レオとてぃてぃなハル

凛渚(Rio)

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 私には、幼馴染がいる。

名前はレオ。少し調子に乗りやすい所があるが、真っ直ぐで、どこか憎めない野球少年だ。

そんな彼と私は絶賛仲違い中。

「…ごめん」

学校の廊下ですれ違いざま、肩がぶつかりそうになって私は短く呟く。レオは何か言いたげに眉を寄せたが、私は視線を合わせず、通り過ぎた。


私はどうやら、"一匹狼"と思われてるらしく
クラスの連中は、私の事を「何を考えてるかよくわからないスカした奴だ」と言っている。

私にとって、そんなことはどうだって良い。私のこの「異常性」を誰にも邪魔されなければ、それで良いんだ。


ーー


夕陽の差し込む誰もいない教室。
外からは威勢の良い運動部のかけ声がする。

私の席から2つ隣にあるレオの机。
引き出しを除いて見てみると、明日の授業で使う教科書と空になったペットボトルが押し込んであった。


思わず顔がニヤける。


ペットボトルを引き抜き、キャップを外して
本体を教室のゴミ箱に捨てる。

キャップを愛おしく撫でながらポケットに入れ
指先で弄ぶ。

廊下の窓からグラウンドにを見下ろすと、汗を拭いながら真剣な顔で部活をしてるレオを見つけた。


(…ごめん。こんな事してて、、ごめん…)


脳内で懺悔をしながらも、ポケットに入れた手は
彼の生きた証を確かめる様に動き続ける。

そのまま昇降口に向かうと、下駄箱で2人の女子と遭遇した。彼女達は私を見ると、パタパタと足音を響かせ恥ずかしそうに走って行った。


(……なんだろ?)


彼女達を横目で追いながら下駄箱に近づいた。私のスペースの右隣、名前がわからない男子のスペースに、可愛らしい封筒が入っているのを見つけた。

「あぁ…」と、感情の乗ってない声を漏らす。


私のスペースの左上にそっと手を伸ばし、扉を開けて
中にある上履きを1つ手に取る。

ゴムと、男子特有のスパイシーな匂い。所々破れかけ薄汚れた色が、グラウンドで汗を流していた彼とシンクロして、愛おしさが込み上げてくる。

砂つぶを払い、ポケットに手を入れる。
彼の生きた証と、手に残っているザラザラを混ぜながら、もう片方の手で上履きを元の位置に戻す。


(良かった…レオは今日も、ちゃんとここにいる…)


ポケットの中の感触に安心感を覚え、口の端が少し上を向くのがわかる。

靴を履き替え、軽い足取りで家路を急いだ。



ーー


自分の部屋に入り、内側から鍵をかける。
ベッドへ鞄を放り投げ、クローゼットの奥から何重もの鎖と、南京錠を取り付けた木箱を取り出した。

震える指で1つ1つ、丁寧に鍵を開けて行く。

手に収まる大きさの南京錠が、一つずつ増えてく度に
私の中からじわじわと熱が湧いてくる。

鎖を外し箱を開けると、これまで集めて来たレオの生きた証が整然と並んでいる。


消しゴムの切れ端。
カッターで削られ、木目が丸見えの鉛筆。
折れて捨てられていた、キャラクターものの定規。
中学の頃の生徒手帳。
汗で剥がれ落ちた絆創膏。


そこに、ポケットから取り出したペットボトルのキャップを並べ、じっくり観賞する。


"他人がこれを見たらどう思うだろうか"

時折そんな事も考えるが、誰かに見られる位なら死んだ方がマシと思える。

それくらい私にとって大切な大切な宝物。


部屋が薄暗くなり、先程から結構な時間が経っている事に気づく。そっと箱を閉じ、中の宝物が動かない様注意しながら鎖を巻き付ける。


ガチン

ガチン


錠を閉める度に部屋に響く音が、自分だけの空間が完成されていく合図に聞こえて心地いい。


ガチン


最後の1つを締め終えた時、私の小さな世界は静寂に包まれる。

この箱がある限り、私はレオの側にいる。
レオは私の側にいる。

例えあの、小さい背中とふわふわな髪がレオを笑顔にさせるとしても、私の正気は保てる。




そう思っていた

この時はまでは。。

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