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第2章 全知全能のゴブリン
第11話 決闘宣言
しおりを挟む「あいつと対戦するにはどうすればいい、アル?」
アルは目を丸くしてこちらを見た。
「対戦?まさかあいつと?」
「そう、ジャグラスの野郎をこてんぱんにしてやるよ」
「お前、ついに頭のネジが外れたのか?確かにあいつは間抜け面だけど戦闘力はA級でもかなり上の方だ」
「もしあいつに勝てたら?」
アルは再度唾を飲み込んだ。
「勝ったら‥A級まで一気に飛び級できる‥。逆にジャグラスが負ければF級になるが‥」
「よし、明日やろう!」
即決定。
既にライオネルにはジャグラスを倒すための算段はついていた。
「あ、明日!!」
アルが大声で叫んだ。
「あっ」
咄嗟に自分の口を塞ぐアル。
「どうした?F級」
「マルスさん。いや、なんか、こいつが、ライオネルが‥」
言葉に詰まるアルを尻目にライオネルが口を開く。
「ジャグラスと対戦したいのだが、手続きとかはいらないのか?」
「何?F級のお前が?」
「そうだ。明日にでも」
するとマルスは息を大きく吸い込んだ。
「今ここにA級マルスがF級戦士ライオネルとA級戦士ジャグラスとの決闘を引き受けた!!」
広間いっぱいにマルスの声が響き渡った。
その大きな図体から見たまんまの声は一瞬でその場を埋め尽くした。
アルは隣で気絶寸前になっている。
「おい、ライオネル。お前マジで行っているのか?」
後ろから悪臭と共にジャグラスが近づいてきた。
「あぁ、ガチだが?」
「お前がいなくなろうが雑魚一匹居なくなったところで、変わらないだろうがな」
「こちらのセリフだ」
かなり怒っているようだ。
憤怒の表情に近くの下級ゴブリンたちは身を震わせた。
「マルス、お前にも責任とってもらうぞ。この勝負、大闘技場でやるんだからな」
「ふん、どうにでもしろ」
やはりA級の中でもギクシャクは多少あるらしい。
悪臭と共にジャグラスはその場を後にした。
「F級戦士よ、勝機はあるのか?仮にもあいつは馬鹿だが、戦闘力だけはゴブリンの能力を凌駕するぞ」
「勝機?そんなものない。実力のみであいつは倒せる」
自分の体格の半分もない程の個体のゴブリンが自信満々に語るのを見て、マルスは吹き出しかけた。
「そうかそうか、明日が楽しみだ」
マルスが去って、アルを探すと、見当たらない。
「アル?あれ部屋に帰ったか?」
ふと下を見ると、アルが倒れていた。
気絶していたらしい。
どうやら過去にA級とF級ほど離れた階級差のある決闘はなかったようだ。
「ライオネル、今からでも間に合う。マルスとジャグラスに謝って決闘を中止させてもらおう。」
「アル、今から誤って中止もしないし、あんな大声で宣言されたら中止のしようがない」
そう、恐らくマルスはライオネルに決闘を中止されないように大声で宣言したのだ。
その日もライオネルは定時に眠りについた。
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