達観した紫の上と、年上旦那様

神月 一乃

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閑話

麻帆佳、危機一髪!!

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こちらの話は、春の話が始まる約半年前の話になります。
龍雅が「知っていた」という、赤点&赤点ギリギリになった理由です。
かなり親戚に対するヘイトが上がります。
スルー出来るお話ですので、する―したい方はそのままブラウザバックお願いします。

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 あれは高校二年の二学期中間試験のあたりでした。
 いつものごとくバイト先にきた叔父家族は、いつもの倍以上横柄でした。
 マスターや奥さんが怒って「弁償しろ」と言い出すと、「麻帆佳が払う」とのたまいやがりました。
 そして、足りない分を私が身体・・で払えと。目の前が真っ暗になるというのはこういう時なのだと、思ってしまいました。
 連れていかれた先は、派手なお姉さんがたくさんいる場所。一体ここで何をさせられるのかと、怯えたのは今でもはっきり覚えています。
『この餓鬼が?』
 強面の親父がぶしつけな視線を私に投げかけてきました。
『兄貴、顔は悪くない。こりゃ売れるよ』
『やかましい。問題は十八未満だってことだ』
『自分から女が来て、知らなかったでいいんじゃねぇっすか?』
『それで行くか。……一割帳消しにしてやる。あとはこの餓鬼の働きぶり次第だ』
 ……一体ここはどこなのか。一割帳消しにしてやるとのたまった親父と、叔父がぼそぼそと話し込んでいました。
『あんた、それでいいのか?』
『勿論、ただ飯食いの居候ですから。それくらい役に立ってもらわないと』
 その言葉が私の扱いを決定づけたのです。

 デリヘル嬢と呼ばれる人たちが嘲笑っていました。そして私もデリヘル嬢になったのだと。デリヘル嬢、というものが何なのか全くわからず、きょとんとしているうちに、呼ばれました。
 曰く、「指名が入った」と。

 どんな仕事なのか車を運転してくれている人に聞くと、「あった人に聞いて色々教えてもらえ」と言われたのです。

 ついた先は、ラブホテルと呼ばれる場所。そして、そこに穏やかな男性が待っていました。

『……君、年齢は?』
『じゅ……十七です』
『違法なの知ってる?』
『……え?』
『デリヘル嬢というのは、本番なしの性的サービスをするんだ。だから高校生未満、それから十八未満は出来ないよ』
 何も知らない私に、本番というのがいわゆるセックスであるということ、その前までなら何をされるか分からないということを親切に教えてくれたのです。
『俺でよかったよ。ちょっと待ってね』
 その方はそのまま電話をして、色々と掛け合ってくれていたようです。いたようだというのは、私はその時トイレにいるようにその男性に指示され、話を聞いていないからです。

 気がついたら話は終わっており、私は何もすることなくデリヘル嬢を辞めれました。

 情緒不安定になる私を助けてくれたのは、マスターと奥さんでした。


 その後叔父夫婦が悔しそうな顔をしていたものの、間もなく結婚という話が持ち上がったのです。
 予想はしていましたけど、結構年上の男性がお相手でした。

 叔父夫婦と私は何故か何も話すことなくあっという間に話がまとまり、旦那様と結婚したのでした。
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