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夏休み編
38話「サマータイムツインズ漆」
しおりを挟む新川優希
思い出す。過去の記憶‥
「ゆうき、ゆい、かおりって書いてあるな、自分のやつ開けるか。」
恥ずかしさからなのか、各々静かに開けていた。
「あ!!」
「何があったの?かおり?」
「私はこれだ‥」
「うわ懐かしい‥」
当時流行っていたアニメのキーホルダーだ。
「私これ無くしたと思ってたよ~後、手紙だ。」
「あ、そういえば、みんな10年後の自分への手紙をいれたんだ!」
え、マジか‥
10年前の俺よ変な事書いてるなよ‥
「10年ごのうちへ、元気がいちばんだよ!かおりと仲よくしててね。かおりより。だってさ~」
「え~こんな時から私の事大事に思ってくれてたんだね~ありがとう~」
「なんつーか流石小2ってぐらい適当な事書いてんな‥これしか入ってないし!」
「じゃあ、次私が見るね‥」
これって書いてある手紙発表する流れきてるよな??
「私のは沢山消しゴムが入ってる~私当時お宝だと思ってたな~」
果物や乗り物、動物などの消しゴムが大量に入っていた。
「こんな物大事にしてたんだな~で、手紙‥もあった!」
「10年後の私へ
いまだに絵をかいてますか?
かおり、ゆうきくん、まいちゃんとなかよくしてますか?がんばってねゆいより。
私‥こんなこと書いてたんだ。確かに絵とか未だに好きだけど、やっぱこの頃は友達とか家族を大事にしたいってのがかおりと一緒だ~」
「やっぱ私達双子だな‥」
「次、優希君だよ!」
「お、おう‥」
「どうしたんだよ?まさか、手紙読むのが恥ずかしいのか?」
「べ、別に!」
「気になるな~優希君の」
正直めちゃくちゃ怖い。
何を当時の俺は思っていたんだろうか
「中身は‥うわ!懐かしい!当時好きだった恐竜のキーホルダーだ、後、ビー玉とかお弾きとかだ‥」
「ビー玉とかってキラキラしてて子供の頃凄い欲しかったよね~」
「なんつーか小学生男子って感じだな!」
「手紙も入ってたわ‥」
「何で嫌そうなの?」
「早く読んで!!」
「10ねんごのおれへ
かぞくと友だちと仲良くしろよ。
ゆうきより‥しか書いてなかったわ。」
「当時の優希君って確かにそんな感じだったかも!」
「なんだか拍子抜けだな!」
「でも、みんなでタイムカプセル掘れてよかった。こうやって皆んなでまた遊べたの本当に嬉しかったな~」
「そうだね、10年経ってもゆいもかおりも元気そうで良かったよ、マジで‥」
「花火もしたいしそろそろ行こっか!」
「美来《みく》ちゃんも待ってるよね!」
「そうだな~」
俺は嘘をついた。
10年後の手紙には意外な事が書いてあったのだ。
.
.
.
「じゃあ明日で優希君も美来ちゃん一家も帰っちゃうし、今年の最後の思い出に花火しよ~」
「お~!」
「お兄ちゃん、一緒にしよ!!」
「優希君すっかりお父さんより好かれてるんじゃない?」
「ゆ、優希君!娘はやらんぞ~!」
「何でそうなるんですか~」
何だかすごく名残惜しいな。
久々に中学高校の事を知らない人の所に行って自分って存在を一度消せた気がする。
かなりリフレッシュになった
「ゆい、これやろうぜ!!」
「かおり、そんな一気にやっなら無くなっちゃうよ~」
「あぁ‥楽しかったなぁ~」
「おい、優希、何もうセンチメンタルになってるんだよ~」
「そうだよ!優希君!まだまだ花火はこれからだよ!」
3日間本当に濃かったな‥
ゆいには本当に驚かされっぱなしだったな
こうして俺たちは花火を堪能した。
「ねぇねぇ、優希!」
「ん?なんだよ!」
「声でかいなぁ」ヒソヒソ
「なんだよ」ヒソヒソ
「あんた、嘘ついたでしょ?」
「え?」
「タイムカプセルの手紙の事」
「いや?」
「じゃあ私に見せてよ?」
「そ、それは‥」
「やっぱ嘘ついてたんだ、ゆいは気がついてないけどあんた嘘付くの下手だよね?」
「バレてたか‥」
「で、何書いてあった訳?」
「‥と結婚してますか?って」
「え?」
「だから!」
そう。
本当は、「10年後の俺へ、大好きなゆいちゃんと結婚してますか?」って書いてあった。
当時の俺はゆいに恋をしてたらしい。
こんな事も忘れてたとは思わなかった。
恥ずかしくて本人の前では絶対に言えなかったのだ。
「優希‥もしかしてまだゆいの事‥」
「今はないよ絶対‥」
「ふ~ん」
その時の俺はどうやらすごく照れてたらしく自分でも想像できないような顔をしていたらしい‥
「かおり~線香花火しよ!」
「いいよ!」
「ねぇ、優希、あんたにどんな事があったか私には全部分かってあげられないけど、ゆいは本当に良い子だし、あんたも無理に今の恋にだけとかってもやめてみても良いんじゃない?
それに、私はゆいと優希お似合いだと思うよ。」
「そっか‥なんつーかありがとう。」
「ゆい、今行く~」
「‥‥。」
明日は15時頃の電車に乗って帰らなきゃ行けないのにすっげぇ帰りたくねぇ‥
俺はどうすれば良いんだ、マジで。
何より‥楽しかったな‥
.
.
.
なんだかんだで最終日の朝を迎えた。
「おはよう婆ちゃん!」
「おはよう、優希くん、起きたかい。」
「うん!毎日朝ごはんとかありがとね‥」
「私こそ、ありがとう。」
「なんで婆ちゃんがありがとうなんだよ~」
「私ね、久々にここきてくれて嬉しかったのよ。」
「え?」
「だってあんなに楽しそうだったに全然こっち来てくれなくなったじゃない?私それが辛かったんだよ~」
そう、小学生の新川優希という男は最低であった。何てったって桃花《ももか》もゆいの事も好きだったんだからな。
「俺さ、夏休み前に色々あってさ、でもここ来て本当に良かった。来年は家族で来るよ。」
「そうかい‥みんなによろしくね」
「うん!」
「お兄ちゃん‥」
「どうしたんだよ美来?」
そこにはめちゃくちゃ泣いてる美来が居た。
「なんかあったか?」
「もう、お兄ちゃんに会えないの嫌だ‥」
あっ、そうかこの感じだ。
当時の俺は何となく桃花が引っ越したり夏にしか会えないゆいとかに別れる事自体が辛かったんだな‥
てか、そうだよな俺が何でこんなに別れが嫌いで誰かをまっすぐに想えないのか
分かってるんだ、でも気にしないようにしてた。
小2の夏休みの後お母さんは亡くなったんだ。
突然の病気で本当に辛かった。
そこからお父さんは1人で育ててくれたんだ。
だから夏休みも出かけられなかったし、でも舞もずっと無理させてたし
俺はずっと別れる事から逃げてたんだ。
「美来ちゃん!来年も絶対会えるからね!」
「う、うん‥」
「じゃあお母さん、私達そろそろ行くから。
優希君、美来のことありがとう!」
「いえいえ!」
桃花の事もゆいの事も全部別れるのが嫌で記憶から消して逃げたんだな俺は‥
その後は帰る時間まで特に何をやった訳でもない。
ただ逃げる様にこの街から居なくなろうとした
理由はないけど多分このまま居たら俺はこの街から帰りたくなくなると思った。
「じゃあ婆ちゃん、俺、そろそろ行くね。」
「うん。また来るんだよ、優希君‥」
「わかった!じゃあまた!」
ゆいとかおりには何も言わないで帰ろうだって会った俺‥
「まもなく電車が到着致します~」
「よし、帰るか‥」
「待って!優希君!」
「ゆい‥なんで‥」
「海の家のお手伝い早上がりしてきた。
なんで、逃げる様に居なくなるの!」
「だってさ、俺このままここに居たら‥」
「居たら?」
「多分帰れなくなる。」
「それでいいじゃん!」
「ダメなんだそれじゃ、ごめんなもう電車来るから‥また来るよ」
「私やっぱ好きだよ!!初めて会った時からもう17歳だけどずっとずっと好きなんだもん、だから諦めないよ私。」
「俺さ‥」
その時ゆいは祭りの夜と同じまた俺にキスをしてきたのだった。
「あのさ、私本気で好きだから、今度優希君の街にも行くね!またね!」ニコッ
「‥‥‥。」
こうして俺の海の見える街の話は幕を閉じた。
俺はまだまだ子供だし人と向き合うのって本当に難しいけど、でもやっぱ色んな人がモノクロの俺の世界に色をつけてくれた。
やっぱ俺諦められないよ‥
ーサマータイムツインズ閉幕ー
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