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距離の近づく猛暑日和
バイトに行くまでに
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何度経験しても慣れません。起き抜けに旦那様のご尊顔がそばにあるというのは。
しかも、はだかですよ、は・だ・か! 私が先に落ちちゃうのがいけないんでしょうが、寝るときは服を着ていたいです。
「麻帆佳、おはよう」
「……お、おはよう、ございます」
「そろそろ私も出社しなきゃいけないのでちょうどよかった」
って、今何……じ
「えぇぇぇ!?」
大遅刻ですよ! 今から学校行ったとしても間に合わない! まずいです。
「送ってく。ご飯は園田に連絡してあるから」
「でもっ!!」
そんなことしたら旦那様も遅刻じゃないですか!! あぁもう! 言い合う時間すら惜しいです。急いで着替えなくては!
というか、どうやって私は自分の部屋まで行けばいいのですか!?
旦那様のシャツがふわりとかけられ、気が付いたらお姫様抱っこされてました。慣れたくないですね、こういうのって。
「旦那様、ありがとうございまし……」
ってやばい! 旦那様呼びしたらお仕置きでした。そそくさと部屋に逃げるに限ります。
……やっぱり部屋の前で待ってましたか。
「麻帆佳、帰ったら話があります。確か、今日はアルバイトの日だね。迎えに行くのでアルバイト先で待っててください」
「ふつーに帰って……」
言い返そうとしたら旦那様に腰を抱き寄せられ、キスをされました。
「……ん……」
割って入ってきた舌だけで、あっという間に身体から力が抜けていきます。
「ここで動けなくなるのと、大人しくアルバイト先で待ってるの、どっちがいい?」
それだけ言うと、また私の唇をふさいできました。
「ん……んんっ……」
ただキスをしているだけなのに、下半身が疼いてきてしまうのです。
「大人しく言うこと聞いて。でないと、ここぐちゅぐちゅにしちゃうよ」
「……はい」
これ以上されては本当に遅刻してしまいます。ここは折れるしかないですね。
ドナドナされるがごとく、同じ車で学校に行きましたとも。
今回初めて知ったのですが、電車使うよりも車のほうが早かったんですね。電車では遅刻しているか、ギリギリの時間につくのが、少しばかり余裕があります。
あ、旦那様は先に会社に送りましたよ。そちらの遅刻のほうが悪いですし。
「若奥様、ここでよろしいので?」
園田さんは学校まで送ると言いましたが、お断りさせていただきます。どんな噂が立つか分かったものではありませんし。このあたりなら、人通りも少ないですから。
かくして、午前の登校日終了後、そんな内容を千夏と花音にする羽目になりましたとも。
「がっつきすぎじゃない? 麻帆佳の体力ゲージがやばいことになってそう」
「だから連絡しろってあたしも、花音もいちごさんも言ったじゃんか」
「……う~~」
確かに言われました。
「にしても、とうとう言ったか。愛人の件」
千夏、違います。言ったんじゃありません。向こうから言われたんです。
「話ねぇ……麻帆佳の親戚関係じゃなきゃいいけど」
花音が嫌なことを言いやがりますよ。最近顔も見かけてないのですっかり忘れてましたわ。前の番号も解約しちゃいましたし、連絡とるには学校に来るかバイト先に突進してくるかの二択でしたね。いくら出禁になったと言っても、外で待ってればいいだけですし。
その兼ね合いもあったのでしょうね。少しばかり過保護なのも。
「……少しばかり旦那様の言うことを大人しく聞いとくか」
それが一番無難なようです。
「じゃ、バイト行ってきま……」
「兄貴が送ってくって」
いや、克人さんお仕事でしょ!?
「兄貴、上司と折り合い悪くて仕事辞めたんだ。決まるまで古巣でお世話になるってさ。あたし送っていくついでだと思って、一緒に乗ってよ」
スマホを見ながら千夏が言いますが、なんというかあざといです。旦那様が絡んでなければいいのですが。
嫌な予感がします。
「言ってなかったけど、去年あたりからいろいろあったんだ。会社とけんか腰になったのは本当。
あたしも古巣に世話になってるのにはなんかあると思ってるけど」
「克兄って、顔広いもんな。やっかみか。しかも御曹司とも知り合いになったしね」
「それって……」
「とどめはあんたの旦那だろうね。間違いなく」
千夏があっさりと認めました。何やってるんですか旦那様!
しかも、はだかですよ、は・だ・か! 私が先に落ちちゃうのがいけないんでしょうが、寝るときは服を着ていたいです。
「麻帆佳、おはよう」
「……お、おはよう、ございます」
「そろそろ私も出社しなきゃいけないのでちょうどよかった」
って、今何……じ
「えぇぇぇ!?」
大遅刻ですよ! 今から学校行ったとしても間に合わない! まずいです。
「送ってく。ご飯は園田に連絡してあるから」
「でもっ!!」
そんなことしたら旦那様も遅刻じゃないですか!! あぁもう! 言い合う時間すら惜しいです。急いで着替えなくては!
というか、どうやって私は自分の部屋まで行けばいいのですか!?
旦那様のシャツがふわりとかけられ、気が付いたらお姫様抱っこされてました。慣れたくないですね、こういうのって。
「旦那様、ありがとうございまし……」
ってやばい! 旦那様呼びしたらお仕置きでした。そそくさと部屋に逃げるに限ります。
……やっぱり部屋の前で待ってましたか。
「麻帆佳、帰ったら話があります。確か、今日はアルバイトの日だね。迎えに行くのでアルバイト先で待っててください」
「ふつーに帰って……」
言い返そうとしたら旦那様に腰を抱き寄せられ、キスをされました。
「……ん……」
割って入ってきた舌だけで、あっという間に身体から力が抜けていきます。
「ここで動けなくなるのと、大人しくアルバイト先で待ってるの、どっちがいい?」
それだけ言うと、また私の唇をふさいできました。
「ん……んんっ……」
ただキスをしているだけなのに、下半身が疼いてきてしまうのです。
「大人しく言うこと聞いて。でないと、ここぐちゅぐちゅにしちゃうよ」
「……はい」
これ以上されては本当に遅刻してしまいます。ここは折れるしかないですね。
ドナドナされるがごとく、同じ車で学校に行きましたとも。
今回初めて知ったのですが、電車使うよりも車のほうが早かったんですね。電車では遅刻しているか、ギリギリの時間につくのが、少しばかり余裕があります。
あ、旦那様は先に会社に送りましたよ。そちらの遅刻のほうが悪いですし。
「若奥様、ここでよろしいので?」
園田さんは学校まで送ると言いましたが、お断りさせていただきます。どんな噂が立つか分かったものではありませんし。このあたりなら、人通りも少ないですから。
かくして、午前の登校日終了後、そんな内容を千夏と花音にする羽目になりましたとも。
「がっつきすぎじゃない? 麻帆佳の体力ゲージがやばいことになってそう」
「だから連絡しろってあたしも、花音もいちごさんも言ったじゃんか」
「……う~~」
確かに言われました。
「にしても、とうとう言ったか。愛人の件」
千夏、違います。言ったんじゃありません。向こうから言われたんです。
「話ねぇ……麻帆佳の親戚関係じゃなきゃいいけど」
花音が嫌なことを言いやがりますよ。最近顔も見かけてないのですっかり忘れてましたわ。前の番号も解約しちゃいましたし、連絡とるには学校に来るかバイト先に突進してくるかの二択でしたね。いくら出禁になったと言っても、外で待ってればいいだけですし。
その兼ね合いもあったのでしょうね。少しばかり過保護なのも。
「……少しばかり旦那様の言うことを大人しく聞いとくか」
それが一番無難なようです。
「じゃ、バイト行ってきま……」
「兄貴が送ってくって」
いや、克人さんお仕事でしょ!?
「兄貴、上司と折り合い悪くて仕事辞めたんだ。決まるまで古巣でお世話になるってさ。あたし送っていくついでだと思って、一緒に乗ってよ」
スマホを見ながら千夏が言いますが、なんというかあざといです。旦那様が絡んでなければいいのですが。
嫌な予感がします。
「言ってなかったけど、去年あたりからいろいろあったんだ。会社とけんか腰になったのは本当。
あたしも古巣に世話になってるのにはなんかあると思ってるけど」
「克兄って、顔広いもんな。やっかみか。しかも御曹司とも知り合いになったしね」
「それって……」
「とどめはあんたの旦那だろうね。間違いなく」
千夏があっさりと認めました。何やってるんですか旦那様!
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