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雪原に眠る白銀
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ガタガタと無機質な音を立てて走る馬車の中で、アデリーンは膝の上で固く拳を握りしめていた。
黄金の国ルミナリスを追い出されてから、数日が経過した。
窓のない荷馬車の中は、日に日に温度を下げ、今では吐き出す息が真っ白に染まっている。
豪華だったロココドレスは薄汚れ、幾重にも重なっていたレースは馬車の床に擦れて無残に破れていた。だが、アデリーンは一度も涙を流さなかった。
(泣いてはいけない。泣いたら、本当に私は『欠陥品』になってしまう)
ベルグラード公爵家の娘として、最後まで気高く。それが、自分を突き放した兄たちへの、せめてもの意地だった。 やがて、馬車が急停車した。荒々しく扉が開け放たれ、冷たい風が刃物のようにアデリーンの頬を撫でる。
「おい、着いたぞ。降りろ」
近衛兵の男が、投げ捨てるように言った。
外は、見渡す限りの銀世界だった。空は灰色に沈み、絶え間なく雪が降り注いでいる。ここが、黄金の国の対極に位置する、氷晶の公国ノースガルとの国境――「死の雪原」と呼ばれる場所だ。
アデリーンが震える足で地面に降り立つと、兵士は彼女の足元に、次男シルヴェスターが「ガラクタ」と呼んで放り投げた古びた鞄を放り出した。
「ここから先は勝手に行け。黄金の国に、お前の居場所はもうない」
兵士はそれだけ言い残すと、逃げるように馬車を走らせ、ルミナリスの方角へと去っていった。
静寂が、世界を支配する。 吹き付ける雪に、アデリーンの意識が遠のきかけたその時だった。
(……温かい?)
ふと、足元の鞄から柔らかな光が漏れていることに気づいた。 震える指先で鞄を開けると、そこには古びた布に包まれた「外套」が入っていた。それは、ルミナリスでは見たこともないほど厚手で、裏地には最高級の魔獣の毛皮がこれでもかと敷き詰められている。
『無能のデータなど不要だ。ゴミと一緒にさっさと消えろ』
シルヴェスターの冷たい声が脳裏に蘇る。だが、この外套は「ゴミ」などでは断じてない。極寒の地でも体温を奪われないよう、何重もの防寒魔法が精緻に編み込まれた、魔導師としての至高の逸品だ。
アデリーンは必死にその外套を纏った。途端に、芯まで冷え切っていた体が熱を取り戻していく。
(お兄様……。あなたは、私にこれを……?)
混乱する頭で、アデリーンは雪原を一歩、また一歩と進み始めた。
どこへ行けばいいのかもわからない。けれど、進まなければ死ぬ。 その時だった。
キィィィィン……。
耳の奥を刺すような、高い、けれど悲痛な「音」が聞こえた。 魔力を持たないアデリーンに、魔法の声は聞こえないはずだ。だが、その音は彼女の胸の奥にある「何か」に直接触れてきた。 導かれるように雪をかき分け、大きな岩陰を覗き込む。 そこには、雪に埋もれ、今にも消え入りそうな小さな光の塊があった。
「……仔狼?」
それは、掌に乗るほど小さな、真っ白な毛玉のような生き物だった。
だが、その背には小さな翼の痕跡があり、閉じた瞼からはダイヤモンドダストのような光の粒が溢れている。
伝説に聞く『聖獣』。
人間を拒み、神の領域に住まうとされる高潔な存在。その幼体が、どうしてこんなところで凍えているのか。
仔狼は、苦しげに細い息を吐き出していた。その体は、聖獣自身の強大すぎる力に耐えきれず、内側から崩壊しかけているように見えた。
「かわいそうに……苦しいのね」
アデリーンは咄嗟に、肌身離さず持っていた銀の扇子を広げた。 鑑定水晶を黒く染め、神官たちが「呪いだ」と騒ぎ立てた、あの忌々しい力。 アデリーンは無意識に、その力を扇子の先端に集めた。
「静かに、おやすみなさい。あなたの脈動を、私が整えてあげる」
アデリーンが扇子をゆったりと振る。 ルミナリスの社交界で、淑女の嗜みとして教え込まれた優雅な仕草。だが、今の彼女が行っているのは、ダンスの誘いなどではなかった。
乱れ狂う聖獣の鼓動に、自らの呼吸を合わせる。 扇子から、目に見えない銀色のさざ波が広がった。
黒の沈黙――。 それは、周囲の魔力を奪い去る呪いなどではない。
荒ぶる力を鎮め、世界の音色を調和させるための『沈黙(静寂)』。
聖獣の乱れた波長を、アデリーンの扇子が優しく包み込み、正しいリズムへと書き換えていく。
「くぅ……ん……」
仔狼が、ゆっくりと目を開けた。 その宝石のような青い瞳が、アデリーンを見つめる。聖獣はアデリーンの手に鼻先を寄せると、甘えるように喉を鳴らした。 同時に、アデリーンの周囲の雪が、まるで意思を持っているかのように割れ、道を作った。
「な……んだ、これは」
背後から、地響きのような低い声が響いた。 アデリーンが驚いて振り返ると、そこには一隊の騎兵を引き連れた、黒い軍装の男が立っていた。 肩には巨大な黒狼の毛皮。腰には重厚な剣。 吹雪の中でも微塵も揺らがぬその威容。そして、凍った湖のように冷徹で、けれど圧倒的な力強さを秘めたアイスブルーの瞳。
ノースガル公国を統治する、氷の公爵。 ゼノス・ノースガルその人であった。
ゼノスは馬を降りると、雪を蹴立ててアデリーンへと歩み寄った。
彼の視線は、アデリーンの腕の中で幸せそうに眠る仔狼と、彼女が持つ銀の扇子に注がれる。
「死の雪原で、衰弱した聖獣を呼び覚ましたか。……それも、この呪われた土地の『嵐』を鎮めながら」
ゼノスは、アデリーンの前に立つと、その鋭い視線で彼女を射抜いた。 アデリーンは恐怖に震えながらも、背筋を伸ばし、公爵を真っ向から見つめ返した。
「……黄金の国の紋章を付けた外套を羽織りながら、なぜそのような目で私を見る」
「私は……ベルグラード公爵家の、アデリーンと申します。ルミナリスを追放され、ここへ参りました」
ゼノスの眉が、わずかに動いた。
「追放……? あの愚か者共は、この娘を捨てたというのか」
ゼノスはふっと自嘲気味に笑うと、アデリーンの前に大きな手を差し出した。
その手は、手袋をしていなかった。黄金の国の男たちのような繊細さはないが、岩のように無骨で、確かな熱を持った手。
「面白い。聖獣が選んだ『調律師』が、我が領地に迷い込むとは」
「調律師……?」
「お前が今したことだ。……アデリーン。我が城へ来い。お前を捨てた者たちが、地の底まで後悔するような未来を、私が用意してやろう」
ゼノスは有無を言わせぬ力強さで、アデリーンの腰を引き寄せ、自身の馬へと抱え上げた。 冷徹だと言われていた男の胸板は、驚くほど温かかった。 アデリーンは腕の中の仔狼を抱きしめ、初めて、自分の中に小さな希望が灯るのを感じた。
遠く、南の空を見上げる。 そこには、自分を捨てた「黄金の国」がある。 けれど、アデリーンの瞳に宿っていたのは、絶望ではなく、静かな決意の光だった。
黄金の国ルミナリスを追い出されてから、数日が経過した。
窓のない荷馬車の中は、日に日に温度を下げ、今では吐き出す息が真っ白に染まっている。
豪華だったロココドレスは薄汚れ、幾重にも重なっていたレースは馬車の床に擦れて無残に破れていた。だが、アデリーンは一度も涙を流さなかった。
(泣いてはいけない。泣いたら、本当に私は『欠陥品』になってしまう)
ベルグラード公爵家の娘として、最後まで気高く。それが、自分を突き放した兄たちへの、せめてもの意地だった。 やがて、馬車が急停車した。荒々しく扉が開け放たれ、冷たい風が刃物のようにアデリーンの頬を撫でる。
「おい、着いたぞ。降りろ」
近衛兵の男が、投げ捨てるように言った。
外は、見渡す限りの銀世界だった。空は灰色に沈み、絶え間なく雪が降り注いでいる。ここが、黄金の国の対極に位置する、氷晶の公国ノースガルとの国境――「死の雪原」と呼ばれる場所だ。
アデリーンが震える足で地面に降り立つと、兵士は彼女の足元に、次男シルヴェスターが「ガラクタ」と呼んで放り投げた古びた鞄を放り出した。
「ここから先は勝手に行け。黄金の国に、お前の居場所はもうない」
兵士はそれだけ言い残すと、逃げるように馬車を走らせ、ルミナリスの方角へと去っていった。
静寂が、世界を支配する。 吹き付ける雪に、アデリーンの意識が遠のきかけたその時だった。
(……温かい?)
ふと、足元の鞄から柔らかな光が漏れていることに気づいた。 震える指先で鞄を開けると、そこには古びた布に包まれた「外套」が入っていた。それは、ルミナリスでは見たこともないほど厚手で、裏地には最高級の魔獣の毛皮がこれでもかと敷き詰められている。
『無能のデータなど不要だ。ゴミと一緒にさっさと消えろ』
シルヴェスターの冷たい声が脳裏に蘇る。だが、この外套は「ゴミ」などでは断じてない。極寒の地でも体温を奪われないよう、何重もの防寒魔法が精緻に編み込まれた、魔導師としての至高の逸品だ。
アデリーンは必死にその外套を纏った。途端に、芯まで冷え切っていた体が熱を取り戻していく。
(お兄様……。あなたは、私にこれを……?)
混乱する頭で、アデリーンは雪原を一歩、また一歩と進み始めた。
どこへ行けばいいのかもわからない。けれど、進まなければ死ぬ。 その時だった。
キィィィィン……。
耳の奥を刺すような、高い、けれど悲痛な「音」が聞こえた。 魔力を持たないアデリーンに、魔法の声は聞こえないはずだ。だが、その音は彼女の胸の奥にある「何か」に直接触れてきた。 導かれるように雪をかき分け、大きな岩陰を覗き込む。 そこには、雪に埋もれ、今にも消え入りそうな小さな光の塊があった。
「……仔狼?」
それは、掌に乗るほど小さな、真っ白な毛玉のような生き物だった。
だが、その背には小さな翼の痕跡があり、閉じた瞼からはダイヤモンドダストのような光の粒が溢れている。
伝説に聞く『聖獣』。
人間を拒み、神の領域に住まうとされる高潔な存在。その幼体が、どうしてこんなところで凍えているのか。
仔狼は、苦しげに細い息を吐き出していた。その体は、聖獣自身の強大すぎる力に耐えきれず、内側から崩壊しかけているように見えた。
「かわいそうに……苦しいのね」
アデリーンは咄嗟に、肌身離さず持っていた銀の扇子を広げた。 鑑定水晶を黒く染め、神官たちが「呪いだ」と騒ぎ立てた、あの忌々しい力。 アデリーンは無意識に、その力を扇子の先端に集めた。
「静かに、おやすみなさい。あなたの脈動を、私が整えてあげる」
アデリーンが扇子をゆったりと振る。 ルミナリスの社交界で、淑女の嗜みとして教え込まれた優雅な仕草。だが、今の彼女が行っているのは、ダンスの誘いなどではなかった。
乱れ狂う聖獣の鼓動に、自らの呼吸を合わせる。 扇子から、目に見えない銀色のさざ波が広がった。
黒の沈黙――。 それは、周囲の魔力を奪い去る呪いなどではない。
荒ぶる力を鎮め、世界の音色を調和させるための『沈黙(静寂)』。
聖獣の乱れた波長を、アデリーンの扇子が優しく包み込み、正しいリズムへと書き換えていく。
「くぅ……ん……」
仔狼が、ゆっくりと目を開けた。 その宝石のような青い瞳が、アデリーンを見つめる。聖獣はアデリーンの手に鼻先を寄せると、甘えるように喉を鳴らした。 同時に、アデリーンの周囲の雪が、まるで意思を持っているかのように割れ、道を作った。
「な……んだ、これは」
背後から、地響きのような低い声が響いた。 アデリーンが驚いて振り返ると、そこには一隊の騎兵を引き連れた、黒い軍装の男が立っていた。 肩には巨大な黒狼の毛皮。腰には重厚な剣。 吹雪の中でも微塵も揺らがぬその威容。そして、凍った湖のように冷徹で、けれど圧倒的な力強さを秘めたアイスブルーの瞳。
ノースガル公国を統治する、氷の公爵。 ゼノス・ノースガルその人であった。
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彼の視線は、アデリーンの腕の中で幸せそうに眠る仔狼と、彼女が持つ銀の扇子に注がれる。
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