達観した紫の上と、年上旦那様

人肌恋しくなる冬模様

旦那様の決意

　シャーロック・ホームズ博物館の他にも大英博物館も見学させてもらえました。

　あれが無料って凄い！！　と感動したら東輝さんに頭撫でられるし、「可愛いお嬢ちゃんね、いくつなの？（明日さん通訳）」と売店のお姉さんに微笑まれるわで、すごく恥ずかしかったのですが。
　どうやら、日本人が幼く見えるというのを、私も明日さんも体感してしましたよ。私なんて十歳くらいだと思われていました！　十八歳で人妻なんてあっさり東輝さんが暴露して、お姉さんどころか周囲のお客さんにまで驚かれるほど。
　ちなみに明日さんは二十代前半に見られていたそうです。本人は「四十代で二十代に見られるの嬉しいわ」と喜んでおりました。

　それはさておき。ほくほくとした私とは対照的に、旦那様はげっそりとしておりました。
「……お疲れ様です？」
「ありがとう。自業自得だから仕方ないけど」
　お祖父様たちの言い分では「これしきの事を助っ人なしで解決できなくてどうする」ということでした。
　確かにあの老爺、思った以上の小物でしたしね～～。

　まぁ、日本とか、厳原の家という括りではある程度大きい影響力があるんでしょうけど、世界規模で見たら小さいってことですよね。
「……麻帆佳は相変わらず身も蓋もない」
　どうやらまたしても声に出していたようです。事実ですよ、旦那様。
「まぁ、昔はあれでも正義感に溢れた人だったらしいけどね」
「どのあたりが？」
「私も園田から聞いただけだから、何とも言えないね。……まぁ、厳原に巣食う病巣みたいなものなのかも」
　どうやらどこかで歪むことが多いのだとか。そういう意味では、旦那様今のところ歪んでおりませんね。
「ねぇ、麻帆佳」
　いきなり真面目にどうしたんですか？
「私もあの男の血をひいている。どこかで歪むかもしれない。その時は私を止めてもらえるかな？」
　……そういうことですか。
「結婚している間は、努力します」
　離婚とかしたら、私に責任ありませんし？
「見捨てられないように、誠心誠意努力すよ。ずっと麻帆佳の傍にいたいから」
　どうしてこうも歯の浮くようなセリフがあっさり言えるのですか！！

　そのままぎゅっと抱きしめられたところでノックが。
　これから女性陣でお食事です！