the Dool and the Dool

名もなき萌えの探求者

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「襲った?」

 思わず聞き返した俺に、サンディが頷く。

「そうだよ。てっきりマスターを狙ったのかと思ったけど、はっきりと僕に向かってきた。おまけに、僕しか聞こえなかったみたいだけど、ドールは壊すって。魔力の塊から聞こえたんだ」
「ドールを壊すですって?」

 珍しくはっきりと眉を寄せた表情のグレイシアが「なんてことを」と続ける。

「その魔力の塊の主はもう特定できているのかしら」
「いいや。というか、信じられないと思うし僕も正直どうなのって思ってるからそれを前提にして聞いて欲しいんだけど」

 イーサンが首を振りながら言う。

「多分あれ、聖女の魔力」
「「「は?」」」」

 俺とグレイシアとヤンの声が重なった。

「聖女の宮って、初代魔術師であるミヤ様のご遺体を祀ってるんだ。あ、ユウイチくんこれ国家機密だから内緒だよ?」
「う、え?あ、ええと、はい」

 国家機密をさらっとバラすなよ、困ってんだろ、と困惑したユウイチの顔を見ながら思うが、曜日の魔術師になれば遅かれ早かれ知る事実ということもあって、つっこむのはやめた。

「ええと、あの、でも」
「なあに?」
「その、ミヤ様?は、もう亡くなって長いんですよね…?」
「そうだね。もう半ば伝説みたいな感じになるくらい、ながーい時が立ってるよ」
「なのに、魔力が意思を持って、誰かを襲う、んです、か?」

 ユウイチは初心者向けの魔術指南書を読んだところだ。そこにはこう書かれている。

【死後、魔術師が有する魔力はゆっくりと世界へと戻ってゆく】

 もちろん其れが通常だ。だが、聖女は違う。

「聖女の魔力はね、ずっとご遺体に残っているのよ」

 答えたのはグレイシア。

「それがなぜなのかは、わかっていないのよねぇ。死ぬ前に何か魔法を使ったのではないか、というのが有力な説ではあるけれど、使用された魔法というのも解明されていないし」
「聖女の持っていた杖ちゃんも同様だよ。杖というのは基本汎用性の高いものだ。もちろん僕がするように、杖ちゃんを作る人間は使用者に合わせて調整はするけれど、他人が全く使えないなんてことはない」

 ヤンが眉を寄せて冷めた紅茶を一口飲んで続ける。

「聖女の杖ちゃんは、他者を拒絶する。どんなに優れた魔術師が使おうとしても、魔力を通すこともできないし、解析しようとしたら反発される。…使用者を選ぶという意味では、マンディも似たようなもんだろうけど」

 全員の視線がマンディに寄せられる。

「マンディは、何か知ってる?」

 おそるおそる、と尋ねたユウイチにマンディは少し考えてから、首を横に振る。

「俺がわかるのは、俺がずっとマスターを待ってたってことくらい」
「そっか…」

 とりあえず、と全員がいったんふぅ、と息を吐いた。
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