前世では最強勇者だった俺は転生失敗し最下層ゴブリンへとなったが全能力の引き継ぎに成功したことは黙っておこう。

松村レイ

文字の大きさ
3 / 11
第1章 勇者ライオネル・ブラッド

第3話 魔王激突

しおりを挟む


「来い、最強勇者よ」

 魔王は光沢を放つ悪役には不似合いな剣を構えた。

 数秒後には両者の剣が鋭い音を立てて交わっていた。

「やるではないか、勇者よ」
「其方さんこそ」

 一旦距離を取ると、二人が一斉に唱えた。

「能力『魔力付与』!」

 2つの剣が魔力を帯び、さらに光を放つ。

「其方も『魔力付与』を使えるとはな。
魔王と言われるだけのことはあるってことか…」

「我を甘く見過ぎだぞ。勇者ライオネル・ブラッドよ。
他にも使える魔法はあるわ。」

 「俺も、能力には自信があるんだ。
さぁ、勝負いや、殺し合いの続きをしよう」

 魔力付与が行われた分さっきよりもさらに威力が増した。

 勇者も全力で戦闘に徹しているが、魔王側もそれに負けずと必死に剣を振った。

 両者は一度離れては再度剣を交え、離れては剣を交え、このサイクルは永遠に続くものかものかと思われた。

 が、先に動いたのは魔王だった。

「くそ、これじゃラチがあかない。多少魔力は消費するかもしれんが、少しだけなら休息は取れるとは言えど、この異空間。成功するかは五分といったところか」

「何かするつもりか…」

 ライオネルは一度魔王から距離をとって様子を伺う事にした。
 

 「能力『異世界召喚』!」

 次の瞬間、時空に歪みができたかと思いきや、そこからさっきまで魔城にいた兵士達、魔族達が一斉に出現した。

「成る程、『異世界召喚』か。一応、俺も使えるが、異世界まで転生してくるにはかなりの忍耐力、精神力、ある程度の力を持っていなければならない。その点、魔族達には有利な能力か」

 「左様。か弱き人間では時空を超えることはできないということだ。」

 数百を超える魔族を召喚した反動により、魔王の体力は殆ど使い切ったのか、膝をついた。

「魔王様、ご無事で何よりです、ここからは私達にお任せください」

「あぁ、頼んだぞ。私は今から少し休息をとる。
魔力消費が激しいからな」

 リザードマン、ドワーフ、ダークエルフ、巨人族、鳥人、獣人、そして、ゴブリンなど多種多様な魔族がこの場に勢揃いした。

「我等は少し前まで敵対勢力であった。が、この魔王様の一声で魔王軍として、こうして、一つの集団となった。勇者ライオネル・ブラッドを倒すためにな」

 「成る程、魔王の一声で…。それ程の実力者ということか…」

「行くぞ、魔王軍、我に続け!!」

 先頭に立つリザードマンの一声で数百を超える魔族達が一斉に勇者へと武器の矛先を向ける。

「くそ、これじゃあ『極限結界』を使った意味が…」

 寧ろ、勇者の能力を逆手に取った魔王側が有利な状況となっていることはこの場の全員が承知していた。

「俺の体力も底を尽きそうだ。くそ、魔王め。極限まで俺の体力を消費してからさらに追い討ちをかけるとは、侮れん奴だ。何も考えていないモンスター達の何倍も戦いにくいではないか」

 ライオネルの吐息が自然に荒さを増していく。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティ【熾天の剣】で《ヒール》しか使えないアレンは、「無能」と蔑まれ追放された。絶望の淵で彼が覚醒したのは、死者さえ完全に蘇らせる禁忌のユニークスキル【完全蘇生】だった。 故郷の辺境で、心に傷を負ったエルフの少女や元女騎士といった“真の仲間”と出会ったアレンは、新パーティ【黎明の翼】を結成。回復魔法の常識を覆す戦術で「死なないパーティ」として名を馳せていく。 一方、アレンを失った元パーティは急速に凋落し、高難易度ダンジョンで全滅。泣きながら戻ってきてくれと懇願する彼らに、アレンは冷たく言い放つ。 「もう遅い」と。 これは、無能と蔑まれたヒーラーが最強の英雄となる、痛快な逆転ファンタジー!

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

処理中です...