「ギャルゲーの親友ポジに憧れた俺が、なぜかモテてしまう話。」

はっけよいのこっ太郎

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クリスマス編

52話「クリスマス・イブ」

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俺はそこで3本のバラを渡した。
普通のバラではなくドライフラワーなのである。
普通ドライフラワーはあまりこう言う場面では良く無いと思うがなぜこれを選んだと言うと、
億恋の中で1番有名なシーンなのである。

ゆうきが漫画内でかおるのことを忘れてしまうのだが、いつまでも枯れないバラのドライフラワーを渡していつまでも一緒にいたいと告白した時に渡した事を思い出す最高に最高なシーンなのだ。

「これ億恋のシーンと同じ‥」

「俺、これを本当は七夕の時渡したかったんですけど、これずっと部屋に飾ってあって見るたびやっぱり風夏ふうかの事を忘れたくなくて、てか俺の事もずっと忘れてほしくなくて、2人でいつまでも居たいです。
今まで遠回りをしながらも沢山の思い出ができたしこれからも沢山思い出を作りたい。」

「あ、ありがとう‥」

風夏は泣き出してしまった。
傷つけた事もあったし多分それは消えないけどそれでも

「愛してくれてありがとう
今まで以上に幸せになろうね。
てか、話変わるけど七夕の時さ、動物園行ったじゃん?」

「そうだね!」

「あの時さ、短冊書いたじゃん」

そういえばあの時2人で短冊を書いたな‥

「短冊にはずっとずっと優希君が幸せでありますようにと書いたんだ。
その時はどうする事も出来なかったし私といない方が幸せになれると思ったけど、もう優希君の事は誰にも渡したく無くなっちゃった。」

今まで色々あったけどそれを乗り越えた気がした。
俺達のこの不器用で遠回りした恋は確実に前に進んでいた。

「寂しいですけどそろそろ帰りますか‥」

「あのさ、私のお家来ない?」

「へ?」

頭の中が真っ白になった。

「いやね、実は今日出かけるのが彼氏って事が両親にバレちゃってさ‥で、そしたら家に呼んだらどう?って言われてさ、嫌なら全然良いんだけど?」

「全然嫌じゃないよ!」

嫌ではないが正直心の準備が全く出来ていなかった。

「じゃ、家来てもらっても良い?」

「う、うん‥」

こうして俺は風夏の家に向かう事になった。

.

.

.

「ここだよ。」

「え、」

前にお別れの話をした時は家の近くまでしかこなかったから、あまりの大きさにビックリした。

正直、付き合う事自体が初めてだし、その親に会うなんて思っても無かった。
今にも心臓がはち切れそうだ…

「おじゃまします。」

「あなたが優希君ね!いらっしゃい!」

思ったよりも明るいお母さんだった、流石はゆいやかおりの血筋である。

「かなりイケメンじゃない~お父さんも居るから案内するね~!」

「ありがとうございます」

「ちょっと、お母さん~」

なんだか恥ずかしそうにする風夏であった。

「お父さん来たわよ~」

「あ、あの風夏さんとお付き合いさせて貰ってます、新川優希と言います。今日はお招きいただきありがとうございます。」

「まあ、かしこまらずにね。」

にこやかではあったが、目の奥は娘をやらんと言わんばかりの目をしていた。

「あの、聞いてると思うんですけど、実は風夏さんのお母さんのお兄さんとうちの父親が友達でして…」

「え、新川ってたける君の息子なの?」

「あれ、聞いてませんでしたか?」

風夏の方を見るとどうやら完全に話してないという顔をしていた。

「実は小さい頃に朝比奈建設の創立祭に父親が呼ばれて…」

「懐かしいな、あの時の写真もうちに飾ってあるよ。」

「え、あの写真に写ってる男の子って優希君だったの?」

「俺も実は昨日父親に教えてもらって…」

「そうかそうか、まあお母さんのことは残念だったけど、こんなに立派になるとはね…」

「はい‥でも、今はもうかなり前向きになれました。」

「良かった‥でも私びっくりした、まさか小さい時から私達出会ってたんだね。」

「まあ今日はゆっくりして行ってくれたまえ。」

「はい!」

「とりあえず、定番の風夏の子供の頃のアルバム鑑賞会といきますか~!」

「お母さん~」

そうして俺は0歳から今になるまでの色々な風夏を見させてもらった。
ずっと可愛い、1000000000000000年に一度の天使と言っても過言ではない…
そしてなんだかんだで見せてくれる風夏も可愛かった。

「じゃ、ちょっと風夏は私とやる事があるからちょっと待っててくれる?」

「は、はい。」

何かあるのだろうか。

「優希君、では私と少し男の話でもしようか。」

「はい!」

怖い、怖すぎる…風夏、早く戻って来てくれ~
去っていく風夏の背中が恋しかった。

「優希君、ちょっといいかね。」

「はい。」

「君は知ってるか知らないが、風夏もね自慢じゃないが顔が良いからって傷つけられたり過去に嫌な経験を結構しているんだよね。
だからあまり人を好きになる事が無かったんだよ。
でもね、優希君だからこそ、心を開いたんだと思ったよ。
正直、どんな人が来るか私も不安でね、でも本当に君で良かったと思う。」

「ありがとうございます。」

その言葉がただただ嬉しかった。

「いつも娘をありがとう。少しわがままな所もあるがそこも可愛いんだよ。
優希君、大人になったら一緒にお酒でも飲もう。」

「ぜひ、その時が来るのを楽しみにしてます!」

知ってはいたが、風夏のお父さんは本当に優しく男らしい人であった。
思春期の娘ともこんなにも仲良くできる父親はなかなか居ないだろう…

「優希君、お待たせ!」

「え?」

「私と風夏で作りました~ケーキです~!」

風夏が持って来たのは手作りのケーキだった。

「毎年ね、私が作ってるんだけど、今年は珍しく私も作りたいなんていうもんだから、私ビックリしちゃったのよ~」

「あ、あの優希君実は誕生日も祝いたくて…」

「あ、ありがとうございます。」

涙が出てしまった。
隠せたかは分からないが、昔に母親が生きてた頃に作ってくれた手作りケーキを思い出していた。
懐かしい気持ち、決して嫌じゃなくて幸せな思い出。

「じゃ、みんなで食べましょ~」

こうして初めての朝比奈家の訪問は終わった。
最初の緊張感はすっかりなく、ただただ幸せな気持ちでいっぱいだった。

「あの、今日は本当にありがとうございました。」

「優希君、お父さんによろしく言っといてくれ。」

「健さんによろしくね~この前兄さんがたまにはこっちにも顔出してほしいってぼやいてたよ~」

「はい、伝えときます。今度はしっかり準備しておじゃまさせてもらいます。」

「じゃあ私、最後に少しお話してくる。いこっか!優希君」

「うん!」







「今日は一日ありがとね。」

「俺の方こそありがとう。本当に幸せな1日だったよ。」

「まさか優希君と小さい頃に会ってたとは思わなかったよ~」

「いや、俺も本当に知らなくて運命かと思っちゃいました。」

「思ったんじゃなくて運命なんだよ絶対、それにね、ゆうきくんって事は知らなかったけど、私は覚えてる事あるよ?」

「え?」

「その日はさ、一応社長の娘って事でドレス着てさ私すごく子供ながらに緊張しててさ、くる人くる人みんなに挨拶しなきゃいけなくてさ、
私なんか凄い疲れちゃってさ、でも、そこに優希君が来てさ、すごく可愛いね、お姫様みたいって言ってくれたのが嬉しくて、私にとっては王子様だった。
それがまさか優希君だったとはな~」

「俺そんな事言ってたんですね、恥ずかしい…
でも今でもお姫様みたいで可愛いって思ってますよ…な~んて…ハハ…」

自分でもきもい事言ったなって思ったけど、思った以上に風夏が照れてたし良かったか…

「優希君、本当に大好きだよ。」

「俺も大好きです。あの…」

チュッ

「え?」

何言おうか忘れたけどいいか…
風夏の優しい口づけが冬の寒さを溶かしてくれた。

「優希君、来年も再来年もずっと誕生日もクリスマスも一緒にいようね。約束。」

「はい。絶対だよ。」

2人の永遠のようで一瞬の時が続きますように。


Fin……








ってこのまま、終われる訳ない!
俺が目指すのはしゅじんこう優希しんゆうポジションだからな。
お前、好きなんだろ、日向ひなた先輩の事
今度は俺が助ける番だからな…


クリスマス編終幕!

ー続くー
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