ビジネス・オブ・異世界

松村レイ

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第一章 ラウス湖ビジネス編

第十三話 アルバイト選考

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 新しく開店したスズキガエル食堂は上々の滑り出しを決めた。

 ミリの考えたメニューはラウス湖に来る観光客のハートを鷲掴みした。

 そこで、新しくアルバイトを雇う必要があった。

 募集の張り紙をひたすら貼ったところ、5人集まった。

 もちろんのことだが、こちらの世界にはスマートフォンは存在しない。

 連絡手段は特殊な手段でしか行えないが、それは今度にしておこう。

 募集に応じた5人は5人とも三者三様。

 一人目に来たのは、見た目は人間。

 中身も人間の正真正銘の人間族だった。

 別に珍しいことでもない。

 「ここに応募した理由は?」

 「あのタピオカが美味しかったからです。わかります、スズキさんが考案したんですよね。さすがスズキしん‥」

 却下。

 二人目も三人目もそして四人目もこんな感じ。

 今回は絶望的だった。

「失礼しまーす。アルバイトに応募したマルティです!」

 元気がいいのはよし、ミリを彷彿とさせる元気過ぎは良くない。

 どうやら見たところはエルフ。

 かなり若いが‥

「あ、はい。応募理由は?」

「うーんと、親に働けって言われたから?お金が足りないから?とにかく働きたかったからです」

 素直か!?
 
 こんな素直な人、いやエルフがいるのか?

 エルフというのは基本的に女?メス?しかいない。

 ここはミリに判断してもらう必要があった。

 早速ミリを呼び、判断を仰ぐ。

「‥ということなんだが‥」

「うーん、そうだなぁ」

 悪い顔をしながら、偉そうに腕を組み、思考した後、すぐに答えは出た。

「合格です!」

「え?」

 とっさの出来事に言葉が出ない。

「ホントですか?ありがとうございます。やった、やった。じゃあ、明日から出勤しますね。失礼しまーす」

 嵐のように去っていった、マルティ。

「即決すぎやしないか?」

「でもいい子そうだったしさ、いいじゃない」

 ミリの直感は頼りになる時があった。

 今回は吉と出るのか凶と出るのか。

 俺は一応凶に5万ゼニーを賭けることにした。

「そんなことよりもなんか漁師さん達が騒いでたよ」

「何かあったのか?もしかしてまたオオメガトロが出現したとか?」

「少し聞いたのは船が飲み込まれたとか、なんだとか」

 船?

「船ってあの船だよな?ボートじゃなくて?」

 いやいやボートを飲み込んだとしてもどれだけ大きいのかが見当もつかないぞ。

「行ってみればいいじゃない?」

 むかつくがその通り。

 百聞は一見にしかずとはよく言ったものだ。

 店を急いで出て港に足を急がせた。

 遠くからでも分かるくらいの漁師達が集まっているのが確認できた。

 『現在プラス150万ゼニー』

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