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第79話『一つの結末』(レナ視点)②
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そして、三日後。
何とか説得を繰り返して、シーラちゃんの同意を得た私はエルフの魔法で準備されてゆく結婚式の会場を見ながら、何とか平静を保っていた。
「レナ。顔。顔!」
「へ?」
「ニヤニヤしないの」
「し、してないよ?」
私は顔を触りながら、キリっとした顔を作ろうとしたが、それがどういう風になれば良いのか分からず、意味もなく顔を触るばかりであった。
「今のレナを見たらどんな恋も消えるでしょうね」
「えぇえええ! ヤダー! どうすれば良いの!? ヤスミン!」
「さぁ?」
「ちょっと! もっと親身になってよ! 人生最大のピンチなんだよ!?」
「それは大変ね」
私は適当な言葉を投げるヤスミンの肩を掴んで揺らすが、何か解決策をくれるという事は無いのだった。
しかし、私は諦めずヤスミンへ訴えかける。
と、そんな風にヤスミンとじゃれていた私であったが、エルフが話しかけてきた事で、遊ぶのを止め、エルフの方へと向き直る。
「人間」
「何? エルフ」
「私にはセリアという名前があるんだ! 人間!」
「ふぅん。私にもレナって名前があるけどね。エルフ」
「だからなんだ!」
「相手を敬おうっていう気持ちもない人を名前で呼ぶと思う?」
「……レナ」
「何ですか? セリアさん」
「お前は何故シーラを求める。お前は人間なのだから人間と結ばれれば良いだろう。シーラを選ぶ理由がない」
「愛しているから。それ以上の理由がありますか?」
「シーラはエルフだぞ!」
「関係ないですよ。愛があれば」
「愛だと!?」
「そうです」
エルフのセリアさんは、奇妙な物を見る様な目で私を見てから、首を傾げ、腕を組み、悩む。
そして、しばらくそうして考えていたのだが、少ししてから口を開いた。
何とか説得を繰り返して、シーラちゃんの同意を得た私はエルフの魔法で準備されてゆく結婚式の会場を見ながら、何とか平静を保っていた。
「レナ。顔。顔!」
「へ?」
「ニヤニヤしないの」
「し、してないよ?」
私は顔を触りながら、キリっとした顔を作ろうとしたが、それがどういう風になれば良いのか分からず、意味もなく顔を触るばかりであった。
「今のレナを見たらどんな恋も消えるでしょうね」
「えぇえええ! ヤダー! どうすれば良いの!? ヤスミン!」
「さぁ?」
「ちょっと! もっと親身になってよ! 人生最大のピンチなんだよ!?」
「それは大変ね」
私は適当な言葉を投げるヤスミンの肩を掴んで揺らすが、何か解決策をくれるという事は無いのだった。
しかし、私は諦めずヤスミンへ訴えかける。
と、そんな風にヤスミンとじゃれていた私であったが、エルフが話しかけてきた事で、遊ぶのを止め、エルフの方へと向き直る。
「人間」
「何? エルフ」
「私にはセリアという名前があるんだ! 人間!」
「ふぅん。私にもレナって名前があるけどね。エルフ」
「だからなんだ!」
「相手を敬おうっていう気持ちもない人を名前で呼ぶと思う?」
「……レナ」
「何ですか? セリアさん」
「お前は何故シーラを求める。お前は人間なのだから人間と結ばれれば良いだろう。シーラを選ぶ理由がない」
「愛しているから。それ以上の理由がありますか?」
「シーラはエルフだぞ!」
「関係ないですよ。愛があれば」
「愛だと!?」
「そうです」
エルフのセリアさんは、奇妙な物を見る様な目で私を見てから、首を傾げ、腕を組み、悩む。
そして、しばらくそうして考えていたのだが、少ししてから口を開いた。
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