果たせないままでいた
それでも僕たちは本当の想いを伝える。
好きな曲の歌詞だ。
約束って曖昧なものに対してここまで明確に的確にそれでいて淡く脆く歌えるのがこのバンドの素晴らしさなのだ。
楽しみだ、早く当日にならないかな‥
.
.
.
当日を迎えた。
今日行くライブハウスは二千人近く入るでかい箱なのだが速攻チケットが売り切れるほど今勢いがあるバンドなのだが、正直音楽はよく聞くけどライブは見に行ったことがないので緊張もする‥
「お待たせしました!」
「おう!」
少し髪が短くなった萌が現れた。
「髪切ったんだ?」
「はい!私、誰かさんのせいで失恋したんで‥」
「そ、そうだよね~」
「冗談ですよ!ライブまで時間あるんでちょっとご飯でも行きませんか?」
「うん、行こう!」
ライブ前に少しだけ2人で遊ぶことになった。
「ここら辺懐かしいですね!」
そう、今日のライブハウスは2人で遊びに出かけた場所から近くであった。
「あの日は色んな初めてがあって楽しかったなぁ~」
「懐かしいね、あの後誰かとプリクラ撮れた?」
「はい!実は文化祭後に桃花さんと仲良くなりまして、実は何回か遊びに行ってるんですよね!」
「そうなんだ、良かったな!」
「はい!すごく優しいんですよね桃花さん。
私の事妹みたいって可愛がってくれてついつい、甘えてしまっちゃうんです。失恋した時も励ましてくれて~」
知らぬ間に桃花と萌が仲良しになっていたとはな。
ある意味俺のおかげなのな?
いや、俺のせいではあるのか‥
「後、文化祭のライブ見てくれた子とか、ミスコン見てくれた子とか私の事分かってくれて仲良くしてくれて、友達増えたんですよ!」
「そうなのか!良かったな!」
「全部、優希のおかげだなって‥」
「そんな事ないよ!」
「いや、本当なんですよ?優希のおかげで私前を向く事ができました。」
「初めてここら辺で遊んだ時とは大違いだな!」
「はい。でも変わってない事もありますよ?」
「え?」
「まだ私先輩の事好きです。
桃花さんと違って諦めてませんから!」
「そ、そうなのか‥」
「本気ですからね!何てったって私の人生を変えてくれた人ですからね優希は!」
純粋な眼差しに何で答えれば良いか分からなくなった。
でも、俺も前を向けたのは萌のおかげでもあるんだよな‥
「ありがとう、でも‥」
「知ってますよ。まだ朝比奈先輩のこと好きなんですよね?それも知ってます。でも私が好きな気持ちを殺さなくても良いですよね?」
「ま、まあそうだけど」
「だから答えないでください。」
「わかった‥」
彼女は昔の俺に似てると言ったがあれは嘘だ。
俺よりも全然強くて俺よりもどこまでも真っ直ぐだ、それが彼女の本当の姿なんだろうな‥
その後はご飯を食べたりしてる間にあっという間にライブの時間になった。
.
.
.
「俺たちがhumanoid sound system、最低で、最高の1日にしよう。よろしく。」
「うおおおおおおおお」
hssのライブは言うまでも無く最高だった。
激しくも儚いそんな彼らの音楽に俺は何度も救われたのであった。
そういえば、盛り上がってるうちにフロア内で萌と迷子になってしまったな?
大丈夫だろうか?
「次やる曲なんだけど、今日だけのスペシャルゲスト呼んでいいですか?」
「おおー!!」
「だれー?」
「多分SNSやってる人は見た事あると思うけど文化祭で弾き語りでバズった女子高生知ってる人??」
「俺見たぞー」
「知ってる~」
「実はそれ俺の妹なんだ、それじゃ萌、よろしく」
そこにははぐれたと思っていた萌の姿があった。
どうやら文化祭で歌った動画が投稿されバズっているらしい。
「彼女がバズった曲のカバーを今日は俺らと萌でやるんでよろしく。」
「初めまして、萌です。文化祭で聴いてくれなかったバカに向けて一曲、Apendでrain‥。」
何とhssと萌が一緒に文化祭でやった曲のカバーを歌い始めた。
ー君との距離はもうどれくらいなんだろう。
私だけ時が止まったまま、もう1人じゃいられないの。
さっきまでの空気とは違い激しさの中に咲く一輪の花のように萌が煌めいていた。
ー愛とか恋とか置いておいてとりあえず君のそばに居させて。
今日までの事を一気に思い出してしまい、俺は号泣してしまった。
結局萌は分からないながらにもそばにいてくれてたのは事実だしそんな中でどんな気持ちで俺にこの歌を届けようとしたのかバカでもわかる。
でも、俺はその気持ちを無碍にしてしまっていたんだな。
ー朝5時思い出す儚さよりも心地の良い記憶、それと引き換えに歩き出すよ。またね。
俺は結局どうしたいんだろうか。
この前の事も何もかも全部中途半端で。
でも、この曲を聴いて確実に思った事がある
そんな俺でも前に進み続けているから今の俺があるんだと、
もし、あの時、雫に全てを委ねていたら変わっていたのかもしれない。
でも、それをしなかった自分がいるから少しずつでも成長してるんだと思ってるし。
だから答えはまだわからないけどこれからも進み続けようと思えた。
「ありがとうございました!萌でした。
この後も楽しんでください!」
その後も名曲続きのまま最後の一曲になった。
「次で、ラスト一曲だけど、最後にちょっとだけ喋らせて欲しい。
俺ら実は解散しようって話が何度も出てたんだよね、音楽ってさ楽しいだけじゃないし、自分の表現したものが評価されないのって辛くてさ、もしかしたら今後また解散したいって、辛くて辞めたいって思う日がくるかもしれないけど、それでもこれだけは言えるよ。
死にものぐるいでこのバンド続けててよかったわ。次はもっともっとやばい景色で会おう。
ありがとうございましたhumanoid sound system でした。」
.
.
.
「優希お疲れ様!良いライブだったね!」
「良いライブだったね!じゃないよ!!」
「どうでした?サプライズ?」
「どうってもうめちゃくちゃ最高だったよ!!」
「優希泣いてたでしょ?」
「別に泣いてねぇし!」
「またまた~」
「久しぶり、」
「お兄さん!今日のライブやばかったです。何でいうか一曲目から目が離せないっていうか、俺音楽好きなんですけど実はライブ初めて来てそれで、その!」
「分かったよ!マジで見に来てくれてありがとう、いつでも待ってるよ!」
「はい!」
「で、悪いんだけど萌のこと家まで送ってくれないかな?」
「もちろんです!任せてください!」
この前会った時とは全然違う感じだったなお兄さん。
でも、来て良かったな。
「萌、帰ろうか!」
「はい!」
.
.
.
「優希、今日は本当にありがとうございました。」
「何だよ改まって!」
「いや、その色々、文化祭も見に来てくれなくて悲しかったんですけどこうやって聴いてもらえて良かったです、あの‥良かったらまた‥」
「ん?」
「また‥遊んでくれますか?」
「もちろん!」
彼女は本当に強い。
俺よりも何倍も
そんな彼女の色々な一面を見れて幸せな気持ちになれたよ。
また少し前に進めた気がする。
ありがとう。萌。
ー続くー
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