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かたまり

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「神はおられるのでず!!」

「はぁ?」

 姉が突然おかしくなった。
 
 朝ごはんの時、立ち上がってそう言ったのだ。
 
「何言ってんのよ。それはやってんの?」

「いえ、いま、るーまんまんという神様が私にお告げを与えられたのです!」

「・・はぁ?」

 家族全員、彼女が何を言い出したのかと思った。

 だが、それから、数か月後、

「弟者!!また、お祈りがまだよ!!」「るーまんまん教にお祈りしなきゃね」「るーまんまんまんまーん!!」

^「ふええ」

 僕を除いて彼らは洗脳されてしまっていたのだ。
 
 変な宗教、それらはこの家族内で収まると思っていたのだ。
 
 しかし、それからさらに数年後。
 
「るーまんまんまんまーん!!」「るーまんまんまんまーん!!」

「ふええ」

 今や、日本でるーまんまんの名前を知らぬものはいなかった。
 
 何がいいのかよくわからないが、しかし信者たちの手にかかれば、無宗教のものであっても、その宗教に染め上げてしまうらしい。
 
 そして、その宗教は、日本のみならず、海外にまで広がり続けてきた。
 
 無宗教のものももちろん、他の宗教、あるいは宗教を反対するものでさえ、無関係。とにかく感染力が高いそれらだった。
 
「どうやら、兵器なのは僕だけのようだ・・」

 そして、世界全員がるーまんまん教信者になった。しばらくは平穏な日々が続く。
 
 しかし、誰かがこういった。
 
「宇宙に進出して、他の異星人にこの素晴らしい宗教を伝えるのです!!」

「それは良い考えだ!!」「それは良い考えね!!」

 そうして彼らは多大な犠牲を払いながら、かなりの距離を移動できる宇宙船を開発したのだ。
 
 そして、、、広がり続ける。そのるーまんまん教。
 
 その教義は、特に内容がない。ただるーまんまんという神を信仰するのが目的。
 
 にもかかわらず、彼らはそのミームを伝えに空へと旅立っていったのだ。







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