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第7話
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俺がそうぼそっと呟いた言葉がスタート合図だったように、男たちが全員動き出した。
股間男が左、顎男が正面、首男が右。
とりあえず近くにあった花瓶を股間男に投げつける。これは避けられたが動きが一瞬遅れたからその間に首男の足をはらって体勢を崩したところを腹のど真ん中を蹴り飛ばした。ちょっと浅かったのか、一人目男のほどの手応えはない。ナイフを振り下ろしてきた顎男にはテーブルクロスを引き抜いて被せ、そのまま股間男のほうへと腕を掴んで投げた。
体勢を立て直そうとしていた首男後ろに回って首を締めて落としてから、また残りの二人のほうへと投げる。
三人(正確には意識のある二人)がうまく動けずもがいている間に、ベッドの上の布団を上にかぶせてその上に、一番近くにあった棚を蹴り倒した。流石にそのままだと文字通り潰れるかもって思って布団をかぶせたんだが、いい感じに気絶してくれたようだ。
こんな奴ら死のうがなんでもいいが、情報は吐かせないと駄目だろう。俺はそういうの得意じゃないから、人任せになるのが悔しいが。
「リュカ‼︎」
気絶した男達を裂いたシーツで縛り終えたタイミングで、ばんっと扉が開いて、汗だくになったフィズ様が飛び込んできた。
「随分早かったっすね」
「わ、わたし、わたしが、おうえん、ンげほっ」
続いてカラさんがやってきたが、なんだか息も絶え絶えだ。後ろを見ると王族直属の騎士団(名前は忘れた)がいて、なるほど、カラさんは王宮まで走ったのか、と思うと、文官である彼がふらふらな理由がわかった。「怪我はないか⁉︎」
「ありませんよ。フィズ様こそ、肩の治療は?」
「……忘れてた」
「いや、忘れないでくださいよ。痛いでしょそれ」
「言われたら思い出してきた」
「あちゃー」
フィズ様の肩の血がまだ乾いていないというのに、その手には剣が握られていて、まったくもう、という気持ちになる。それと同時に、それくらい自分を心配してくれたのか、と思うと、さっきまで燃えていた腹の中の温度がさぁ、と下がったような気もした。
「えー、と。とりあえず、こいつらが刺客っす」
「承知しました。申し訳ございません。侵入を防げなかったのは我々の落ち度です」
騎士団のお偉いさんであろう人に頭を下げられて、俺は居心地が悪くなる。
「再発防止に努めてくださいね」
「もちろんです」
刺客達が騎士団に連れて行かれて、ぐちゃぐちゃになった寝室に残ったのは、俺とフィズ様とカラさん。ようやく呼吸が落ち着いたらしいカラさんがフィズ様の肩を処置していく。
それを見ながら、「俺、カラさんが手引きしたのかと思いました。タイミング良すぎですし」といったら、「私も自分で自分を疑ってます」とカラさんは苦笑した。
その後、袖を捲って、腕に描かれている紋様を俺に見せる。その紋様は大きくバツを描くようについている古い切り傷に切り裂かれていた。
「これね、さっきみたいな奴らの派閥の紋様なんですよ」
「へえ?」
フィズ様は知っているのか、特に反応はしない。
「私もフィズ様を殺そうとした刺客の一人なんです」
「へぇ?大変でしたね?」
突然の告白に、なんて返していいのか考えあぐねてそう返したら、フィズ様が笑った。
股間男が左、顎男が正面、首男が右。
とりあえず近くにあった花瓶を股間男に投げつける。これは避けられたが動きが一瞬遅れたからその間に首男の足をはらって体勢を崩したところを腹のど真ん中を蹴り飛ばした。ちょっと浅かったのか、一人目男のほどの手応えはない。ナイフを振り下ろしてきた顎男にはテーブルクロスを引き抜いて被せ、そのまま股間男のほうへと腕を掴んで投げた。
体勢を立て直そうとしていた首男後ろに回って首を締めて落としてから、また残りの二人のほうへと投げる。
三人(正確には意識のある二人)がうまく動けずもがいている間に、ベッドの上の布団を上にかぶせてその上に、一番近くにあった棚を蹴り倒した。流石にそのままだと文字通り潰れるかもって思って布団をかぶせたんだが、いい感じに気絶してくれたようだ。
こんな奴ら死のうがなんでもいいが、情報は吐かせないと駄目だろう。俺はそういうの得意じゃないから、人任せになるのが悔しいが。
「リュカ‼︎」
気絶した男達を裂いたシーツで縛り終えたタイミングで、ばんっと扉が開いて、汗だくになったフィズ様が飛び込んできた。
「随分早かったっすね」
「わ、わたし、わたしが、おうえん、ンげほっ」
続いてカラさんがやってきたが、なんだか息も絶え絶えだ。後ろを見ると王族直属の騎士団(名前は忘れた)がいて、なるほど、カラさんは王宮まで走ったのか、と思うと、文官である彼がふらふらな理由がわかった。「怪我はないか⁉︎」
「ありませんよ。フィズ様こそ、肩の治療は?」
「……忘れてた」
「いや、忘れないでくださいよ。痛いでしょそれ」
「言われたら思い出してきた」
「あちゃー」
フィズ様の肩の血がまだ乾いていないというのに、その手には剣が握られていて、まったくもう、という気持ちになる。それと同時に、それくらい自分を心配してくれたのか、と思うと、さっきまで燃えていた腹の中の温度がさぁ、と下がったような気もした。
「えー、と。とりあえず、こいつらが刺客っす」
「承知しました。申し訳ございません。侵入を防げなかったのは我々の落ち度です」
騎士団のお偉いさんであろう人に頭を下げられて、俺は居心地が悪くなる。
「再発防止に努めてくださいね」
「もちろんです」
刺客達が騎士団に連れて行かれて、ぐちゃぐちゃになった寝室に残ったのは、俺とフィズ様とカラさん。ようやく呼吸が落ち着いたらしいカラさんがフィズ様の肩を処置していく。
それを見ながら、「俺、カラさんが手引きしたのかと思いました。タイミング良すぎですし」といったら、「私も自分で自分を疑ってます」とカラさんは苦笑した。
その後、袖を捲って、腕に描かれている紋様を俺に見せる。その紋様は大きくバツを描くようについている古い切り傷に切り裂かれていた。
「これね、さっきみたいな奴らの派閥の紋様なんですよ」
「へえ?」
フィズ様は知っているのか、特に反応はしない。
「私もフィズ様を殺そうとした刺客の一人なんです」
「へぇ?大変でしたね?」
突然の告白に、なんて返していいのか考えあぐねてそう返したら、フィズ様が笑った。
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