彼女と彼とお酒

神月 一乃

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彼と彼女の秘密

美味しいご飯くらいゆっくり食べさせてください

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「詳しい話、聞かせてもらうぞ!!」
 茶会が終わって美冬にとっては最大の楽しみであるご馳走を目の前に、冬哉に詰め寄られることになった。


「……というわけです」
 昨年の夏くらいからの出来事をかいつまんで離せば、冬哉と千秋は呆れ果てていた。
「メルアド変更が頻繁だった理由がそれか」
「いつか市花ちゃんやらかすと思っていたけど、予想以上のことやったわね」
「どうして私に言ってくれなかったの?」
 静流までもが詰め寄ってきた。閑が止めないあたりで、聞きたいというのは変わりがないらしい。
「……だって、会社関係だと思ったんだもん」
 というか、真貴の言葉が無ければ、桐生が流しているものだと思ったはずだ。
「そこで高柳うちの力を借りて原因突き止めようと思わないあたりが、美冬ちゃんよねぇ」
 しっかりと聞いていた閑がため息をつきつつ、そんなことをぼやいた。
「だねぇ。今日の招待客の数人、話聞いたら絶対嬉々として情報戦に参加していたはずだな」
「家元まで酷いです」
 話していても、食べる手を休めない。口にものが入っている時は話さないが、皆聞き耳を立てている。

 そしてふと思う。
「えっとですね、一つ聞きたいのですが」
「なにかな、美冬ちゃん」
 家元が嬉しそうな顔で美冬を見た。
「招待客の皆様ってお偉いさんばかりですか?」
「今更か!!」
 冬哉が突っ込みを入れた。
「……そんなことだろうとは思ったよ」
 家元は、得心が言ったとばかりに呟いた。


 今更ながらに知る、招待客の凄さ。気後れしそうになった美冬に閑が微笑んだ。
「美冬ちゃんは今までと同じように接して。それをあの方々は喜んでいらっしゃるの。堅苦しい接し方は千秋さんと冬哉さんで事足りているから」
「お義母さん……」
 なんとも言えない顔で冬哉が口を挟もうとしたが、閑のひと睨みで言うのをやめた。
「まぁ、安曇家に嫁いだらそんなことも言えなくなっちゃうけど」
「そんな話まだ出てませんけど」
 美冬は思わず即答した。


「お義姉様、どう思います?」
「捕まるのは時間の問題。あとは安曇がどう出るかが問題でしょう。千代様除くで」
「ですよねぇ。千代様としおり様お二人で美冬ちゃん狙ってましたものね」
 そんなことを少し離れたところで話すのは、静流と千秋だ。

千秋と冬哉は二人のところに挨拶に行くとき、連れて行かない。「シスコン」と呼ばれようとも。


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……どうして前回、あの方々の力を使わなかったのか、姉兄に相談しなかったのか。
仕事関係であれば、姉と兄は部外者です。勿論、この茶会で会う人たちもそうですが。そして、茶会で会う人たちが著名人であるということを知らなかったという、間抜けな美冬。
あの方々も美冬を隠しておりますし、大物を気取った小物には美冬の存在というのは伝わっておりませんwww
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