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第79話『一つの結末』(レナ視点)③
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「それは奇妙な話だ」
「何がですか」
「人間はエルフと子を成す事が出来ないだろう」
「だから何ですか」
「いや、子を作れなければ愛を持つ意味など無いだろう」
「関係ないですよ! 子供が欲しいから愛するんじゃない! 愛してるから子供が欲しくなるんですよ。考え方が逆!」
「そうなのか」
「そうです! まぁ、子供は欲しいですが、出来ないのなら出来ないで諦めますよ。孤児院に子供も居ますからね。シーラちゃんと子供と一緒に過ごす事は出来ます」
「……」
「セリアさん。私はエルフの事は何も知りません。でもシーラちゃんの事はよく知ってます」
「そうか」
「幸せにします。確実にね」
「分かった……任せるぞ。とは言えないが、意思は理解した。今はとりあえず納得しよう。今回の式にも、お前にもな」
「それはどうも」
「だが! 忘れるな! あくまでとりあえず! だ。完全に許した訳じゃない! 認めた訳でもない!!」
「はぁ」
「何かあればすぐにでもシーラを里に戻すからな!! 良いな!? ……フン!」
セリアさんは怒りをその身に宿しながら、私に背を向けて去って行こうとした。
しかし、私はその背を捕まえて、言葉を掛ける。
「待って下さい!」
「ん? なんだ」
「あ、いえ。一つお聞きしたいんですが、エルフの人たち皆さん怪我を負ってたと思うんですけど」
「そんな物。体に魔力を通せば簡単に治る。まぁ無論時間は掛かるがな」
「それ!!」
「ん?」
「それ、シーラちゃんにも教えてあげて下さい。シーラちゃん、ちょっとした怪我も治せないし、この前なんて酷い怪我をしてたんですから」
「なんだと!!? それは本当か!? レナ!!」
「え、えぇ。こう胸を剣で貫かれて」
「どうやって助かったんだ!!」
「いや。私聖女なので……人の怪我とか病気とか癒せるんですよ」
「そうか。分かった。ならば教えてくるとしよう。それと……だな。お前の事に関しては皆に伝えておく。少しは批判も減るだろう」
「え? あ、それはどうも」
私は言葉ではなんか良い感じの事を言いつつ、やっぱり睨みつけながら歩いていくエルフを見て、心の中でメンドクサ! と呟くのだった。
そして、さっきの話は何だったのかとばかりに、嫌味を言っていくエルフは何人も居て、しかし嫌味は言うけれど準備だけは進めてくれるのであった。
「随分と綺麗な服だねぇ」
「そうね。何かエルフの子が結婚する時に着る正装みたい」
「って事は、認めてくれた……?」
「どうかな」
私は未だこっちを見てブツブツ言ってるエルフを見ながら苦笑する。
まぁ、シーラちゃんは末っ子の可愛い子だからしょうがないんだろうなぁ。
しかし、どれだけ文句を言おうが、結婚さえしてしまえばこっちのモンよ!
「……」
そして、私は奇跡を目の当たりにした。
「……はわ」
「レナちゃん?」
私は私と同じ様な服を着て現れたシーラちゃんに呼吸の仕方を忘れた。
「エルフの正装って和服みたいなんですね……っ!? レナちゃん!?」
「っ! ごめん。シーラちゃん。もう、可愛すぎて、止まらない」
「……もう。しょうがないですねぇ」
シーラちゃんは笑いながら私の背を撫でて、それから少しの間そうしていた。
そして、私は落ち着いてからシーラちゃんから少し離れて目線を合わせる。
「シーラちゃん。良い?」
「……はい」
私はシーラちゃんと少しの間見つめ合ってから、誓いの口づけをかわすのだった。
「何がですか」
「人間はエルフと子を成す事が出来ないだろう」
「だから何ですか」
「いや、子を作れなければ愛を持つ意味など無いだろう」
「関係ないですよ! 子供が欲しいから愛するんじゃない! 愛してるから子供が欲しくなるんですよ。考え方が逆!」
「そうなのか」
「そうです! まぁ、子供は欲しいですが、出来ないのなら出来ないで諦めますよ。孤児院に子供も居ますからね。シーラちゃんと子供と一緒に過ごす事は出来ます」
「……」
「セリアさん。私はエルフの事は何も知りません。でもシーラちゃんの事はよく知ってます」
「そうか」
「幸せにします。確実にね」
「分かった……任せるぞ。とは言えないが、意思は理解した。今はとりあえず納得しよう。今回の式にも、お前にもな」
「それはどうも」
「だが! 忘れるな! あくまでとりあえず! だ。完全に許した訳じゃない! 認めた訳でもない!!」
「はぁ」
「何かあればすぐにでもシーラを里に戻すからな!! 良いな!? ……フン!」
セリアさんは怒りをその身に宿しながら、私に背を向けて去って行こうとした。
しかし、私はその背を捕まえて、言葉を掛ける。
「待って下さい!」
「ん? なんだ」
「あ、いえ。一つお聞きしたいんですが、エルフの人たち皆さん怪我を負ってたと思うんですけど」
「そんな物。体に魔力を通せば簡単に治る。まぁ無論時間は掛かるがな」
「それ!!」
「ん?」
「それ、シーラちゃんにも教えてあげて下さい。シーラちゃん、ちょっとした怪我も治せないし、この前なんて酷い怪我をしてたんですから」
「なんだと!!? それは本当か!? レナ!!」
「え、えぇ。こう胸を剣で貫かれて」
「どうやって助かったんだ!!」
「いや。私聖女なので……人の怪我とか病気とか癒せるんですよ」
「そうか。分かった。ならば教えてくるとしよう。それと……だな。お前の事に関しては皆に伝えておく。少しは批判も減るだろう」
「え? あ、それはどうも」
私は言葉ではなんか良い感じの事を言いつつ、やっぱり睨みつけながら歩いていくエルフを見て、心の中でメンドクサ! と呟くのだった。
そして、さっきの話は何だったのかとばかりに、嫌味を言っていくエルフは何人も居て、しかし嫌味は言うけれど準備だけは進めてくれるのであった。
「随分と綺麗な服だねぇ」
「そうね。何かエルフの子が結婚する時に着る正装みたい」
「って事は、認めてくれた……?」
「どうかな」
私は未だこっちを見てブツブツ言ってるエルフを見ながら苦笑する。
まぁ、シーラちゃんは末っ子の可愛い子だからしょうがないんだろうなぁ。
しかし、どれだけ文句を言おうが、結婚さえしてしまえばこっちのモンよ!
「……」
そして、私は奇跡を目の当たりにした。
「……はわ」
「レナちゃん?」
私は私と同じ様な服を着て現れたシーラちゃんに呼吸の仕方を忘れた。
「エルフの正装って和服みたいなんですね……っ!? レナちゃん!?」
「っ! ごめん。シーラちゃん。もう、可愛すぎて、止まらない」
「……もう。しょうがないですねぇ」
シーラちゃんは笑いながら私の背を撫でて、それから少しの間そうしていた。
そして、私は落ち着いてからシーラちゃんから少し離れて目線を合わせる。
「シーラちゃん。良い?」
「……はい」
私はシーラちゃんと少しの間見つめ合ってから、誓いの口づけをかわすのだった。
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