22 / 25
21
しおりを挟む
「ドールを壊せと言ってきたことを考えると、改めてその塊を確認するまでは聖女の宮にドールを連れていくわけにはいかねぇな」
「そうねぇ」
俺とグレイシアがそう呟いた瞬間、ドールたちが一斉に反発する。
「でも、マスターをあんな危ない場所に一人で行かせるなんてやだよ!」
「マスター、ワタシを一人になんてしないわよねぇ?」
「マスター、まさか僕をおいていく気っすか⁉︎」
「マスター、俺、置いてかれるの?」
「マスター、私も一緒に行きたいです」
「マスター、私も連れて行って」
サンディ、サタディ、フライディ、マンディ、ウェンズディ、チューズディ、の順番に、マスターから離れる気はないと抗議されて、マスターである俺たちのは目を見合わせる。
ドールがマスターに逆らうことはない。だが、こんなふうに意見することはある。(特に、考えるという所が特化しているフライディは顕著だ)
それに、ドールは「置いていかれる」ということに敏感だからな。
理由は諸説あるが、ドールの最初のマスターが聖女だったためではないか、という説が有力だ。マスターが代わる際、基本的に記憶の継承はされないが、最初のマスターに死を持って置いていかれたというのが、はっきりとした記憶ではないなにかトラウマのように残っているのではないか、と言われている。
俺は、フライディをぽんと撫でた。
「確認してくるだけだ。すぐに戻る」
「でもっ」
「フライディ、ここで待っていろ」
命令を下すと、一瞬泣きそうになってから、「イエス、マイマスター」とフライディが頷いた。
周りからもドールの了承の返事が聞こえてくるから、大体似たようなやりとりがあったのだろう。
「なんにしても、曜日の魔術師が木曜日以外全員揃ってるんだよ。これで対処できないことが起きたらもう、どうしようもないでしょ。災害だよ災害、ねー?」
イーサンがケラケラと笑って、サンディがそりゃあそうだけど…と少しむくれた。
イーサンのいうことは最もで、俺たちは自他共に認めるこの国のトップ魔術師だ。ユウイチはまあ、除くとしても。
これで俺たちがどうにもできないと言うのなら、他の魔術師を総動員しても、どうにかなるものでもない。
「ユウイチは待っておくか?」
俺がそう声をかけるが、それを否定したのは、先ほどまでニコニコと微笑んで座っていたエリオットだった。
「だめだよ、ユウイチくんは異質だろう?」
エリオットは微笑みを崩さずに続ける。
「今回の出来事、タイミング的にユウイチくんが全くの無関係とは思えない。彼の意思かどうかは疑問だけどね。とにかく、もしそうなら連れていくべき…というか、僕らのそばから離さないほうがいいと思うよ」
エリオットが、ごめんね、とユウイチにいう。
「いえ…」
困ったように俺をみてくるユウイチに、ため息を吐いてから、俺は「行く時は、俺から離れるな」とだけ返す。
「ああでも、先にユウイチの魔力はなんとかしねぇとな」
「魔力?」
エリオットが首を傾げたので、ユウイチの魔力が体外に漏れ出ていることと、循環はだいぶできるようになったが、一度完全に体の中に魔力を閉じ込めてほしい旨を伝えた。
「ユラもできるでしょ?なんでエリオットにしてほしいの?」
イーサンに覗き込まれて、ため息で返事を返す。
「俺よりエリオットの方が得意だろ、その手の魔術は」
返してから、ふ、と思い至る。
「もしかして、今日はもう“限度”迎えていたか?」
「いいや。大丈夫だよ」
エリオットは首を横に振り、ユウイチに向き直した。
***
エリオットの空気感がやっとなくなりました。
「そうねぇ」
俺とグレイシアがそう呟いた瞬間、ドールたちが一斉に反発する。
「でも、マスターをあんな危ない場所に一人で行かせるなんてやだよ!」
「マスター、ワタシを一人になんてしないわよねぇ?」
「マスター、まさか僕をおいていく気っすか⁉︎」
「マスター、俺、置いてかれるの?」
「マスター、私も一緒に行きたいです」
「マスター、私も連れて行って」
サンディ、サタディ、フライディ、マンディ、ウェンズディ、チューズディ、の順番に、マスターから離れる気はないと抗議されて、マスターである俺たちのは目を見合わせる。
ドールがマスターに逆らうことはない。だが、こんなふうに意見することはある。(特に、考えるという所が特化しているフライディは顕著だ)
それに、ドールは「置いていかれる」ということに敏感だからな。
理由は諸説あるが、ドールの最初のマスターが聖女だったためではないか、という説が有力だ。マスターが代わる際、基本的に記憶の継承はされないが、最初のマスターに死を持って置いていかれたというのが、はっきりとした記憶ではないなにかトラウマのように残っているのではないか、と言われている。
俺は、フライディをぽんと撫でた。
「確認してくるだけだ。すぐに戻る」
「でもっ」
「フライディ、ここで待っていろ」
命令を下すと、一瞬泣きそうになってから、「イエス、マイマスター」とフライディが頷いた。
周りからもドールの了承の返事が聞こえてくるから、大体似たようなやりとりがあったのだろう。
「なんにしても、曜日の魔術師が木曜日以外全員揃ってるんだよ。これで対処できないことが起きたらもう、どうしようもないでしょ。災害だよ災害、ねー?」
イーサンがケラケラと笑って、サンディがそりゃあそうだけど…と少しむくれた。
イーサンのいうことは最もで、俺たちは自他共に認めるこの国のトップ魔術師だ。ユウイチはまあ、除くとしても。
これで俺たちがどうにもできないと言うのなら、他の魔術師を総動員しても、どうにかなるものでもない。
「ユウイチは待っておくか?」
俺がそう声をかけるが、それを否定したのは、先ほどまでニコニコと微笑んで座っていたエリオットだった。
「だめだよ、ユウイチくんは異質だろう?」
エリオットは微笑みを崩さずに続ける。
「今回の出来事、タイミング的にユウイチくんが全くの無関係とは思えない。彼の意思かどうかは疑問だけどね。とにかく、もしそうなら連れていくべき…というか、僕らのそばから離さないほうがいいと思うよ」
エリオットが、ごめんね、とユウイチにいう。
「いえ…」
困ったように俺をみてくるユウイチに、ため息を吐いてから、俺は「行く時は、俺から離れるな」とだけ返す。
「ああでも、先にユウイチの魔力はなんとかしねぇとな」
「魔力?」
エリオットが首を傾げたので、ユウイチの魔力が体外に漏れ出ていることと、循環はだいぶできるようになったが、一度完全に体の中に魔力を閉じ込めてほしい旨を伝えた。
「ユラもできるでしょ?なんでエリオットにしてほしいの?」
イーサンに覗き込まれて、ため息で返事を返す。
「俺よりエリオットの方が得意だろ、その手の魔術は」
返してから、ふ、と思い至る。
「もしかして、今日はもう“限度”迎えていたか?」
「いいや。大丈夫だよ」
エリオットは首を横に振り、ユウイチに向き直した。
***
エリオットの空気感がやっとなくなりました。
0
あなたにおすすめの小説
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる