5 / 11
第1章 勇者ライオネル・ブラッド
第5話 決着
しおりを挟む「さぁ、次はお前の番だ。魔王。魔力の補給の時間は与えてやったぞ?」
二人の視線が今にも火花を散らしそうな強烈な雰囲気を醸し出していた。
「ここまでの其方の闘いぶり。見事。我の自慢の兵士たちをこうもあっさりと。しかし、ここで私がお前を倒せば勝利だ。これがゲーム。これが闘い。そしてこれが殺し合い。いいだろう。正面からかかって来い、ライオネル」
「望むとこだ」
もう誰にも止められない。
もう終わらない。
終わらせるにはどちらかが死ぬことという一本道のみ。
瀕死の兵士たちはただ自分の王の闘いを目で追うことしかできなかった。
両者の武器がひしめき合って音を立てる。
「どうした、勇者よ。動きが鈍くなっているぞ」
「まぁな、でも、そちらこそ」
「いや、私には部下という仲間がいる。彼らが作った時間を無駄にはせん」
その時、一瞬勇者の足元が揺らめいた。
その隙を魔王は見逃さなかった。
「下手を打ったな、勇者よ。
食らうが良い。我がオリジナル能力『重力制御』!」
次の瞬間、魔王の突き出した手のひらに向かって空間の重力が一斉に集中。
これはもちろんライオネル・ブラッドも同様。
そして動揺。
ライオネルの体は制御不能で魔王の懐に吸い込まれていく。
すかさず魔王は魔法光沢を得た剣を前に突き出した。
「ここで終わりだ。最強勇者ライオネル・ブラッド。これからは我ら魔王軍がこの世界を蹂躙する時だ。」
勇者の腹めがけて光り輝く劔が一直線に向かう。
「く、この引力。やはり魔王の力か‥」
「は、は、は。死ね、勇者よ!!!」
魔王の突き立てた刃がライオネルの腹部に突き刺さる直前、勇者ライオネルは笑った。
次の瞬間、傷を負った魔王の精鋭部隊が目にしたのは魔王の持っていた筈の魔法光沢を得た剣を腹部に突き刺し、血を流す魔王の姿だった。
「き、貴様。何をした?勇者ぁぁ。」
血反吐を吐きながら瀕死の魔王は言った。
「まぁ、色々魔法にもあるんだわ。その中の一つの俺のオリジナル能力『魔法生成』を使ってお前と俺の立ち位置を逆にする魔法を作っただけだ。赤児でもわかる事だろ?」
「は、は、は。あの一瞬でそのようなことを‥全くお前こそここにいる誰よりも化け物に近いのではないのか?勇者ライオネル・ブラッドよ」
「ふん、認めたくないが、たしかにそうと言えるな」
「食えん男め。」
そう言って魔王は息を引き取った。
「あぁ、そう言えばあんたの名前聞き忘れていたわ。まぁいい。どうせ死人なんだからな。すぐに酒と共に俺の頭から洗い流されるだろうし。」
「カルバイン様だ。」
倒れたリザードマンが言った。
「そうか、カルバインという名か!殺した敵の名前をいちいち覚えていられんと思っていたが、これも何かの縁。この男の雄姿に答えてお前ら魔王軍精鋭隊は生かしておこう。」
そういうと、結界は解け始めた。
辺りはそこら中に穴が空き、変わり果てた魔王城だった。
「よし、帰るか。」
一言言い残し、勇者は英雄剣トラスコードを肩に背負い、魔王城を後にした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い
夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティ【熾天の剣】で《ヒール》しか使えないアレンは、「無能」と蔑まれ追放された。絶望の淵で彼が覚醒したのは、死者さえ完全に蘇らせる禁忌のユニークスキル【完全蘇生】だった。
故郷の辺境で、心に傷を負ったエルフの少女や元女騎士といった“真の仲間”と出会ったアレンは、新パーティ【黎明の翼】を結成。回復魔法の常識を覆す戦術で「死なないパーティ」として名を馳せていく。
一方、アレンを失った元パーティは急速に凋落し、高難易度ダンジョンで全滅。泣きながら戻ってきてくれと懇願する彼らに、アレンは冷たく言い放つ。
「もう遅い」と。
これは、無能と蔑まれたヒーラーが最強の英雄となる、痛快な逆転ファンタジー!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる