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天高く陰謀巡る秋
不審な電話が来ました
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夏休み以降、だだ甘になりだした旦那様に辟易すること一月。「来年は子の朝顔の種を使ってグリーンカーテンを作ってみよう」と言われ、私も嬉しくなりました。
と言ってもかなりの数の種があるので、バイト先と千夏宅にもおすそ分けすることになりました。
「朝顔って発芽率悪いからね。それくらいあれば問題ないけどさ」
種の数を見た花音が苦笑しながら言ってきます。
今日は旦那様が出張の日なので、またしてもパジャマパーティです。急きょ決まったので、旦那様には事後報告になります。園田さんには伝えてあり、何故か恵真さんもおります。
「千夏、その袋は?」
「お母ん特製、ぬか床。お前さんが取り来ないから、持たされた」
「うわーーい。ありがとーー」
これで糠漬けが作れますよ! ああ、楽しみです。
「これは……手入れの行き届いたぬか床ですね。私の家にもぜひ分けてください」
検分していた恵真さんが、感心したようにつぶやきます。
恵麻さんや、あなたがくらいついてどうするんですか。
「千夏のお母さんはマメだからねーー。うちの母親は千夏の家からもらった糠漬けが食卓に並ぶ」
「代わりに食材もらってるよ、うちは」
花音と千夏がそんなことを言ってます。相変わらず仲のいいお家です。
「あとエビチリといも餅、それから大根餅」
「……今日何も作る必要ないね」
持ってきた量を見た花音が呟きます。普段は三人で和気あいあいと何か作ったりもするんですが、恵真さんが、二人が来る前に少し作ってくれたので、明日までだらけて食べる分あるんですよ。
ちょっぴり至れり尽くせりだな、と思ったら、恵真さんがお茶の支度までしてくれました。ほんっとうに至れり尽くせりですよ!!
うまうま。
恵真さんも一緒に食べてもらってます。ご本人は「役得」と喜んでおりました。
「千夏様のお母様は料理人ですか?」
「いえ、普通に会社勤めしている、兼業主婦です」
「料理人と遜色ないですね」
「凝り性なだけです」
恵真さんと千夏がそんな話をしてた時に、珍しくわたしのスマホが鳴りました。
しかも、旦那様から。ついでだから女子会のことも伝えておこうと思って、電話に出たのが間違いでした。
『龍雅さーーん。はやくぅ』
少しばかりくぐもった、女性の声が聞こえました。
「……麻帆佳?」
がたん、と気が付いたらスマホは床に落ちており、思った以上にショックを受けたようです。
そのあとも少し通話になっていたようですが、気づいた恵真さんがぶった切ってました。
「旦那様方にお伝え……」
「しなくていいです」
「麻帆佳奥様……」
きっと、夏に見たあれは、気まぐれだったのでしょう。
そう、思えば気が楽なのです。
これが、ある意味始まりでした。
と言ってもかなりの数の種があるので、バイト先と千夏宅にもおすそ分けすることになりました。
「朝顔って発芽率悪いからね。それくらいあれば問題ないけどさ」
種の数を見た花音が苦笑しながら言ってきます。
今日は旦那様が出張の日なので、またしてもパジャマパーティです。急きょ決まったので、旦那様には事後報告になります。園田さんには伝えてあり、何故か恵真さんもおります。
「千夏、その袋は?」
「お母ん特製、ぬか床。お前さんが取り来ないから、持たされた」
「うわーーい。ありがとーー」
これで糠漬けが作れますよ! ああ、楽しみです。
「これは……手入れの行き届いたぬか床ですね。私の家にもぜひ分けてください」
検分していた恵真さんが、感心したようにつぶやきます。
恵麻さんや、あなたがくらいついてどうするんですか。
「千夏のお母さんはマメだからねーー。うちの母親は千夏の家からもらった糠漬けが食卓に並ぶ」
「代わりに食材もらってるよ、うちは」
花音と千夏がそんなことを言ってます。相変わらず仲のいいお家です。
「あとエビチリといも餅、それから大根餅」
「……今日何も作る必要ないね」
持ってきた量を見た花音が呟きます。普段は三人で和気あいあいと何か作ったりもするんですが、恵真さんが、二人が来る前に少し作ってくれたので、明日までだらけて食べる分あるんですよ。
ちょっぴり至れり尽くせりだな、と思ったら、恵真さんがお茶の支度までしてくれました。ほんっとうに至れり尽くせりですよ!!
うまうま。
恵真さんも一緒に食べてもらってます。ご本人は「役得」と喜んでおりました。
「千夏様のお母様は料理人ですか?」
「いえ、普通に会社勤めしている、兼業主婦です」
「料理人と遜色ないですね」
「凝り性なだけです」
恵真さんと千夏がそんな話をしてた時に、珍しくわたしのスマホが鳴りました。
しかも、旦那様から。ついでだから女子会のことも伝えておこうと思って、電話に出たのが間違いでした。
『龍雅さーーん。はやくぅ』
少しばかりくぐもった、女性の声が聞こえました。
「……麻帆佳?」
がたん、と気が付いたらスマホは床に落ちており、思った以上にショックを受けたようです。
そのあとも少し通話になっていたようですが、気づいた恵真さんがぶった切ってました。
「旦那様方にお伝え……」
「しなくていいです」
「麻帆佳奥様……」
きっと、夏に見たあれは、気まぐれだったのでしょう。
そう、思えば気が楽なのです。
これが、ある意味始まりでした。
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