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ゾンビ
しおりを挟む「ゾンビだー”!」
ゾンビ。まあ正式名所とかは知らない。ウィキとかで調べることも出来ない。なぜなら今や人口の役九割がゾンビとなっており、残った生き残りもだいたい半数以上が狂ってしまいヒャッハーしているかゾンビに交じって人を襲ったりしているのだ。
そんな中、ネットとか交通機関とか、健全な社会機能を行うことはできず、当然ネット環境とかもない。警察とか自衛隊とかもないのでこのゾンビたちを処理できるのは、生き残っており、かつ正気を保っていられる俺たちしかいないのだった。
「よし!!行くぞ!お前ら!!しゃべるは持ったな?!」
「おう!」
「なんでお前は丸太を・・いやもういい!!行くぞ!」
ここら辺はゾンビが来ない地域だ。ゾンビは当然のことだが、パンデミック前に人がたくさんいたところにいる。
なので逆説的にいえば人がいなかったところが安全(比較的)なのだが、それでもたまにウェーブ的なゾンビの群れが来ることがあるので油断はできない。
俺たちは徒党を組んでゾンビを処理していった。
始めてはかなり気がめいったが、しかし慣れてくればどうということもない。俺たちはまるで養豚所の豚を処理するのかのごとく奴らを処理していった。中には女のゾンビを見て発情する奴もいるくらいである。
「おらぁ!!」
「これで最後か・・」
一時間かけてようやく処理する。ゾンビとはいえ、動きがゆっくりなので、急に動く奴に気をつければどうということはない。
さて、家に帰ろうとした時だ。
「‥‥」
「?おい、どうした?」
何か、仲間の一人がゾンビを凝視している。
そして、近づいて言った。
「おい気を付けろよ?生きているかもしれないからな」
見た目完全に死んだように見えても、不意に動くことがまれによくある。なのでゾンビに対する心構えとして常に油断しないことが大事なのだが、仲間の一人、ここではヤスと呼ぶか、ヤスはその表情から正気ではないかのようだった。
いやな予感がする。俺は声を掛けようとしたのだが、
「おい、や」 と、その時奴はとんでもないことをしたのだ。
ガチャガチャとベルトを外してズボンを下したのだ。
「え?」
そして、「ぐへっへ・・スケベしようや」
女ゾンビに発情したのである!!
「な、何をしているんだ!!ヤス!」
生き残りは免疫があるので、いくら噛まれたからと言ってゾンビになることはない。とはいえ、ゾンビは衛生的に問題がある。
普通に触るのですら嫌なのに、こいつは股間を擦り付けているのだ!!
「おい!!やめろ!!何かあってからは遅いんだぞ!!」
完全に正気ではない。ゾンビ退治に心が止んだのだろうか。止めなくてはならない。完全に感染しないと分かるわけではないのだ。
しかしそれを止める別の仲間。
「いや、良いだろ。いくら噛まれても感染しなかったし」
「しかしよぉ」
「いや、・・この際だ。こいつら食料にできるかもしれん。少し試してみるか」
「そうだな。ライターであぶれば食えるだろ」
「おい、嘘だろ・・?」
そう言って彼らはゾンビをあぶって食べ始めたのだ。
「ぐへへへへh!!!ゾンビうめえぇええええええええええええ!!」
「本当だぁあああああああああああああああああああ!!!」
「・・・・・やれやれ、ついていけねぇ」
しかし、まあ、彼らがもし病気になったとしても、自業自得だろう。
だが、彼らだけが可笑しければそれでよかったのだ。
俺は仲間たちの異常に気が付く。
「お〇ん〇ん=!!!」
「ゾンビごっこだぞー!!」
「すっごーい!!」
「っ・・・!!」
くるってやがる。彼らはゾンビを解体したり、においをかいだり話しかけたりし始めたのだ。
「どうしたってんだ・・・?!お前ら絶対可笑しいよ!!」
「何を言ってるんだ?俺たちはどうやってもゾンビに感染しないんだ。だったら遊んでもいいってことだろう?」
「いや、違う!1おかしいのは・・・おかしいのは・・・」
「おかしいのは、お前のほうなんじゃないか・・?」
っ・・・?!そうなのか・・??
おかしいのは、俺・・?
心が揺らいでいると、比較的まともな人たち、ゾンビ肉をむしゃむしゃともはや生のままで食べている物が肉を勧めてきた。
「試しに一つ食べてみろよ」
「・・・ごくり」
そして、のちに数十年後分かったことであるが、当時パンデミックだったのはゾンビウィルスだけではなかったらしい。
いわばアンチゾンビウィルス。ゾンビウィルス抗体持ちにだけかかるウィルスが蔓延しており、それにかかったものは恍惚感とかそういうものが発症し、ゾンビに対する危険意識が極度に下がってしまうのだった。
つまり、当時、蔓延していたのは二種類のウィルス、ゾンビウィルスとアンチゾンビウィルス、二つの勢力の衝突だったのだ。
そう、これは増えすぎたゾンビに対する世界の抵抗、いわば抗体のようなものだったのかもしれない。
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