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第1章 勇者ライオネル・ブラッド
第3話 魔王激突
しおりを挟む「来い、最強勇者よ」
魔王は光沢を放つ悪役には不似合いな剣を構えた。
数秒後には両者の剣が鋭い音を立てて交わっていた。
「やるではないか、勇者よ」
「其方さんこそ」
一旦距離を取ると、二人が一斉に唱えた。
「能力『魔力付与』!」
2つの剣が魔力を帯び、さらに光を放つ。
「其方も『魔力付与』を使えるとはな。
魔王と言われるだけのことはあるってことか…」
「我を甘く見過ぎだぞ。勇者ライオネル・ブラッドよ。
他にも使える魔法はあるわ。」
「俺も、能力には自信があるんだ。
さぁ、勝負いや、殺し合いの続きをしよう」
魔力付与が行われた分さっきよりもさらに威力が増した。
勇者も全力で戦闘に徹しているが、魔王側もそれに負けずと必死に剣を振った。
両者は一度離れては再度剣を交え、離れては剣を交え、このサイクルは永遠に続くものかものかと思われた。
が、先に動いたのは魔王だった。
「くそ、これじゃラチがあかない。多少魔力は消費するかもしれんが、少しだけなら休息は取れるとは言えど、この異空間。成功するかは五分といったところか」
「何かするつもりか…」
ライオネルは一度魔王から距離をとって様子を伺う事にした。
「能力『異世界召喚』!」
次の瞬間、時空に歪みができたかと思いきや、そこからさっきまで魔城にいた兵士達、魔族達が一斉に出現した。
「成る程、『異世界召喚』か。一応、俺も使えるが、異世界まで転生してくるにはかなりの忍耐力、精神力、ある程度の力を持っていなければならない。その点、魔族達には有利な能力か」
「左様。か弱き人間では時空を超えることはできないということだ。」
数百を超える魔族を召喚した反動により、魔王の体力は殆ど使い切ったのか、膝をついた。
「魔王様、ご無事で何よりです、ここからは私達にお任せください」
「あぁ、頼んだぞ。私は今から少し休息をとる。
魔力消費が激しいからな」
リザードマン、ドワーフ、ダークエルフ、巨人族、鳥人、獣人、そして、ゴブリンなど多種多様な魔族がこの場に勢揃いした。
「我等は少し前まで敵対勢力であった。が、この魔王様の一声で魔王軍として、こうして、一つの集団となった。勇者ライオネル・ブラッドを倒すためにな」
「成る程、魔王の一声で…。それ程の実力者ということか…」
「行くぞ、魔王軍、我に続け!!」
先頭に立つリザードマンの一声で数百を超える魔族達が一斉に勇者へと武器の矛先を向ける。
「くそ、これじゃあ『極限結界』を使った意味が…」
寧ろ、勇者の能力を逆手に取った魔王側が有利な状況となっていることはこの場の全員が承知していた。
「俺の体力も底を尽きそうだ。くそ、魔王め。極限まで俺の体力を消費してからさらに追い討ちをかけるとは、侮れん奴だ。何も考えていないモンスター達の何倍も戦いにくいではないか」
ライオネルの吐息が自然に荒さを増していく。
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