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第1章 勇者ライオネル・ブラッド
第4話 レッド・シーカー
しおりを挟む勇者の吐息が自然に荒さを増していく。
すでに、ライオネルの目の前には何匹もの魔族達の軍勢が押し寄せていた。
「くそ、俺も老いたな。ここまで押されるとは。
しょうがない、俺も全身全霊をもってお前に挑めということだな、魔王よ」
「お前達、なんの魔法を繰り出すかわからない。慎重に戦え!」
魔王の一声にさらに活気付く戦場。
「魔法?使わねぇよ。そんなもの。それに、慎重に戦っていたらお前ら死ぬよ」
ライオネルは羽織っていたマントの中から何本かの注射器らしきものを数本取り出し、自分の太ももに刺した。
「お、おいお前。死ぬ気か?」
「死ぬ気?まさか。俺は死ぬ気なんかねぇよ。今はただお前らを倒すことだけで頭がいかれそうだぜ」
「まさか、その注射は…?」
先程までの冷静なライオネルと打って変わって完全にイッていることは誰が見ても理解可能な事実だった。
「ある日、本当に自殺しようと思って、俺はこの注射を打ったんだ。そしたらよぉ、みなぎるんだわ力が…。最高の気分だよ。さぁ、戦いの続きをしようぜ。魔王軍!」
次の瞬間、ライオネルの体から蒸気の様なものが噴き出し、身体が赤く火照っていた。
酒を飲んだ後の火照りと明らかに違う。全身が赤く染まっていると言ったほうが無難かもしれない。
「聞いたことがある。勇者ライオネル・ブラッドは普段は温厚な性格だが、いざ戦闘になり、興奮状態になると体が赤く染め上げられると…その姿からアダ名は『レッド・シーカー』と名付けられたと言う噂。本当だったか」
魔王軍の一人が腰を抜かしこう唱えた。
「あれが人間だと言うのか。あれが武を極めし者の姿であるのか?」
魔王も額に汗を流した。
「なんだ?来ないのか?ならこちらから行かせてもらうぞ。有り余った魔力が抑えきれんのでな」
消えたかと思った瞬間には既に時は遅し。
魔王軍の中心に勇者は立っていた。
「お前いつのまに?」
「あ、お前ら寝てんのか?」
英雄剣トラストコードが魔族を斬りつける。
返り血を浴びたライオネルの姿はまさしくモンスター。
そして、舌を出し、顔に付着した血を舐め始めた。
「まじぃな、やっぱり。魔族の血っていうのはどうも好きになれねぇ。俺の直感だと魔王様辺りが上手いんだわ」
「そんなことさせ、グハァァ」
そう言い、再度魔族を斬りつける。
斬って、斬って、斬って。
いつのまにか立っているのはライオネルのみ。
辺りは血でできた水溜りができた。
「なんという男だ。ライオネル・ブラッド。我が戦士達がいとも容易く…」
「さぁ、次はお前の番だ。魔王。魔力の補給は十分か?」
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