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第8話 ※背後注意
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「どんな反応だ、それ」
「いやでも、王子の刺客が側付きになるって、まるで芝居みたいじゃないっすか。それが目の前で起きてますって言われても、実感湧きませんて」
俺の訴えにカラさんが笑う。
「平民の傭兵だった男が実は貴族の嫡男で王族の婿になる、なんてのも大抵架空小説のようだと思いますけれど」
確かに。
そっと袖を戻して、カラさんは続ける。
「とにかく、この紋様はね、特殊な術がかけられていて、紋様をもった人間の場所を特定できるんですよ。特殊な術の移動手段の目印として使用することも。ただ、紋様を壊せばその術は解けるはずなんですけれど」
だからばってんつけてあったのか。
「でももし解けてなかったなら…、今回は間違いなく私の責任です」
「お前の責任なら、お前の主人である私の責でもある。あまり思い詰めたことはするなよ、カラ」
「心得ております」
カラさんには術が解けているかどうか、確認をしてもらえる相手に心当たりがあるらしく、会ってきてもいいかとフィズ様に聞き、フィズ様は許可を出した。
そして、また二人きりになる。
「はぁ。とんだ一日だ」
フィズ様はシーツのないベッドに座って、慣れた手つきで煙管に火をつけてぷはー、と煙を吐いた。
「本当に。…怪我、大丈夫っすか」
「うん?痛み止め聞いてるし、別に。それに、私以外誰も怪我していないんだろう?それなら、上々。にしてもリュカ、お前強いんだな」
「ここって時に貴方を守れなかったので、今それを言われるとなんか、こう、…ちょっと刺さります」
「何をいうんだか。…そもそも、伴侶というのは私を守るための存在じゃないぞ」
フィズ様は苦笑して、なんとなく俯いてしまった俺の頭をぽんぽんと叩く。
「普通の貴族だとお前のように戦えない男の方が多いだろうしな。伴侶は、私を慰める存在だ。あとは、形だな。王族に結婚相手を与えたという記録を残すための」
フィズ様の声に少しだけ自嘲の色が混ざって思わず顔をあげるが、フィズ様はすぐにそれをかき消して、微笑んだ。
「なんにせよ。一人残した私のいえる言葉ではないが、リュカが怪我をしなくてよかった」
たまらなくなって、抱きしめてそのまま押し倒す。
「りゅ、リュカ⁉︎」
「わかってます」
「は?」
フィズ様が俺の言葉に素直に従ったのは、それが一番俺に負担がかからないことを理解したからだ。誰かを守りながら戦うということのリスクを減らすため。
けれど、この優しい人があの場に俺を残す決断をすることで傷つかないわけがない。
それでも微笑むこの人が、悔しくて。
「リュカ?」
「フィズ様。…抱きたいです。貴方を」
***
「ふ、ぁ」
「フィズ様、息止めないでください」
どんな顔をしていったのかわからない、「抱きたい」という言葉に、フィズ様は一瞬だけきょとんとしてから、ぼんっと赤面したのち、「や、優しく…」といって俺に手を伸ばしてくれた。
何度かキスをかわしてから、フィズ様の肩に負担がかからないように、下の服だけ脱いでもらったフィズ様を俺の太ももに乗せて、後ろから抱きすくめるようにして、両足を開いてもらう。
そして、すでに少し持ち上がってきていたフィズ様のそれをくにくにといじる。快感からか息を飲み込むフィズ様が可愛らしいけれど、息を止めると体が緊張するから、指先でちょんと唇をつついてみせる。
「ァン」
「フィズ様の声、ほんとエロい」
「っ!」
慌てて両手で口を塞ぐのもまた、可愛らしい。
しっかり持ち上がったフィズ様を優しく握って上下に擦る。たまたま近くにあった潤滑油を垂らしてまたこすると、ぬるんとした感触と水音に、フィズ様の体が跳ねた。
「ぁァン」
「こっちも」
「やっ、やめっ、あぅっ」
乳首ももう固くなっていて、下も触りながら、つまんでこねくり回すとフィズ様の喉がいっそう切なく、激しく喘ぎ声をあげる。
「あっ、ゃ、あ、だめっだめだ、リュカ!」
俺の名前を呼びながらイクとか、ちょっとまってなんかやばい。
くた、と俺にもたれかかってきたのを支える。
「ええと、ちょっと休憩しましょうか」
「え、なんで」
予想外の言葉に、「へ?」と間抜けな声が出てしまった。
「私のことを抱くのだろう?」
「え、まあ、はい」
「なら、さっさと来い」
口調こそいつも通りだが、目は潤んでとろんとしているし、なんならフィズ様は怪我人だ。
「体、辛くないですか」
「平気だ。怪我のことを気にしているなら、ほら」
フィズ様は俺が止める間もなく包帯をとった。傷が、ふさがりかけている。
「これも、耳持ちが異形だと言われる理由の一つだな。あまり公表されていないが」
人の何倍も傷の治りが早い、ということか。
「ちょっと便利で羨ましいっすね」
「おまえなぁ」
傭兵時代の怪我を思い出して、割と本心からそう言うとフィズ様が笑う。
「だから、その」
「はい。じゃあ、遠慮なく行きます」
さっきまではフィズ様を上に乗せていたが、今度はベッドに組み敷く。
そして、そのまま唇を塞いだ。フィズ様の、煙草の味が俺の口に移ってくる。
苦くて、なぜか甘く感じるそれを存分に味わってから、もう一度潤滑油の入った壺に指をつっこんで、フィズ様の後ろに指をそわせた。
「いやでも、王子の刺客が側付きになるって、まるで芝居みたいじゃないっすか。それが目の前で起きてますって言われても、実感湧きませんて」
俺の訴えにカラさんが笑う。
「平民の傭兵だった男が実は貴族の嫡男で王族の婿になる、なんてのも大抵架空小説のようだと思いますけれど」
確かに。
そっと袖を戻して、カラさんは続ける。
「とにかく、この紋様はね、特殊な術がかけられていて、紋様をもった人間の場所を特定できるんですよ。特殊な術の移動手段の目印として使用することも。ただ、紋様を壊せばその術は解けるはずなんですけれど」
だからばってんつけてあったのか。
「でももし解けてなかったなら…、今回は間違いなく私の責任です」
「お前の責任なら、お前の主人である私の責でもある。あまり思い詰めたことはするなよ、カラ」
「心得ております」
カラさんには術が解けているかどうか、確認をしてもらえる相手に心当たりがあるらしく、会ってきてもいいかとフィズ様に聞き、フィズ様は許可を出した。
そして、また二人きりになる。
「はぁ。とんだ一日だ」
フィズ様はシーツのないベッドに座って、慣れた手つきで煙管に火をつけてぷはー、と煙を吐いた。
「本当に。…怪我、大丈夫っすか」
「うん?痛み止め聞いてるし、別に。それに、私以外誰も怪我していないんだろう?それなら、上々。にしてもリュカ、お前強いんだな」
「ここって時に貴方を守れなかったので、今それを言われるとなんか、こう、…ちょっと刺さります」
「何をいうんだか。…そもそも、伴侶というのは私を守るための存在じゃないぞ」
フィズ様は苦笑して、なんとなく俯いてしまった俺の頭をぽんぽんと叩く。
「普通の貴族だとお前のように戦えない男の方が多いだろうしな。伴侶は、私を慰める存在だ。あとは、形だな。王族に結婚相手を与えたという記録を残すための」
フィズ様の声に少しだけ自嘲の色が混ざって思わず顔をあげるが、フィズ様はすぐにそれをかき消して、微笑んだ。
「なんにせよ。一人残した私のいえる言葉ではないが、リュカが怪我をしなくてよかった」
たまらなくなって、抱きしめてそのまま押し倒す。
「りゅ、リュカ⁉︎」
「わかってます」
「は?」
フィズ様が俺の言葉に素直に従ったのは、それが一番俺に負担がかからないことを理解したからだ。誰かを守りながら戦うということのリスクを減らすため。
けれど、この優しい人があの場に俺を残す決断をすることで傷つかないわけがない。
それでも微笑むこの人が、悔しくて。
「リュカ?」
「フィズ様。…抱きたいです。貴方を」
***
「ふ、ぁ」
「フィズ様、息止めないでください」
どんな顔をしていったのかわからない、「抱きたい」という言葉に、フィズ様は一瞬だけきょとんとしてから、ぼんっと赤面したのち、「や、優しく…」といって俺に手を伸ばしてくれた。
何度かキスをかわしてから、フィズ様の肩に負担がかからないように、下の服だけ脱いでもらったフィズ様を俺の太ももに乗せて、後ろから抱きすくめるようにして、両足を開いてもらう。
そして、すでに少し持ち上がってきていたフィズ様のそれをくにくにといじる。快感からか息を飲み込むフィズ様が可愛らしいけれど、息を止めると体が緊張するから、指先でちょんと唇をつついてみせる。
「ァン」
「フィズ様の声、ほんとエロい」
「っ!」
慌てて両手で口を塞ぐのもまた、可愛らしい。
しっかり持ち上がったフィズ様を優しく握って上下に擦る。たまたま近くにあった潤滑油を垂らしてまたこすると、ぬるんとした感触と水音に、フィズ様の体が跳ねた。
「ぁァン」
「こっちも」
「やっ、やめっ、あぅっ」
乳首ももう固くなっていて、下も触りながら、つまんでこねくり回すとフィズ様の喉がいっそう切なく、激しく喘ぎ声をあげる。
「あっ、ゃ、あ、だめっだめだ、リュカ!」
俺の名前を呼びながらイクとか、ちょっとまってなんかやばい。
くた、と俺にもたれかかってきたのを支える。
「ええと、ちょっと休憩しましょうか」
「え、なんで」
予想外の言葉に、「へ?」と間抜けな声が出てしまった。
「私のことを抱くのだろう?」
「え、まあ、はい」
「なら、さっさと来い」
口調こそいつも通りだが、目は潤んでとろんとしているし、なんならフィズ様は怪我人だ。
「体、辛くないですか」
「平気だ。怪我のことを気にしているなら、ほら」
フィズ様は俺が止める間もなく包帯をとった。傷が、ふさがりかけている。
「これも、耳持ちが異形だと言われる理由の一つだな。あまり公表されていないが」
人の何倍も傷の治りが早い、ということか。
「ちょっと便利で羨ましいっすね」
「おまえなぁ」
傭兵時代の怪我を思い出して、割と本心からそう言うとフィズ様が笑う。
「だから、その」
「はい。じゃあ、遠慮なく行きます」
さっきまではフィズ様を上に乗せていたが、今度はベッドに組み敷く。
そして、そのまま唇を塞いだ。フィズ様の、煙草の味が俺の口に移ってくる。
苦くて、なぜか甘く感じるそれを存分に味わってから、もう一度潤滑油の入った壺に指をつっこんで、フィズ様の後ろに指をそわせた。
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