「ギャルゲーの親友ポジに憧れた俺が、なぜかモテてしまう話。」

親友ポジ編

55話「STARRY NIGHT」

今井翼いまいつばさの回想‥

俺は今井翼。昔から良くも悪くも冷めてるところがあった。
友達も少なくはないし相手に好意を持たれる事もあったがそれに対して嬉しいがだからと言って付き合いたいとかそういう感情は特には湧かなかった。

それとは逆に昔から友達の新川優希しんかわゆうきは喜怒哀楽が誰よりも分かりやすかった。

本当は妹の新川舞しんかわまいからの好意も分かっているが告白されない以上は自分からは何もする気はないし、そもそも舞ちゃん自身も付き合いたいって気持ちがある訳じゃない気もする。

でも俺はそんな感情の出せる優希に憧れていた。

もっと素直に気持ちを表現出来たらなとたまに思う。

中学になってから思春期なのか優希から離れていったの少し寂しかったのは本人にももう1人の幼馴染、小山田栞菜おやまだかんなにも言ってない。

小学生の頃母親が亡くなり悲しそうにしてた優希を出来るだけ笑わせてあげたいと思っていたけど、中学であまり話せなくなったのを少し後悔もしている。

でも、その時に俺にもそんな寂しいとか笑わせたいって気持ちがあるんだと気付かされた。

でも、そんな離れていった優希がまた俺と仲良くなったのは有栖ありすとの一件だ。
完全に落ち込んだ優希をなんとか元気にしてあげようとたくさん声をかけてあげた。
初めて有栖の事を聞いた時に俺は多分怒ったんだと思う。
あいつの気持ちを無碍にしたのが許せなかった。

その時思った。

結局自分は冷めてる訳じゃなく、子供の頃から斜に構えてるだけの人間だった事に気付かされた。
斜に構えて、周りの様子を伺ってみんなの行動が円滑になるならそれで良いと思ってた。

つい最近までは。

俺は高校に入ったらなにか部活を始めようと思っていた。
子供の頃から未だに好きなプラネタリウムや天文を学びたくて天文学部を見に行った。

そう。実はそこでこはると会っていたんだ。

俺はそこで初めて一目惚れをしたんだと思う。
いや、一目惚れした。

彼女の美しくも笑った顔が本当に素敵だった。

少し話しただけでも彼女の知識量に圧倒されたが、こんな俺斜に構えてた俺が下心みたいな気持ちで部活が続く訳ないし、なにより、こはるに失礼だと思い入部を諦めた。

そして、俺が凄く意外だったのは高2の頃。
優希が朝比奈あさひな先輩と、こはると仲良くなっていた事だ。

正直ビックリした。
分かってはいたが、彼女は俺の事を覚えていなかった。

初めましての言葉に突っ掛かりを感じた。

最初は凄い嬉しかったが、気持ちを隠していた。

多分こはるは俺とどこか似てると思った。
冷静で斜に構え、別に異性に興味も無さそうなので変に近づく事を恐れた。

でも俺と圧倒的に違う所があった。
それは素直に好きな物を好きと言える事だった。
俺の前では天文学やUFOとかUMAとか色んな事を話してくれた事だ。

しかし、どう見ても優希と朝比奈先輩が両想いなのに何故か優希が俺と朝比奈をくっつけようとしてるのがわかった。

あの時何か企んでるのは分かってた。

朝比奈先輩には何度か会うたびに優希の話をして、告白のときには優希を救ってくれるよう話した。

正直、烏滸おこがましいと思ったが朝比奈先輩も萌もえちゃんも栞菜も手伝ってくれた。

でも、本当は後ろめたい気持ちもあった。
なぜならみんなの好意を使っているからだ。
俺は最低な奴だなって思ってた。
そのせいで優希やみんなに酷な選択をさせている事も分かっていたからである。

その事をこはふに相談した時に

「最後は各々が決める事じゃない？
好きになるのも、なられるのも、自分で決めた道なんだからさ、あなたが全部を機にする必要はないわよ。」

と彼女なりの励ましをしてくれた。

その冷たくも冷静な回答に俺は救われた。
やっぱ全部を含めて”日向ひなたこはる”という人間の事が好きなんだとわかった。

今まで俺は他人には熱くなれたが、自分の事はどっか上の空だったんだなって思った。
今までずっと自分を犠牲にして諦めてきたけど

今回は絶対に諦めたくない

だから俺はこはると同じ大学にも行きたいしこの好きって気持ちを絶対伝えるって決めた。

気がついたら俺は喜怒哀楽全部持ってたんだ。

自分の本当の気持ちに気づいてやっぱ俺、優希の事かっこいいって思ったよ。

ありがとう。

ー続くー