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情事のあと
しおりを挟む気を失うように寝ているりのを抱え、シャワールームへと向かう。その間にベッドメイキングを頼むべく、フロントに連絡を入れておくのも忘れない。
りのの身体にはリチャードがつけた所有印があちらこちらに紅く散らばっていた。
もっとつけたい。
そう思うのを堪えて、りのの身体を流していく。
時々反応するりのに、リチャードの雄がまたしてもむくりと起き上がる。
今までが禁欲だったとか、そういうわけではないのに、尽きることを知らない。
何より、りのが処女であったことが嬉しかった。すべての快楽を教えたい。己以外に反応しないようにしたい。そんな支配欲が湧き出てくる。
「…………」
うわごとのように、りのが呟いた。
元夫に対する懺悔ではありませんように。そんなことを祈った。
ベッドルームは朝方までの情事が嘘のように片付いていた。
ベッドへりのをそっとおろすと、隣へするりと入り、優しく抱きしめた。
週明けにはイギリスに一度戻る。その時にりのと籍を入れる予定をたてている。
そのためにはまずすべきなのは、イギリスにある日本領事館と、日本にあるイギリス領事館へ連絡を。そして、りのの家族へ説明させること。
『日本にいるのは誰だったかな』
あまり興味のなかったリチャードはそのあたりを全く知らない。
あとでマイルズに確認することにして、リチャードは幸せの重みをかみしめ、少しばかり眠ることにした。
……のだが。ノック音で起こされたのは、それから数十分後。軍所属ということもあり、気配や音に対して敏感である。
『誰だ?』
『マイルズだ。そろそろ起きている頃合いかと思って来たんだが』
『残念、さっき寝入ったばかりだった』
『おまっ……いくら未亡人とはいえ、それは盛りすぎ』
そんなことを言われてしまえば、処女だったなど言えない。言ったら最後、説教が待ち構えている。
『日本領事館側からは?』
『イギリス大使がフォローいれてた。そらもう、リッチが日本へ行くつもりもあったってことも伝えたし、査証の件は大使同士で取引が終わったよ。「最初からギリシャ経由でブリテンに渡ることになっていた」ということで決着がついた』
『それが整うまで日本領事館側で面倒を見ていた、と』
『そういうこと。それから日本大使夫人から「しばらくイーストン様のお顔は見たくありません」だとさ』
とうとうそこまで言われることになるとは。
『感謝しているよ。リノが強制退去にならなかったのは、日本大使夫妻が裏から手を回したからだ』
『それが分かっているならいい』
少しだけ話が途切れたその時、寝室から派手に陶器が割れる音がした。
『リノ!!』
慌ててそちらに向かえば、ベッド近くでうずくまる、りのがいた。
『どうした?』
『お水をいただきたかったのですけれど』
上手く取れずに落としてしまったようである。
『けがは?』
『ない……と思います』
何故そこまで曖昧なのか。そんなりのを見て不安になったリチャードは毛布でりのを包んで抱きかかえた。
『リチャード様?』
『ちょうどマイルズが昨日の一件で来ている』
それだけ言うと、そのまま隣へと運びつつ、ホテルマンに破片の片付けを命じた。
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