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親友ポジ編
54話「STAY GOLD」
しおりを挟む中は宇宙や化石などの展示がされている、昔ながらの博物館であった。
「そういえば、こはるは前もこういう博物館を一緒に行ったって言ってたな~」
「デートっていうより2人の趣味を各々で楽しんでるって感じなんですかね‥」
「今井君もこういうの好きなの?」
「そうなんだよね、昔からちょっと冷めてるっていうかクールな感じなんだけど、本当は、プラネタリウムとか、恐竜とか昔から好きなんだよね、でもさ、翼《つばさ》は優しいからみんながここ行こうって言ったら絶対自分の好きな所言わないんだよね。」
「そうなんだ、そう言われるとあの2人お似合いね。」
「2人と微妙だけど優しい関係を見守ろう。」
「いや、我慢できない!!!」
どう見てもこのいい感じの雰囲気を壊す事は出来ないように見えるんですけどね‥
なんて思っているんだけど????
しかし、風夏はある事を提案した。
そのある事とは俺ら2人の仲の良さを遠回しに見せつける事であった。
「とりあえず、尾行は終わり!2人の前にラブラブ❤︎な感じで現れよう!!」
「やっほ~こはる!群然だね!」
「え!風夏に新川君??」
「ど、どうも‥」
「優希、お前‥」
「いやさ、私が何となくプラネタリウム見たいって話してて、で、ここ行こって話になったらさ、2人がたまたま見えて!」
あまりにも無謀に思える作戦であったが2人の前にわざとらしく登場したのであった。
「2人は、付き合う前からこんな感じの距離感なの??」
意外にも日向先輩が付き合う前から2人で遊ぶ時はそんな距離感だったのか聞いてきた。
「わ、私たちはね、もう優希君にべっとりよ、もうなんていうか、スライム的な?」
実際俺らはそこまで付き合う前には2人きりで会う事も少なかったが風夏はもうラブラブだったと嘘をつく。
としても、スライムって何だよ‥
「そ、そうなのね、何だか恥ずかしい所を見られちゃったわね。」
「そうですね。」
「2人とも別に好きな物が一緒なんだから良いんじゃない??」
「そうだよ翼、そんなこと言ってると大好きなフライなんとかのドンが居なくなっちゃうぞ?」
「プテラノドンの事か?」
「そうそう、それそれ!」
「フフッお前は本当‥」
そう言って楽しそうに笑っている翼はさっきみたいな緊張してる感じじゃなくなっていた。
「お前なら砕けないからな!」
俺なりのアドバイスをしてあげたいが口下手だから日向先輩に告ってまえ!ぐらいしか言えないのでやめた。
「じゃあ、私と優希君はこの辺で~またね、2人とも!あ、一次試験お疲れ様!!」
「ついでに言うことがそれなのね‥」
そう言って日向先輩も心なしか笑顔になっていた。
「風夏、尾行はどうするの?」
「もう、あの2人なら大丈夫だよ。
私たちが出来るのはここまでだね。」
そうして俺たちは2人の尾行をやめる事にした。
.
.
.
「おはよ、優希。」
「おう!翼」
「あのさ‥」
数日後、この前のことで相談があると翼から言われた。
「この前、プラネタリウムっての嘘だろ?」
「あ、バレてたか‥
俺は行かなくて良いと思ったんだけど‥」
「ありがとな‥」
「え?」
帰ってきた言葉は意外だった。
「俺、凄い緊張しててさ、なんだろうな優希に好きって言われてさらに意識しちゃってたのかもな‥
でも、あの時2人が来てくれてなんか緊張ほぐれてよ。」
「な、なら良かったよ、で、結局どうするんだ?」
「俺さ、人を好きになるのが初めてだからどうすれば良いか分からないんだよな。
だからこの前はあんな事言ったけど力貸してほしい。」
また意外にも素直に頼ってきたのだった。
「やっぱり告白するなら二次試験が終わってからか?」
「そのつもりでいるよ。」
「合格も2人で喜びたいもんな。」
「告白はどうするつもりなの?」
「そこが悩んでるんだよな。」
「まあ普通にプラネタリウム見て、こっそり手を繋いでとかで‥」
宇宙やUMAが好きな日向先輩と2人でプラネタリウムを見に行った後に告白するというありきたりな作戦を言ってしまった。
「ありきたりすぎるか‥」
「いや、俺多分どうすれば良いか分からなくなるから、それぐらいありきたりがいいな。」
「その方が絶対気持ち伝わるよ。
翼なら大丈夫だよ!」
翼は普段とは違いとても素直に話を聞いた。
これが俺にとっての本当の
“高橋翼彼女を作る為に沢山のフラグを作ってあげようプロジェクト”
なのかもな‥
「俺さ、これもまだ言ってないんだけど、こはるさんと同じ大学に行きたいんだ。
初めてなんだよね、こんな風に人を想ったのがさ、だからこそ‥」
「諦めたくないって事か。
なんか俺さ、昔から翼が冷めてる感じがかっこいいと想ってたんだよ。」
「え?」
「でもさ、燃えてる翼はもっとかっこいいわ。」
どっちに転がるかは分からないけど翼の力になってあげたいな‥
.
.
.
「今井君、何だって?」
「日向先輩に告白するみたいだよ。
でも、この事は‥」
「こはるに言う訳ないじゃん!
成功すると良いなきっと2人とも少し似てて不器用なんだけど、不器用なりになんとかしようと思ってるんだろうしね!」
「うん、あとは俺らは見届ける事しか出来ないけど、日向先輩の試験も翼の告白も上手くいってほしいな。」
「そうだね!」
俺は神じゃないし、プレイヤーじゃないから操作する事も出来ないけど、今まで翼がやってきた事も日向先輩がやってきた事も全部無駄じゃないと信じてるよ俺は‥
ー続くー
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