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白雪雫
42話「スノーホワイト1」
しおりを挟む新川優希夏休み最終日
ついに楽しかった夏休みも最後の日を迎えた。
翼、栞菜のおかげで宿題も終わったし今日ぐらいはのんびり過ごすかな。
ピロン!
ん?誰かからFINEが届いたな。
(いつお礼をしてくれるのかしら?)
白雪雫からのFINEだった。
彼女に桃花の件でお世話になったお礼をするのをすっかり忘れていた。
(すいません。色々あってすっかり忘れてました。)
(もう、夏休みも終わろうとしているけど?)
まずい‥どうやら彼女は怒ってるらしい‥
(あの、今日とかどうでしょうか?)
(空いてるわよ。)
(ご飯行きませんか?)
(わかった。)
良かった、彼女には色々話したい事があったからちょうど良かった、急いで準備しよう。
.
.
.
「おはようございます!」
「おはよう。」
「あの、お礼のこと遅れてすいません‥」
「いいのよ、新川君に会えれば。」
「え?」
普段聞き慣れてない事を言ってきたので俺は少しビックリしてしまった。
「じゃあ早速行きましょう!」
「うん。」
俺たちは近くのカフェでご飯を食べることにした。
「あの、雫、本当にありがとう。」
「気にしないで。」
「雫のおかげで、桃花も無事に元に戻れました、まあその後はやっぱりお別れして話すことも無くなったんですけど‥」
「良かった。」
「本当良かったですよ、一時はどうなる事かと思いましたよ‥あと俺、リセットしてくれてた事も本当に助けられたなって‥」
「気にしなくて良いのよ、怒ってない?」
「怒るわけないじゃないですか!むしろ俺のせいで何回も囚われてるって考えたら申し訳なくて‥」
「新川君って本当に優しいわね。」
「全然そんな事ないですよ!」
「私さあの時本当はどうすれば良いか分からなくて…」
「あの時?」
「うん、中学の頃だよ。」
「あの時も俺凄い助けてもらいましたよ!」
「そっか、なら…良かった。」
静かに微笑む雫はいつもの暗い表情とは違いとても優しい笑顔だった。
「私やっぱり好きだよ。」
「え?」
「好きだよ新川君。」
「好きってどういう…」
「嘘つきでごめんなさい。」
「えっ…」
文化祭ぶりにキスをされた。
そう。それは普通のキスではなく…
・
・
・
俺の名前は新川優希、裏原高校に通う高校二年生だ
これと言った趣味はないが翼の恋を実らせる為に日々モテるための勉強をしている
ってやっぱまたリセットした。
でも今回は完全に記憶があるんだな
彼女の力には不確定なところがあるんだろうか…
とりあえず、雫に会いに行こう。
「すいません、ここのクラスに白雪雫って子がいると思うんですが…」
「いるよ、呼んでくるね。」
良かったクラスは同じらしい。
「新川君?お久しぶりだね。」
説明しにくいが何か様子がおかしい気がした。
「雫、ちょっと話があるんだけど…」
「良いけど授業があるから放課後でも良いかしら?」
「わ、分かりました…」
やっぱりなんか様子がおかしい気がする…
・
・
・
「おはよう、優希。」
「おう!翼」
「今日は遅かったな!」
「いや、俺にも色々あってな…」
「高二になったばっかなのにお前も忙しいんだんな!」
「そう言う訳じゃないんだけどよ~」
待ってろみんな、今すぐ元の世界に戻してやるからな…
・
・
・
そして放課後にんなった。
「優ちゃん~帰ろ~」
「優希帰るぞ~」
「ごめん、俺ちょっと用事あるから先帰ってて~」
「分かったよ!」
よし、雫に会いに行って終わりにしよう。
・
・
・
「お~い、雫!」
「あ、新川君。」
「お久しぶりですね、ちょっと話があって…」
「いいよ!なんかこう話すの久しぶりだね!」
「先輩、あの、リセットするのやめませんか?」
「え?」
「え?」
「あ、いや、だからリセットするのを…」
「ごめんなさい、そのリセットってのがわからなくて…」
これは予想外だった、まさか雫から能力が消えて普通の女の子になってしまったのか…
「実はその…」
そうして俺は雫の力で何度もリセットしてることや本来の世界線がある事を話した…
「だから、その、俺とキスしてほしいんです…」
「その、ごめんなさい、私そう言う事したことなくて、お付き合いしても無い人とはしたくないかな…」
「そ、そうですよね…」
「ごめんなさい。」
無理やりして元の世界に戻れなかったら俺は雫を傷つけてしまう事になるし、俺はそんなことをする人でも無かった。
「雫!良かったらこれからも話しかけて良いかな?」
「それはもちろんだよ!」
そうして俺たちはお別れをした。
本当に普通の雫に戻っていた、まるで昔の彼女のように…
・
・
・
これは俺が中二の頃、トラウマを抱えた後の話…
俺は桃花と話さなくなってから、気を遣ってか翼が話しかけてくれるようになっていた。
それで俺はよく翼の部活の帰りを待つため図書室で暇を潰していた。
担当は毎日雫がやっていた。
最初はいつも居るなぐらいしか思っていなかったが、気が付いた時には俺から話しかけていたと思う。
「あの、それってどんな本読んでるんですか?」
「え?」
「あ、あの、急に話しかけてすいません。」
「この本はね…」
少しづつ話していくうちに俺たちは仲良くなった。
本当に他愛もない話だったと思う
でももしその時、名前を聞いていればなんて今でも思う。
ー続くー
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