39 / 52
彼と彼女の秘密
真貴、驚く
しおりを挟むその一件、真貴は桐生伝手に聞き、腰が抜けるほど驚いたという。
「……美冬、あんたねぇ。そういう隠し玉、夏に使わなかったのよ」
「あの人たちが偉い有名人だなんて知りませんでしたし」
「いやね、あんたの義姉が高柳家の人だっていうだけで驚きもんよ。しかも姉は都築興産の社長秘書だと? あんた、どんだけの人脈持ってんのよ」
「ふぇ?」
姉は姉だし、義姉は兄の大切な奥さんだし。それが美冬の言い分だ。
「それともあんたたちか? 高柳に出入りする人たらしの姉弟は」
「……何ですか、それ」
意味が分からない。
よくよく聞けば、高柳本家の一人娘、静流の夫とその兄弟を指すという。
……誰が聞いても間違いなく、美冬たちのことである。
人たらしとは失礼な、そう思ってしまうが、そういえば閑がそんなことを言っていた気もしなくもなく、反論できない。
「いくつか付け加えるとね、あんたのお姉さんたち、某有名国会議員が自分の孫の嫁にしたかったとか、多分こっちはあんたの実のお姉さんね。で、あんたのお兄さんの奥さん、つまりお義姉さんの方も、銘家で婿に出しても取り込みたい家だったのよ」
「……初耳です」
「で、そんな兄姉が隠す掌中の珠、少し年の離れた妹。つまりあんたね」
「そこまで大事にされていませんが」
特に冬哉に。よく子ども扱いされるが、大事にされたという記憶はない。
「……あっそ。よくうちの会社に入社できたわ」
「入社試験頑張りましたから」
「そっちじゃなくて! あんたならうちみたいな中小企業じゃなく、マンモス企業で手ぐすね引いて待ってたのよ!」
春文があの程度の報復で済んでよかったわね、などと言うあたりあの人たちにどれくらいの力があるのか聞いてみたくなってくる。
……が、本能がそれを拒否したため聞くに聞けぬまま終わったのだが。
「確かに、美冬は人たらしだものね」
とぽつりという真貴に、少しばかり失礼な! と思う美冬だった。
その辺り課長とかに内緒にしてくださいね、と真貴に頼めば「当然!」と返ってきた。
こうして美冬の秘密は真貴のみが知る内容となったのであった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる