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バイト先の優しい人と、旦那様のブリザード?
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旦那様との取り決めは、バイトは週に三回、多くて四回。成績が落ちたら即座に辞めること。テスト前は絶対にバイトを休むこと。生活費はカード決済、もしくはレシートを提出。それに応じて旦那様の方で補てんするということになりました。
食事関係は私が作る時に、旦那様のも「ついでに作ってくれても構わない」という程度のもの。……これってどうとればいいんですかね。だって、旦那様がいつぐらいに帰ってくるのかも分からないわけですし。あとで二人に相談してみましょう。
友人宅へのお泊りは基本、事前報告だそうです。
叔父宅に居候してた頃よりも取り決めが色々出来ました。
「それから、あなたの叔父夫婦のところへは極力近づかないでください」
どうやら叔父夫婦には最近、きな臭い噂も出ているそうです。そんなことも理由に上がり、護衛をつけるとまでおっしゃるわけで。
外泊とかが許可制なのもここにかかわってくるとか。私一人危険にあうくらいならまだしも、親友二人を巻き込むかもしれないというのはごめんです。
念のため、二人にも伝えておくことにしましょう。
バイト先には「諸事情あって結婚した」とだけ伝えました。勿論旦那様と話した結果ですよ。バイト先のマスターには「そんなに年上だったら保護者みたいなもんでしょ」と言われてしまいましたよ。
マスターも奥さんも大喜びでした。「これであの家と縁が切れたのね。こっちも遠慮しないわ」って。
確かにあの家の連中と来たら、私のバイト代から差っ引けと言って飲食したり、テイクアウトしたりしてましたもんね――。奥さんが「バイト代全額あんたらの飯代に消えた」って言ったら「来月に繰り越せ」とか「バイト時間を増やせばいい」とか無理難題を突き付けて……。まったく、困ったものです。
奥さん、笑顔が怖いですよ。マスターも後ろでこそこそと何スマホいじってんですか。
「看板娘の出勤日数が減るのは寂しいけど、学業優先だものね。GWに旦那さんも時間とれるかしら」
奥さんが何やら思いついたらしく、そんなことを聞いてきました。
「……どうでしょうねぇ」
さすがに愛人がいるかもとはこの人たちには今言えませんよ。
「ささやかなお祝いがしたいのよ。麻帆佳ちゃんのお友達と、ここの商店街の来れる人間と、麻帆佳ちゃんの旦那さんと、その人の親しい友人で」
奥さん、嬉しい言葉をありがとうございます。
でもね、旦那様の親しい友人なんて、私知りませんよ。伝えておくだけ伝えておきましょう。期待しないでくださいね。
新しい生活スタイルに慣れることが先決です。バイトのない日をどう過ごすか、ちょっと考えないといけないですね。勉強……ですか? バイトを続けるためにもやらないと駄目ですね。赤点取らなきゃいいって考えでは、もう駄目なようです。くすん。
今日はメールじゃなく、メモをしたためておきましょう。バイトのこと、それからバイト先で言われたこと。そんなことを悶々と考えているうちに帰路につきました。
「お帰りなさい」
……えっと、帰ってくる部屋間違えたでしょうか。それとも幻聴でしょうか。部屋の中から男性の声が。
「た……ただいまです」
どうやら間違ったわけでも、幻聴でもなかったようです。早くお帰りになっていたもよう。バイトのある日はこんなもんであること、賄いで夕食を済ませてきていることを説明すると、旦那様の後ろにブリザードが見えました。
げ……幻覚です。幻覚に違いありません!
食事関係は私が作る時に、旦那様のも「ついでに作ってくれても構わない」という程度のもの。……これってどうとればいいんですかね。だって、旦那様がいつぐらいに帰ってくるのかも分からないわけですし。あとで二人に相談してみましょう。
友人宅へのお泊りは基本、事前報告だそうです。
叔父宅に居候してた頃よりも取り決めが色々出来ました。
「それから、あなたの叔父夫婦のところへは極力近づかないでください」
どうやら叔父夫婦には最近、きな臭い噂も出ているそうです。そんなことも理由に上がり、護衛をつけるとまでおっしゃるわけで。
外泊とかが許可制なのもここにかかわってくるとか。私一人危険にあうくらいならまだしも、親友二人を巻き込むかもしれないというのはごめんです。
念のため、二人にも伝えておくことにしましょう。
バイト先には「諸事情あって結婚した」とだけ伝えました。勿論旦那様と話した結果ですよ。バイト先のマスターには「そんなに年上だったら保護者みたいなもんでしょ」と言われてしまいましたよ。
マスターも奥さんも大喜びでした。「これであの家と縁が切れたのね。こっちも遠慮しないわ」って。
確かにあの家の連中と来たら、私のバイト代から差っ引けと言って飲食したり、テイクアウトしたりしてましたもんね――。奥さんが「バイト代全額あんたらの飯代に消えた」って言ったら「来月に繰り越せ」とか「バイト時間を増やせばいい」とか無理難題を突き付けて……。まったく、困ったものです。
奥さん、笑顔が怖いですよ。マスターも後ろでこそこそと何スマホいじってんですか。
「看板娘の出勤日数が減るのは寂しいけど、学業優先だものね。GWに旦那さんも時間とれるかしら」
奥さんが何やら思いついたらしく、そんなことを聞いてきました。
「……どうでしょうねぇ」
さすがに愛人がいるかもとはこの人たちには今言えませんよ。
「ささやかなお祝いがしたいのよ。麻帆佳ちゃんのお友達と、ここの商店街の来れる人間と、麻帆佳ちゃんの旦那さんと、その人の親しい友人で」
奥さん、嬉しい言葉をありがとうございます。
でもね、旦那様の親しい友人なんて、私知りませんよ。伝えておくだけ伝えておきましょう。期待しないでくださいね。
新しい生活スタイルに慣れることが先決です。バイトのない日をどう過ごすか、ちょっと考えないといけないですね。勉強……ですか? バイトを続けるためにもやらないと駄目ですね。赤点取らなきゃいいって考えでは、もう駄目なようです。くすん。
今日はメールじゃなく、メモをしたためておきましょう。バイトのこと、それからバイト先で言われたこと。そんなことを悶々と考えているうちに帰路につきました。
「お帰りなさい」
……えっと、帰ってくる部屋間違えたでしょうか。それとも幻聴でしょうか。部屋の中から男性の声が。
「た……ただいまです」
どうやら間違ったわけでも、幻聴でもなかったようです。早くお帰りになっていたもよう。バイトのある日はこんなもんであること、賄いで夕食を済ませてきていることを説明すると、旦那様の後ろにブリザードが見えました。
げ……幻覚です。幻覚に違いありません!
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