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麻帆佳VS旦那様
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美夏のお兄さん――克人さんというお名前です――が迎えに来て帰る際、園田さんも一緒にお帰りになられました。
ってか、何故戻ってこられたのでしょうか。意味が分かりません。
後片付けは二人とやったのであとは宿題だけなんですが、部屋に戻る前に旦那様の許可を得ておきましょう。
「……女子会? パジャマパーティ?」
やはりご存じないですか。女子だけでワイワイやったり、パジャマでぐーたらするだけですよ。
またしても旦那様は部屋に戻っていきます。
どうやらタブレットを取りに行って調べるようです。んなもん調べなくてもいいと思うんですけど。
「この家に遊びに来るのは、あの二人だけですか?」
「はい。他は泊まるくらい仲良くしている友人もいませんし」
「どこのホテルでやるんですか?」
……はい? いや、このマンションでと思っていたのですが。って、私の部屋に二人が泊まるだけです! 他のお部屋は要りません! そしてあなたがいないときにやりますから!!
「分かりました。では、私の出張の時でしたら、そのパジャマパーティは問題ありません。それから、女子会等もあの二人であれば問題ないです」
そこまで言うと、旦那様は改めて私を睨みつけてきます。
「園田から聞きましたが、アルバイトを続けるそうですね」
いけませんかね。働くこと。
「旦那様、そこまで言うのであれば私だって言いたいことがあります。何ですか、あのカードは。私には分不相応すぎるカードです。それに月十万のお小遣い? ぐーたらして何でそんなにいただかなくてはいけなんですか。同じ十万なら私は汗水流して手に入れたいんです!」
「ぐうたらは言いすぎですね。料理したりするのでしょう? それにあなたの本業は勉強でしょう。それをおろそかにするのはどうかと思うだけです」
かっちーん。今まで中の中位の成績をキープしていましたが、それじゃ駄目ってことですかね。一応進学校ですよ。……就職予定でしたが。
「これから進路希望は変更して大学に行ってください。その方が就職率だって多少は変わるでしょうし。学びたい学科とかないんですか?」
ありましたけど、無理です。今私文系ですもん。行きたかったのは薬学系なので無理です。
諦めるために文系に行きました。それだけです。でも、それを旦那様に言いたくないので黙ってます。
「特にないです」
「……そうですか。ただ、今の英語力だと海外に行ったときに役に立ちませんので、どの学科に行くにしても英語はもっと上達させてください」
日本国内から出る予定のない人間に言わないでください。そんなこと。
「つまり、何が何でも大学に行けと?」
「そこまで言ってません」
じゃあ行かなくていいじゃないですか。というわけで卒業できる程度の成績でいいってわけですよね。
「麻帆佳さん」
いきなり顔を近づけて耳元で低音ボイスでささやかないでください!
「成績を下げることがあったら、バイトは禁止します。今の成績状況だと、週二日が許せる範囲です」
ちょっ……何ですか! それは!!
「私の情報網を見くびらないでください。昨年赤点ぎりぎりどころか、赤点取った教科もあったでしょう?」
ばれてるーー。担任にも言われて、必死こいてバイトのために勉強頑張りましたとも。
「理由が理由ですので、今回は大目に見ます。次取ったら問答無用ですからね?」
旦那様がそのあとぼそりと呟いた一言に、思わず血の気が引きます。
テスト直前にあった出来事は千夏と花音ですら知らないというのに!!
ってか、何故戻ってこられたのでしょうか。意味が分かりません。
後片付けは二人とやったのであとは宿題だけなんですが、部屋に戻る前に旦那様の許可を得ておきましょう。
「……女子会? パジャマパーティ?」
やはりご存じないですか。女子だけでワイワイやったり、パジャマでぐーたらするだけですよ。
またしても旦那様は部屋に戻っていきます。
どうやらタブレットを取りに行って調べるようです。んなもん調べなくてもいいと思うんですけど。
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「はい。他は泊まるくらい仲良くしている友人もいませんし」
「どこのホテルでやるんですか?」
……はい? いや、このマンションでと思っていたのですが。って、私の部屋に二人が泊まるだけです! 他のお部屋は要りません! そしてあなたがいないときにやりますから!!
「分かりました。では、私の出張の時でしたら、そのパジャマパーティは問題ありません。それから、女子会等もあの二人であれば問題ないです」
そこまで言うと、旦那様は改めて私を睨みつけてきます。
「園田から聞きましたが、アルバイトを続けるそうですね」
いけませんかね。働くこと。
「旦那様、そこまで言うのであれば私だって言いたいことがあります。何ですか、あのカードは。私には分不相応すぎるカードです。それに月十万のお小遣い? ぐーたらして何でそんなにいただかなくてはいけなんですか。同じ十万なら私は汗水流して手に入れたいんです!」
「ぐうたらは言いすぎですね。料理したりするのでしょう? それにあなたの本業は勉強でしょう。それをおろそかにするのはどうかと思うだけです」
かっちーん。今まで中の中位の成績をキープしていましたが、それじゃ駄目ってことですかね。一応進学校ですよ。……就職予定でしたが。
「これから進路希望は変更して大学に行ってください。その方が就職率だって多少は変わるでしょうし。学びたい学科とかないんですか?」
ありましたけど、無理です。今私文系ですもん。行きたかったのは薬学系なので無理です。
諦めるために文系に行きました。それだけです。でも、それを旦那様に言いたくないので黙ってます。
「特にないです」
「……そうですか。ただ、今の英語力だと海外に行ったときに役に立ちませんので、どの学科に行くにしても英語はもっと上達させてください」
日本国内から出る予定のない人間に言わないでください。そんなこと。
「つまり、何が何でも大学に行けと?」
「そこまで言ってません」
じゃあ行かなくていいじゃないですか。というわけで卒業できる程度の成績でいいってわけですよね。
「麻帆佳さん」
いきなり顔を近づけて耳元で低音ボイスでささやかないでください!
「成績を下げることがあったら、バイトは禁止します。今の成績状況だと、週二日が許せる範囲です」
ちょっ……何ですか! それは!!
「私の情報網を見くびらないでください。昨年赤点ぎりぎりどころか、赤点取った教科もあったでしょう?」
ばれてるーー。担任にも言われて、必死こいてバイトのために勉強頑張りましたとも。
「理由が理由ですので、今回は大目に見ます。次取ったら問答無用ですからね?」
旦那様がそのあとぼそりと呟いた一言に、思わず血の気が引きます。
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