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第1章 勇者ライオネル・ブラッド
第7話 転生
しおりを挟むあれから何分いや何時間歩いたのだろうか?
ここは‥森?
とっくにライオネル・ブラッドの体力は限界迎えていた。
無意識の間に町の外れにある森の中に来てしまった。
妻のことも、ガロアのことも今はどうでもいい。
そんなことを考えさせないくらいに森の中はひっそりと静かだった。
わずかに聴こえてくる小鳥のさえずりさえも今はオーケストラの演奏を超えるような優越感を与えた。
「さて、これからどうするか。」
もはや家に帰るという選択肢は頭から消え、路頭に迷っていた。
獣道をまっすぐ直進して歩いていると、前に緑色のモンスターを発見した。
ゴブリン。
たった一体のゴブリンが、そこに立っていた。
手には小型のナイフを持ち、こちらにカタカタと震えながら向けていた。
普通のモンスターならライオネルの気のみで気絶してしまうが、今の状態では皆無に近かった。
「そうか、魔王の腹いせか?」
ゴブリンは震える手を片方の手で押さえ、ナイフを突き立てこちらに走ってきた。
ブスリと鈍い音を立ててそのナイフはライオネルの体に突き刺さった。
「く、なかなかやるじゃないか。いや、俺が弱ってるだけか。こんな死に方も悪くないかもな。」
ゴブリンは何回もライオネルを刺し続けた。
赤い紅の血があたり一面を覆った。
勇者の意識は遠くなっていた。
これが走馬灯かと頭の中に色々な人の顔が浮かんだ。
次第に頭の中は空っぽになっていき、最後には白い映像がぼんやりと見えてきた。
ライオネルは死んだ。
歴戦の勇者の最後は一匹のゴブリンによるものだった。
が、誰もその死因も知るものはいなかった。
目が開いた。
「俺は死んだのか?それとも全て夢?」
周りには白い空間が広がっていた。
「ここはどこだ?これは夢なのか?なら何で意識があるんだ。天国って本当はあったのか?」
すると背後から透き通った声がした。
「ここは天国でもなければ、夢でもありませんよ。勇者ライオネル・ブラッド。」
声のする方を見ると、一人の女性が立っていた。
「あんた誰だ?俺を誘拐したとか?」
「誘拐?確かにそうとも言えますが。この空間はアナタが作り出したものであり、私もアナタの意識の中の空想にすぎませんよ。」
しばらくライオネルは沈黙した。
しかし頭の整理をするのにはあまり時間がかからなかった。
「俺は死んだのか。」
「はい、死にました。」
「で、あんたは誰だ?」
「私の名は転生神デュイス。神眼の持ち主であり、今からアナタを異世界に転生させてもらう者です。」
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