達観した紫の上と、年上旦那様

人肌恋しくなる冬模様

アフタヌーンティーは緊張の味です

　そして現在冬休み。本来ならば受験対策のため講習に出ているはずなのですが。
　現在イギリスに来ております。

　なぜこうなった！　と叫びたいところではあるのですが、ロードリックさんのご実家はイギリスなんだそうです。
　しかも貴族とな！？　聞いていたら養子お断りしましたよ。
「麻帆佳はそういうだろうからって、伽耶に口止めされた」
　のほほんとおっしゃるのは東輝さん。

　現在旦那様は、このお家のご当主とお話をされております。私一人英語を解せないので、通訳が一人誰かしらいてくれます。
「もうすぐアフタヌーンティーだって。美味しいから楽しみにしてて」
「……味しそうにないです」
「イギリスの料理全部が不味いとか思わないこと」
　東輝さん、そういう理由じゃなくてですね。マナーも分からない上に上流階級のお人たちに囲まれてご飯食べても緊張で味しないってだけですよ。
「あえて言おう、俺の妹になったんだから慣れろ。そして分からなかったら伽耶と龍雅に聞けばいい」
　やっぱりあの二人もレベル高いです。あっさりできるなんて。

「落ち込んでいる暇はない。無事こなせたらお兄ちゃんがシャーロック・ホームズ博物館に連れて行ってあげよう」
「頑張ります！」
　見事に乗せられてしまいました。


「そこまで拘る必要はないんだけどねぇ」
　のほほんとしながら明日さんたちがおっしゃいますが、それどころではない！　というのが私の意見です。
　ちなみに、私の右隣に旦那様、左隣に明日さんです。明日さんのそのお隣には東輝さんが。
　そして！　テーブル挟んで向かい側が私にとっての試練ですよ。何せ、東輝さんのお祖父様とお祖母様が……。
　威厳たっぷりのお顔のお祖父さまです。そのお隣のお祖母様はお綺麗で……こういうのをお似合いって言うんでしょうね。
「麻帆佳ちゃん、今思ったことを二人に伝えてみよっか」
「語学力がありません」
「そう言わずに」
　明日さんの援護はなさそうですので、旦那様通訳お願いいたします！


　結論、旦那様が通訳なさる前にお祖母さまが破顔しまして。……え？　日本語お分かりなのですか？
「母が日本人だったのもあって覚えたのよ」
　そうですかー。だから明日さんがそう言ったのですかー。

　そして旦那様、驚いていますね。
　どうやら旦那様も知らなかった事実のよう。
「知らないふりしておけば、色々・・情報収集しやすいの。だから兄も日本語は話せるわ」
　なるほど。で、そのお隣のお祖父様は旦那様とお祖母様からの通訳に微笑んでおりました。